「世界を安全な場所に」というミッションを掲げるZendriveは、スマートフォンのデータを活用し、ドライバーの挙動を把握する画期的な開発者プラットフォームを生み出した。ドライバーの安全性評価から、安全運転のコーチングまでを視野に入れた事業展開と実績、それを可能にしているテクノロジー、そして将来の展望について、Co-founder & CEOのJonathan Matus氏に話を聞いた。

Jonathan Matus
Zendrive
Co-founder & CEO
2004年ボストン大学、2006年ハーバード大学にて学士号を取得。さらにハーバード・ビジネス・スクール、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、ウォートン・ビジネス・スクールにて学ぶ。グーグル、フェイスブックなどを経て2010年にTICG LLCを創業。2013年にZendriveを共同創業、CEOに就任。

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交通事故を減らすというミッション

―Zendriveの事業概要を聞かせてください。

 私たちは、ミッションを実現するためにZendriveを創立しました。残念なことに毎年130万人が交通事故で亡くなっており、犠牲者でもっとも多いのは35歳以下の若年層です。私たちのミッションは、データと解析学を利用して道路を安全なものにすることです。そのデータの周辺にビジネスを構築し、保険会社、自治体、そして自動衝突検知のような消費者向けアプリケーションをサポートしています。

 Zendriveは開発者プラットフォームで、アプリケーションではありません。他のアプリケーションや車両管理テクノロジーの中に組み込まれ、車の発進、衝突をリアルタイムに検知し、ドライバーの挙動――たとえば急ブレーキ、スピードの出しすぎ、速度変化、急なターンなどを検出できます。そしてドライバーの安全性を評価します。これがまず最初の柱です。

 次にコーチングやドライバーの挙動の改善です。車両管理の例では、一日の終わり、または各走行の終わりに、ドライバーと車両管理マネジャーに安全性のフィードバックを行います。そして運転挙動の安全性向上に役立つコーチング・ツールを車両管理マネジャーに提供します。これまでに2万人以上の職業ドライバー、250日間という長期に渡って提供し、衝突事故の発生率を50%減少させました。

スマートフォンのデータで運転挙動を把握

―どのようにデータを収集しているのですか?

 私たちは世界中の誰もが持っているスマートフォンからデータを得ています。いまや世界中の人々がスマートフォンを持っていますから、改めて装置を車に設置する必要がありません。モニターするかスマートフォンのセンサーデータにアクセスすれば、ドライバーの挙動を把握できます。もちろん、センサーデータだけで把握するのはとても難しいことですが、私たちは4年間でその技術を確立しました。

 現在は7000種以上のスマートフォンで機能しており、アメリカをはじめ西ヨーロッパ、日本やアフリカなどあらゆる場所で車両管理や一般の個人に利用されています。アクティブユーザーは数千万人に上ります。

―オフラインでも使えるのですか?

 使えます。インターネットに接続している必要はありません。スマートフォンの内部ではたくさんの計算が実行されており、基地局に接続していなくとも使えるのです。

―どんな種類のデータを解析しているのですか?

 個人情報にはいっさい触れず、GPS、ジャイロスコープ、振動測定計、他にスマートフォンが備えるセンサーなどを数種類利用します。これらを統合し、外部のデータソースをいくつか加えると、車内や車外で起こっていることを常に、かなり正確に把握できます。

 車やドライバーの挙動を知りたい場合、スマートフォンのセンサーは車に接続されているセンサーより優れています。運転しながらスマートフォンをいじっているかどうかは、車のデータではわかりません。アメリカでは、衝突事故の約4分の1が携帯電話によりで気が散っていたために起こっています。これを無視するべきではありません。

―AIやマシンラーニングは使用していますか。

 はい。一例として、急ブレーキと衝突の識別を達成しました。両者を見分けるのは大変難しいのですが、マシン・ラーニングのモデルを構築し、出資者の一つであるBMWの協力を得て、衝突がどうデータに反映するかを検証しました。実際に何千台もの車を衝突させ、車内のさまざまな場所にスマートフォンを置いて、センサーデータを収集したのです。実地に収集したデータと比較して衝突と見られる実例を判別しました。

無人自動運転が普及する未来に向けて

―衝突の93%は人為的なミスによると言われます。将来の市場の成長をどう見ますか?

 自動運転車があたりまえの輸送手段になるまで、残念なことですが、ヒューマンエラーによる衝突事故は起きるでしょう。関わる産業を考えるなら、保険業界は全世界で約7600億ドル、スマートシティや車両管理などもそれぞれ数百億ドルの規模です。非常に大きな経済的可能性が見込まれるでしょう。しかしこの分野で戦いを試みるには、モラルも必要だと思います。

―あなた方のテクノロジーは車とドライバーに直結したものですが、無人の自動運転車についてどう思いますか?

 素晴らしいと思います。すべての車が無人自動運転になることを望んでいます。でもそれには数十年かかるでしょう。それまでの間、毎年130万人が亡くなるのを傍観はできません。それに私たちが収集するデータや車と人間の間に構築するネットワークは、無人の自動運転車が普及した未来でも役立ちます。自動運転車は互いにコミュニケーションをとる必要があり、人間との間で、歩行者との間でもその必要があるからです。スマートフォンはこの先もなくなることはありませんから、データを集めてそのコミュニケーションを可能にするツールとなり得ます。

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