2010年に設立されたFingerprintは、子供向けアプリを統合したプラットフォームを構築・管理する企業だ。世界中のデベロッパーと提携し、教育関連ゲームや本、動画などの優良コンテンツを、子供のプライバシーと守りながら安全に提供している。今回はCo-founder & CEOのNancy Macintyre氏にインタビューした。

Nancy MacIntyre
Fingerprint
Co-founder & CEO
ドレクセル大学卒業後、ATARIやLeapFrogなど複数の企業でセールスおよびマーケティングを担当。2010年にDaniel Klaus氏と共同でFingerprintを設立。CEOとして、子供向けに特化した教育系アプリのマルチプラットフォームを運営。

世界60カ国、3000種類の子供向けアプリを提供

―Fingerprintのビジネスモデルを教えてください。

 Fingerprintは、子供向けの知育関連コンテンツを扱うプラットフォームを提供する企業です。われわれのライブラリには、世界60カ国のデベロッパー300社が開発したアプリがそろっており、その数は3000種類にも上っています。当社ではそれを1つのシステムに統合しており、それを管理するバックエンドサービスも提供しています。それが大手のコンテンツ配信会社や通信会社を通じて、子供たちに販売されるのです。

 創業当初は提携先のデベロッパーもわずか6社で、アプリの数も68種類のみでしたが、今は世界中のユーザーが利用してくれています。われわれは子供にとってためになるアプリ、そして楽しく学べるコンテンツを作る優秀なデベロッパーを探して関係性を築き、われわれのファミリーの一員になってもらえるよう、日々努力しています。

―具体的にどんなコンテンツを扱っているのですか?

 半数以上がゲームで、あとはインタラクティブな本や動画、アクティビティ関連です。ゲームの内容も、算数や理科、スペリングやパズルなど、楽しみながら学習できるものが多くなっています。

―ユーザーの子供の年齢層は?

 ターゲットの最多層は幼児から小学校低学年ですが、高学年向けのコンテンツも全体の30%ほど用意しています。ただ、ボリュームゾーンは3歳から8歳です。今後、高学年向けも充実させていきたいと考えています。

―利用時間など、保護者が制限をかけることもできますか?

 もちろんです。それだけでなく、カテゴリごとに制限をかけることも可能です。たとえば「本のアプリは30分まで、でもゲームは10分まで」といったカスタマイズもできます。

―デベロッパーとのパートナーシップはどのように構築するのですか?

 まずは、良質なアプリを作るデベロッパーを探すところから始まります。学習や教育アプリとしての品質、そして子供が楽しめるかどうかを判断します。もちろん、どのような端末に対応するか、ということも確認します。それからデベロッパーと調整を行います。子供向けのアプリですから、アプリ内課金や広告、オンラインのシェア機能などは除外してもらいます。条件がそろえば、ライセンス契約を交わし、配信を開始します。こういったプロセスはできるだけシンプルでわかりやすいように、と心がけています。

サムスンとは子供向けアプリプラットフォームを共同開発

―クライアントはFingerprintをどのように活用するのですか。

 サムスンをケーススタディとして挙げましょう。サムスンとは「サムスンキッズ」というサービスを共同開発し、3歳から8歳までの子供を対象としたゲームや本、そして動画などを扱っています。ギャラクシーアプリもしくはキッズタブレットからダウンロードして利用します。広告もアプリ内課金もないので、子供たちはライブラリからオンラインに出ることなくコンテンツを楽しめ、保護者の方にも安心です。あえて言うなら、Netflixに似たシステムかもしれません。

―どのようにしてこのビジネスモデルが生まれたのですか。

 大人向けのゲームや動画を配信するサービスが数多くある中で、子供に特化したゲームのプラットフォームがないと気がついたのです。私は「アプリストアで1回1ドル課金」といったビジネスはやりたくなかったので、あくまでプラットフォームを、と考えていました。そこで、まずはアプリを統合するプラットフォームを構築し、われわれに可能性を見出してくれたハードウェア企業や有料のテレビ会社、そして通信事業者と提携しました。それから、プラットフォームのライセンス供与というビジネスモデルを選び、今日に至っています。

―競合他社にはない強みを教えてください。

 何より、ターゲットを子供に絞っているということです。私の目標は、いわば「Netflixのゲーム版」あるいは「キッズ版Anjimoko(ゲーム配信プラットフォーム)」を作ることでした。アプリをプラットフォームに統合することで、子供たちが思い思いに楽しめるようにしたかったのです。子供たちのプライバシーも守らねばなりません。また、実際に製品を購入するのは、子供ではなくて保護者ですから。利用者と購入者が異なる中で、どのようなプラットフォーム構築するのか、というのが大きな課題でした。今、それらがすべて実現しています。

 われわれの強みは、子供たちが楽しめるアプリを保護者に購入してもらうためのノウハウがあること、そして子供やファミリー向けのゲームを作るデベロッパーと素晴らしい関係性を築けていることです。

日本の教育市場にも期待

―日本の市場にも進出する予定ですか?

 他の国と同様に、日本のデベロッパーともすでに提携しています。日本では、親や祖父母が子供の将来、そして適切な教育関連商品や楽しく学べる教材への投資を重視しているので、チャンスの大きな市場だと考えています。

―将来のビジョンを教えてください。

 子供向けデジタルコンテンツ業界の最大手企業になりたいと思っています。そのために今もコンテンツライブラリの拡張とパートナーの拡大に向けて尽力しています。そして、子供向けモバイルシステムを構築するデベロッパーにとって、頼れる企業でありたいと思っています。今は、大手企業にプラットフォームを提供し、そこからユーザーにコンテンツを配信するという形をとっていますが、将来的にはFingerprintブランドと独自サービスを確立し、通信会社やOEMに配信していきたいと考えています。



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