損害保険に特化した業務管理プラットフォーム
―BriteCoreのサービス内容と特徴についてお話ください。
当社のプラットフォーム「BriteCore」は、損害保険の業務管理用サービスが36種類統合されたマイクロサービスアーキテクチャのソフトウェアスイートです。スイートには、保険証券、保険料の請求、保険金請求、データウェアハウジング、代理店および消費者のプラットフォームへのアクセスなどが含まれます。当社は、使いやすさとスムーズなワークフローを大切にしています。多くの顧客はスイートとして利用していますが、アクセス制御、アクティビティログなど特定機能のみを利用する顧客もいます。
「BriteCore」では、ほとんどの場合、スタンドアローンアプリケーションを構築し、顧客によるカスタマイズを可能にしています。API統合機能を使った、サードパーティソリューションとの連携や、ユーザインタフェース(UI)も、ネイティブUIの利用だけでなく、独自のUIに完全カスタマイズまたは部分的なカスタマイズが可能です。
―2004年の設立当時からプラットフォームはクラウドネイティブだそうですね。
そうです。2007年にAWSのクラウドサービスを採用し、2009年からは全てのサービスでAWSを使っており、当社は、AWSコンサルタントの資格も持つAWSのアドバンスドパートナーです。2010年にローンチした現在のプラットフォーム「BriteCore」もAWSを使うことを前提にPythonを使って構築し、クラウドのメリットを最大限活かしています。
勝負をかけ資金を調達
―過去3年間に、かなりの額の資金調達に成功しましたね。
そうですね。2019年にシリーズBを終え、Warburg Pincusから約4,750万ドル調達しました。2018年に行ったシリーズAでは1,300万ドル調達しています。
進化を続け、最適化されたプラットフォームであり続けるために、2018年から5年計画で、第3世代への移行と新しいサービス構築に取り組んでいます。2010年にローンチした第1世代と、その次の第2世代では、最大1億ドル程度の小規模な保険会社のみを対象にし、それ以上の規模の顧客には対応していませんでした。
ところが、当社のプラットフォームは、非常に健全なサービスとして業界内で評判になっていたので、大手損害保険会社からお問い合わせを受けるようになりました。加えて、クラウドが保険業界で認められ始め、巨大なビジネスチャンスが突然生まれました。このビジネスチャンスを掴むためにも大手保険会社に対応することにしたのです。
大規模な顧客に対応するためには新たにプラットフォームを構築する必要もありますし、第3世代への移行も必要です。しかし、当社はSaaSビジネスなので、収益は顧客から得るサブスクリプション料金に左右されます。そこで、ビジネス拡大に向け資金面を安定させるために資金調達を行いました。
業界の変化に気づき、他に先駆けて行動
―クラウドを前提にしたソフトウェアスイートを提供している競合他社はいますか。
保険業界は用心深く保守的な業界です。大手保険会社はクラウドの導入が進みませんでしたが、数年前からSalesforceなど、クラウドベースのプラットフォームを使うようになりました。これが契機になり、クラウドへの不安が徐々に薄れたようで、コア業務などに関してもレガシーシステムではなく、クラウドベースのプラットフォームに目を向ける会社が増えたのです。他の業界より遅れましたが、保険業界でもクラウドの波が押し寄せました。
当社はどこよりも早くからクラウドネイティブなプラットフォームを提供し、実績も十分にあり、プライベートクラウドなので安全面でも信頼があります。レガシーシステムのクラウド化ではなく、クラウドを前提とした作りになっていることが他社と違います。また、SaaS型サービスですので、価格競争力も高く、競合となるサービスはまだありません。類似サービスを提供している他社はいますが、早い時期から業界の変化に気づき、他に先駆けて行動を取ったことで、当社はより強い立場に立てています。