スモールビジネスオーナーやフリーランサーのためのオンラインビジネス管理プラットフォームを提供するHoneyBook。新型コロナウイルスの影響により、顧客の減収に伴うビジネスの縮小を懸念したものの、オンラインサービスの需要が高まり業況はすぐに回復。2021年5月にはシリーズDラウンドで1億5500万ドルを調達。幼なじみの妻とともに同社を創業したCEOのOz Alon氏に、創業の経緯や業況、今後の展望を聞いた。

スモールビジネスオーナーとしての悩みが企業のアイデアに

 HoneyBookは、フリーランサーやスモールビジネスオーナーのための財務およびビジネス管理プラットフォーム。写真家、グラフィックデザイナー、マーケティングの専門家、コンサルタント、花屋、DJなど、さまざまな業界のビジネスオーナー(同社では「メンバー」と呼んでいる)たちが、このプラットフォームを通じてビジネスの管理、請求や支払いのやりとり、コラボレーション、会議の予約などに活用している。

Image: HoneyBook HP

 同社は、Oz Alon氏とその妻のNaama Alon氏、CTOのDror Shimoni氏の3人によって2013年に設立された。サンフランシスコとテルアビブを拠点とし、北米の顧客にサービスを提供している。現在、Citi Ventures、Norwest Venture Partners、Aleph、Vintage Investment Partners、およびHillsven Capitalなどから資金提供を受けている。

 Oz氏とNaama氏が知り合ったのは10代の頃。その後Oz氏はイスラエル軍の諜報部を経て法律や経営学を学びバーの経営を、Naama氏はイスラエル空軍で司令官を務めたあと、デザインやUXエンジニアリングを学びデザインスタジオと、それぞれスモールビジネスのオーナーとなった。

「私もNaamaも、お互いに自身の仕事は楽しんでいたものの、仕事にまつわる管理業務、簿記の管理、請求や支払いの督促などといった業務についてはあまり楽しめないことを実感していました。そこで、同じように悩むビジネスオーナーをサポートするべくHoneyBookを始めたのです」(Oz Alon氏)

Oz Alon
HoneyBook
Co-Founder & CEO
イスラエル軍の諜報部を経て法律や経営学を学び、バー経営に携わる。2013年、ティーンエージャー時代から交流のあった妻でUXデザインの専門家であるNaama氏と、CTOのDror Shimoni氏を加えた3名でHoneyBookを創業する。

 HoneyBookは、顧客とのコミュニケーションやアポイント、スケジュール管理、オンライン決済、契約書のやりとり、タスク管理などをオンライン上ですべて実行できるよう統合されたオールインワンのプラットフォームだ。面倒な管理業務のフローを自動化可能で、よく利用される外部のクラウドサービスとの連携もサポートする。ビジネスモデルは、各種ツールの利用料のサブスクリクションと、顧客との取引に関する決済の手数料となっている。

 競合についてOz Alon氏に聞くと「同じように、実店舗を運営する事業者をオンライン決済でサポートするSquare社があります。日本でもサービスを提供しているのでご存知でしょう。HoneyBookはすべてオンラインのサービスで、対象顧客もフリーランサーが中心である点が違います」と説明した。

1年で20億ドルの決済が行われるプラットフォームに

 2020年、パンデミックによって、多くの「メンバー」たちが影響を受けた関係で、HoneyBookの売上は落ち込み、経営陣は事業の縮小も覚悟した。しかし、業況は次第に回復していった。企業や消費者がオンラインでの活動を増やしていくという変化に従って、彼らの顧客である「メンバー」たちも、新たなルールに適用し、そのサポート役をHoneyBookが果たしているのだ。

「たとえば、結婚式の撮影を専門にしていたフォトグラファーなどは多くの仕事を失いました。しかしその一方で彼らは、オンライン事業に注力する企業からの撮影ニーズに対応するなど、仕事のスタイルを変化させていきました。これに加えて、メンバーたちが行う取引先とやり取りもオンラインが中心になっています。今や契約書や請求、支払いもすべてオンラインが当たり前となり、これがHoneyBookにとっては追い風となっています。パンデミックが落ち着いたあとでもこの流れはもう後戻りしないでしょう」(Oz Alon氏)

 HoneyBookのプラットフォームを通じた取引額はこの1年で20億ドル(同社の収益源のひとつである決済手数料は3%)を超え、これは前年度の2倍以上と大きく成長している。

より多くのビジネスオーナーが仕事を楽しめるようにサポートしていく

 2021年5月にシリーズDラウンドで得た資金は、プロダクトに投資する。前述のように、HoneyBook顧客である「メンバー」はフォトグラファーもいれば、花屋、コーチ、デザイナーなどだ。彼らの職種はさまざまであるが、今後は、現在定義されていないより多くの職種に対応していくとともに、個々の職種に最適化したプロダクトを提供したいとしている。新たなサービスとしては、キャッシュフロー管理などより財政面にフォーカスした機能の開発を行っている。

 これから数年は、現在展開中の北米市場に注力し、日本市場も含めた北米以外の市場への進出については白紙となっている。もしも将来日本市場に進出する際は、多くのスモールビジネスオーナーと関係を持つ会社との提携が考えられるとした。

 同社のビジョンは、より多くの「メンバー」たちが自立していくことというOz Alon氏は最後に次のようにコメントした。

「自分のビジネスをしたいけれど、企業で働くことの持続可能性も欲しい、という考えを行き来させている人は多いでしょう。私たちのビジョンは、自分自身が自分のボスになりたいという情熱を持つ人たちのビジョンを実現できるよう、できる限りのサポートをすることです。HoneyBookによって、顧客とのやり取りやお金の管理が洗練されれば、情熱を維持しながら、独立したビジネスを遂行できると信じています。私たちは、この目標を5年後、10年後、20年後、30年後、50年後、100年後、300年後も実現し続けていきたいのです」



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