リクルートなど大手企業が出資するBlockFi。仮想通貨を担保にローンを提供しており、今後は仮想通貨向けの預金口座など事業を拡大する方向だ。CEOで共同創業者のZac Prince氏に話を聞いた。

Zac Prince
BlockFi
CEO
アドテックやフィンテック領域のスタートアップでの経験を経て、2017年に創業。

ローンを皮切りに、預金口座やクレジットカードも検討

―どのようなサービスを提供していますか?

 仮想通貨のエコシステムに、信用と貸金の市場を構築することが我々のミッションです。現在は仮想通貨を担保にしたローンを提供しています。ビットコインなどの資産を保有している個人や法人が流動性を確保したい、ただその資産そのものは売却したくないというときに、BlockFiはローンを提供することができます。

 たとえば1万ドルの価値があるビットコインを持っている人がいれば、それを担保に年率10%以下という低い金利で5000ドルを借りることができます。米国でクレジットカードローンを使うと通常25%程度かかります。

―これまで似たようなサービスがなかったのはなぜでしょうか。

 仮想通貨のエコシステム自体が極めて新しい領域です。既存の金融機関が手を出すにはまだ不安定と考えられているのはないでしょうか。

 将来的には、担保として利用できる資産をもう少し広げたいと考えています。それから、米国以外にも拡大し、多言語、多通貨に対応させたいです。今年以降、ビットコインを保有していることで金利を得られる預金口座やクレジットカードなども投入していく計画です。

仮想通貨の価値変動を監視

―どのように信用を担保しているのでしょうか。

 信用判断には、その仮想通貨のオーナーに経済的な犯罪の履歴がないか、ブラックリストにないかなどのスクリーニングもしています。

 また、借りられる金額は仮想通貨の価値の50%が上限になります。仮想通貨の価値変動については24時間監視しており、価格が下落しはじめたときには預かっている仮想通貨を売却するなどの対応ができるようにしています。

Image: BlockFi

起業のきっかけは、銀行に門前払いされた経験

―どうしてこの事業をはじめたのですか。

 これまで2つのスタートアップで働いてきました。ビットコインや仮想通貨に個人的に関心があり、あるとき銀行でローンの申し込みをしたときに、保有資産として仮想通貨をリストアップしたんです。そうしたら、銀行は「弊社のコンプライアンスチームはあなたが何らかの違法の活動に関係があるかもしれないと考えています」といった反応が返ってきて、私との取引を拒否し始めたのです。

 このときに、仮想通貨をベースにした信用市場は必ず需要があるはずだと、ひらめきました。銀行はすぐには始めないだろうと感じ、共同創業者と一緒に自分たちで会社を立ち上げようと思い立ちました。それが2017年の6月です。

―米国以外の海外展開はどう考えていますか?

 日本は仮想通貨の大きな市場です。リクルートが我々に出資をしてくれており、日本語への翻訳やデザインをするうえで良きパートナーとなってくれています。2019年には日本市場に参入できるのではないかと期待しています。ラテンアメリカや西欧、韓国やオーストラリアも進出市場として取り組んでいます。



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