どのようなアプリでも脆弱性を発見し攻撃を防ぐ
――御社のサービスと立ち上げの経緯を教えてください。
TrueFortはゼロトラスト技術を使いアプリを守るサイバーセキュリティ企業です。インターフェースを問わず、どのようなアプリでもリアルタイム検出、反応、管理を可能にします。
共同創業者のNazario Parsacala氏と私の両方は、20年以上金融サービス業に携わり、TrueFort設立前はインフラ設計やエンジニアリングに関わる業務に従事していました。その経験から、未公開・公開を問わず会社というものはサイバーセキュリティに晒される現実を目の当たりにしてきました。また、このような問題が金融業界だけでなく、業種を問わず存在していることも分かりました。このような背景があり、2015年にTrueFortの設立へと至ったのです。
ウォールストリートからサイバーセキュリティへ
――製品の詳細を教えてください。どのような点で差別化を図っていますか。
ゼロトラスト技術は、ネットワークの観点から見ると最も関心の低いものでしたが、今や業界全域でより理解を深めようと注目を集めています。ビジネス上保護が必要なものを認識し、リスクを見極め、必要な措置を取る…といった具合です。
ただ、それを可能にするには、複数のネットワーク・クラウド・ソフトウェア・アイデンティティ・OS等々に渡って、それらの一連の行動を考慮し、アプリ開発に組み込んでくれるような柔軟なプラットフォームが必要となります。そして、それを分析後、悪意ある行為を検知し対処できることが求められます。
このようなプラットフォームの開発には、長年の経験を必要とします。私たちは、いわゆるウォールストリートのトレーディングで用いられる技術をセキュリティ分野に持ち込みました。マシーンラーニングやAIを使用し、アプリのセキュリティをチェックし、リアルタイムエレメトリ(遠隔情報収集)と比較できるようにしたものが私たちの開発した技術です。それをもとにゼロトラスト技術を使ってモニタリングを行い、悪意ある行為をブロックすることでアプリを保護できるようにしています。
――2015年の設立からここまでの道のりはどうでしたか。
初期ベータ版を公開した際は、通信事業者や小売関連の企業が採用してくれました。今では、ヘルスケア、金融をはじめ業界を問わず様々なクライアントが増えました。人をどんどん採用し、新しい機能を追加できたことは大変楽しいことでしたし、加えてカナダとフィリピンに技術開発を担うオフィスを構えることもできました。
Image: TrueFort HP
また、立ち上げからここまで、VCと交渉し約50億円を調達して会社を成長させたことも誇りに思います。特にコロナ禍は人々と対面することができなかったので、ユニークなチャレンジだったと言えるでしょう。
しかし何よりも、新しいクライアントに製品を試してもらい、実際に問題を解決できることを証明できることが嬉しいです。みなさんがリモートワークをする中で、今までとは違う形でビジネスをすることで生まれるニーズもあります。私たちは、今までは営業してこなかった業界にも製品を売り込むチャンスがあると思うので、将来に期待のかかる非常に楽しい時期です。
総額50億円を調達し、日系企業とも提携中
――調達した資金の使い道、並びに今後の目標を教えてください。
シリーズBで調達した資金の大部分は、営業・マーケティング活動、そして製品開発に充てる予定です。既にR&Dには投資を行い、新機能を追加し続けています。また、新しくCROを雇い、営業活動にも精力を注ぎ、グローバル展開を続けています。来年には目標達成のためもっと資金を調達する予定なので、より一層の成長を見込んでいます。
短期目標は、ターン・キーソリューションを必要とするクライアントに私たちのホスト環境を販売することです。SaaSとして製品を売り込み、ヨーロッパとアジアでの存在感を強めることも来年の目標です。長期的には、より多くのユースケースをサポートできるよう、会社を大きくすることを目指しています。
――既に日系企業とも提携しているようですが、今後どのような企業と組みたいと考えていますか。
日本市場では、主に私たちの製品を導入してくれる通信事業者、医療関連法人、金融機関等を探しています。初期のカスタマーの方が、適応しやすい利点もありますし、製品も日本向けに改善しやすいと思います。APACでは、フィリピンにオフィスがあり、シンガポールの企業とも交渉中なので、日本も近い将来進出できると思います。
現在、既に日本の医薬品企業とも提携しているので、興味があればぜひ問い合わせをしてほしいと思います。