Farmers Business Networkは、農業に特化したデータマネジメントソフトウェアを開発・提供するスタートアップ。このソフトウェアを使えば、ユーザーは農地の地質分析から農作物の収穫高予測など、データに基づいて農業についての意思決定をすることができる。 今回はCo-founderのCharles Baron氏にインタビューした。

Charles Baron
Farmers Business Network
Co-Founder & VP of Product
Googleを経て、ハーバード大学MBA取得。在学中にベンチャーキャピタルのGeneral CatalystとKleiner Perkins Caufield Byersに参画。2013年にCEOのAmol Deshpande氏と共にFarmers Business Networkを起業。

ビッグデータを活用して農業を効率化

―まず事業内容を教えてください。

 Farmers Business Networkは米国内の農業を支援するデータマネジメントソフトウェアを開発・提供しています。農業に関する様々なデータを収集・分析して、効率的な農業ができるようにしています。 利点としては、このツールを利用することでユーザーは農地の中で一番育ちの良い農作物とその品種を予測できます。その他にも、灌漑や肥料を撒くタイミングなどもデータ分析に基づいて行うことが可能です。

 さらに、当社のサービスを通じて全米中にいるユーザーがつながることができ、お互いの農業のやり方やデータなどを共有することができます。つまり、他者の知見や経験も活かしながら、農業の質を上げることができるというわけです。現在、われわれのサービスでは20種類以上の農作物栽培に対応しており、ユーザーも米国内で28州に広がっています。私たちのサービスは、ユーザーの様々な悩みや意思決定に際して、適切なデータ分析を行えるようにサポートしています。

作物ごとのパフォーマンスを数値化してくれる。(Image: Farmers Business Network)

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―現在、農業ではデータを活用した取り組みが進んでいるのでしょうか。

 近年、農業は様々な高度なテクノロジーを取り入れ、飛躍的な発展を遂げています。たとえば、農作業用のトラクターの多くは自動運転になっています。またGPSで基本的な耕作の経路を定めて操作しています。こういった技術を利用すればするだけ、新しいデータも生じます。つまり、農耕作の作業の中でたくさんのデータが生まれているわけです。中にはロボットトラクターを使用する「ジョンディアシステム」のような仕組みを導入しているところや個別にデータを収集できるような仕組みを独自開発して利用している農家の方もいます。

 当社では、すでにデータ分析技術を取り入れた農家の方々から集めたデータを利用し、農業の効率化を促しています。

農地を分析し、土質なども細かく表示してくれる。それぞれの土質にあった農作物の栽培を行うことができる。(Image: Farmers Business Network)

年間500ドルの定額で利用可能

―現在何人の農家の方が御社のサービスを利用しているのですか?

 現在、ユーザーは2000世帯以上、農地の数でいうのならば約40,000〜50,000区画以上の農地で利用されています。

―どのような収益構造になっているのでしょうか。

 年500ドルの定額制で農家の方へ提供しています。さらに、ユーザーがサービスを利用するたびにデータは蓄積され、常に最新のデータに基づいた農業を行えるようになります。

 さらに、私たちは新サービスとして農家の方向けの資産運用プログラムも開始しました。このサービスを通して、これから農家になる方や農地を拡大したい農家の方向けに資産運用のお手伝いをさせていただいています。まだ農業が盛んではない地域に対して、農家を増やすことで農家同士の競争を生むことができるため、市場を活性化することができるのです。もちろん、彼らが農業に関するデータマネジメントを必要とする場合は、そちらも提供します。私たちは他にもいくつかの事業を運営していますが、すべて農家の方がいかに効率的に農業を進められるかに焦点を置いています。

―御社のサービスの利用事例を教えてもらえますか。

 当社のユーザーの方の例をお話しましょう。2014年の種まきの時期の話なのですが、このユーザーのところへ農業資材企業の営業の方が来ました。その営業の方は、前年度に、このユーザーが購入した品種と同じ品種の栽培を勧めてきたのですが、この品種は前年度に良い結果を出していなかったため、農家の方はこの品種を栽培することに前向きではありませんでした。

 しかし、営業の方もなかなか折れず、「もう一度、栽培してみてください」と譲りません。そこで、この農家の方は当社のデータマネジメントツールを使い、この品種を分析し直してみました。

 その結果、やはりこの品種は彼の農業地の特性と合わないことを確認でき、この品種を栽培するのをやめました。これによって、この農家の方は相性の悪い品種を買わずに済んだだけでなく、もっと相性が良い品質に切り替えることで、より高い収益を得ることができたのです。

日本は農業先進国

―日本展開についてお聞かせください。

 日本の農業技術は、現在とても進んでいます。世界で一番先にドローンを稲作農業へ導入したのは日本の農家の方です。他にもロボティクスの技術やグリーンハウスなど、様々な技術が日本の農業に取り入れられています。さらに、日本にはとても優秀なデータマネジメントサービスもあり、最先端サービスを受け入れる土壌があります。日本展開がとても楽しみです。

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