Bear Roboticsは、簡単な操作で誰でも使うことができ、人々が行き交う飲食店内で、正確、安全、素早く料理や飲み物を運ぶことができる、AI搭載の自律走行型ロボット「Penny(ペニー)」を開発・製造・販売するスタートアップだ。今回はCo-founder & CEOのJohn Ha氏に話を聞いた。

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飲食業界における「人間の仕事」の価値を高めたい

―まずはBear Robotics設立の経緯を教えていただけますか。

 私はソフトウェアエンジニアとして、企業で20年以上働いてきました。Bear Robotics設立前にGoogleに勤めていたのですが、その時に常連客として通っていたレストランが売りに出されました。それを知って、「レストランを持っていたら友達を呼べるし、面白そうだな」と言うシンプルなモチベーションから、そのレストランを買い取りました。周りからはレストラン経営は大変だよ、と言われましたが、まあ大丈夫だろうと考えていました。しかし、これが大間違いでした。

 私のレストランにいた料理人は海軍経験者で、このレストランのキッチンは海兵隊の仕事よりきつい、と言っていた程の肉体労働でした。特に週末は、一番忙しいのに、従業員は教会に行くなどの理由で休みを取ります。平日の半分の人数で対応することになり、私自身が14時間休みなしで料理をしたこともあります。

John Ha
Bear Robotics
Co-founder & CEO
ソウル大学校卒業後、渡米。The University of Texas at Austinにてコンピューターサイエンスの博士号を取得。IntelにてResearch Scientistを務めた後、2011年にGoogle入社。Technical Lead/Senior Software Engineerを務めながら、2016年に豆腐料理店のビジネスオーナーになる。2017年にBear Roboticsを設立。
 
 飲食店ビジネスには、楽しくて、やりがいを感じられる部分が間違いなくあります。例えば、美味しい物を作り提供することは創造的であり、人を幸せにすることができます。お客様との交流は、人間同士の感情的な交流です。しかし、キッチンでは自動洗浄機など労働を軽減する設備が普及しているのに、ホールスタッフを助ける物がありませんでした。

 ホール業務の中でも特に、重いお皿や飲み物を持ち運ぶ配膳・下膳は体への負荷が大きい労働で、人間よりロボットの方が適しています。ホールで働く人間が、ホスピタリティの提供という本来の仕事に集中できるようするために、陰なる助けとなるロボットの開発に取り組んだのが当社設立の経緯です。

―開発しているRobot、Pennyについてお聞かせください。

 Pennyはレストランなどで配膳を行うロボットです。A地点からB地点へ行くシンプルな作りで、道中でAIによって人の足を検知することで混んでいる店内でもスムーズに進むことができます。もしも道中で赤ちゃんが手で床を触っていたり、財布などが落ちていた場合にはそれらを検知して、Pennyは止まります。

―Pennyはサブスクリプションで提供されているのでしょうか。

 はい。飲食店を助けることが私の夢なので、手頃な価格のロボットを作りたいのですが、現時点では大量生産に至っておらず、Pennyはまだ高価なロボットです。飲食店における収益構造は理解していますので、高額な初期投資を求めるのではなく、月額を請求するサブスクリプション方式を取っています。

 米国内における現在の利用料は、テクニカルサポート込みで月額約1,500ドルです。ただし、例えば「1,000台導入したい」という企業がいれば、価格交渉可能です。  

CES2020でフロアーを「散策」していた唯一のロボット

―他の同類ロボットと、どういった点で違うか教えてください。

 A地点からB地点までナビゲーションを行える自律走行型ロボットは他にもありますが、障害物の回避方法や、人の往来を避けることができるなどの性能や、バッテリーの寿命や積載量などの面で違います。Pennyが全ての面で優れているとは考えていませんが、飲食店での使用には最適化されています。人や障害物にぶつかることなく人間と同じスペース内でドリンクを運ぶことができたり、料理が冷める前にテーブルに運ぶことができます。

 当社は今年CESに参加し、会場の人混みの中でPennyを一日中走行させましたが、全く問題ありませんでした。Pennyはフロアーで溶け込み過ぎて、会場にいる人の気を引くことすらありませんでした。私たちは、ロボットは目立つべきでないというデザイン哲学の基にPennyを作りました。目立つことなく、事故も起こさず過ごせたことで、自分たちの製品に自信を深めることができましたし、嬉しかったです。

シリコンバレーの小さなレストランの悩みは、世界中のレストランの悩みだった

―今後の目標として海外展開も視野に入っていますか。

 米国外では韓国に子会社があり、ロッテから出資を受けています。ロッテはパートナーとして、グループ内で所有するレストラン等で当社のロボットの活用を試みています。全ては私の小さなレストランから始まり、様々な国から問い合わせを受けるようになって、これが実は世界中のレストランのペインポイントだったことにとても驚いています。

 今後もパートナーを探しますが、シリーズAラウンドで高額の資金調達に成功したため、しばらく出資は必要ありません。当面は米国と次に韓国市場に集中しますが、将来的には日本での展開を検討したいです。

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