TECHBLITZ編集部では今回、「石油・ガス」の分野における注目スタートアップや、その資金調達動向をまとめた「石油・ガス50」レポートを作成しました。レポートでは、“上流”、“中流・下流”、“開発支援ソリューション”、“その他燃料ガス”などに分類し、世界の先端ソリューション事例を紹介しています。
※レポート本誌は、「BLITZ Portal」にて2023年12月にご利用企業向けに発刊しております。

現在の「石油・ガス」関連の概況

 国際エネルギー機関(IEA)が2023年10月に発表したレポート*によると、再生可能エネルギーやEVの普及に代表されるCO2排出削減に向けた取り組みの加速、また中国における産業構造の転換などを背景に、化石燃料の需要は2030年までにピークを迎える可能性があるようです。その一方で2022年のロシアによるウクライナ侵攻からはじまったエネルギー危機を主な要因とする石油ガス需要の高止まりから、関連企業の多くが原油価格の高騰から得られた利益を更なる石油ガスの探索をはじめとした生産活動に再投資しています。

 このように、石油ガスの中長期的な需要鈍化予測と短期的な高い需要との狭間で、石油ガス関連企業は刻々と変化する地政学的、経済的要因等に対応するべく、難しいかじ取りを求められています。石油ガス業界の不透明な見通し予測や、長期的な人員削減方針に伴う業務効率化などを背景に、近年急速に普及が進んだIoTやビックデータ、AIなどを活用した需要予測の解析や効率的な原油の探索、ワークフローの最適化などさまざまなニーズに応える各種ツールが開発されています。

 また、CO2やメタンガスなど温室効果ガスの排出削減は世界中で喫緊の課題となっています。これらのガスの漏出検知や有効活用技術、またバイオガス / 合成燃料 / 水素 / アンモニア等の代替エネルギーの生産といった環境関連技術への期待が高まっています。これらクリーンエネルギー関連分野への投資は2020年以降急速に増加しており、本レポートにも累計資金調達額の大きい企業として多数が登場しています。

 本レポートでは、世界の石油・ガス関連スタートアップの中から累計資金調達額トップ50社(2023年11月時点)をピックアップし、カテゴリーに分類してご紹介します。

*IEA “World Energy Outlook 2023

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「開発支援ソリューション」「データ解析」などの注目スタートアップを紹介

 本レポートでは下記注目カテゴリーを取り上げております。

【5の注目カテゴリー】

  • 上段
  • 中流・下流
  • 開発支援ソリューション
  • データ解析
  • その他燃料ガス

 その中でも今回、「上流」「開発支援ソリューション」「データ解析」のスタートアップを一部紹介いたします。
※以下の資金調達額累計は2023年11月時点の数値となります。

上流

探査および掘削の技術革新により、これまで開発が難しかった地層や新たな油田から原油・ガスの採掘が可能になったことで、開発に参入した新興のE&P(Exploration & Production)企業。北米最大の資源埋蔵量を持つ Permian Basinなど、既に開発の進んだ地域で多くのスタートアップが参入。

Venture Global LNG

image : Venture Global LNG HP

液化天然ガス(LNG)を低コストかつ安定的に供給する米国の企業。二酸化炭素回収・貯留プロジェクトも推進。2024年中に同社2拠点目の施設でLNG生産を開始予定。

開発支援ソリューション

新たなエネルギー開発のほか、上流・中流・下流企業の業務を支えるサービスやソリューション。専門的な技術や特殊性が求められるマーケットに対応する。独立系エネルギー企業だけでなく、石油メジャーを顧客に持つ企業も多数。

Crusoe Energy Systems

image : Crusoe Energy Systems HP

モジュラー型データセンターを油田採掘地に設置。原油・天然ガス生産時の余剰ガスで発電を行い、コンピューティングパワーに用いることで、フレアガス削減と電力節約を実現。

データ解析

AI や機械学習技術の発展に伴い可能となった、膨大なエネルギーデータを収集・分析し洞察を提供するソリューションにも注目が集まる。コスト削減と効率化による利益率の向上に加えて、変動が激しく複雑なエネルギー相場や需要 / 供給予測を精緻化し、リスク管理の精度向上にも寄与する。

Validere

image : Validere HP

開発現場からのデータを元に石油・天然ガスの品質をAIがリアルタイムで分析。石油・ガスの取引価格を予測・最適化し、ロジスティクスを改善。収益向上につなげるプラットフォーム。



 グローバルな技術トレンドの把握や、スタートアップ調査、事業アイデア創出といった場面で、本レポートが少しでもお役に立てれば幸いです。

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