2011年に設立されたGinger.ioは、サンフランシスコに拠点を置くメンタルヘルスケア分野のスタートアップ。MITメディアラボで生まれ、スピンアウトした経緯を持つ。米国で問題視されるヘルスケア問題の解決のため、医療とテクノロジーを融合させて解決に取り組んでいる。今回はCo-Founder & CEOのAnmol Madan氏に、Ginger.ioの取り組み、今後のビジョンなどについて聞いた。

Anmol Madan
Ginger.io
Co-founder & CEO
2005年、マサチューセッツ工科大学卒業。マイクロソフトにおいてプログラムマネージャーを務めた後、マサチューセッツ工科大学博士号取得。2011年にGinger.ioを設立し、Co-Founder & CEOに就任。

モバイルアプリでメンタルヘルスケアをサポート

―まず御社のサービスを説明してもらえますか。

 私たちは様々なメンタルヘルスの問題を抱えている方々向けに、高品質で包括的なサービスを提供しています。

 私たちのサービスはモバイルアプリを利用したものです。データを学習できる能力を持ったソフトウェアを使い、患者の状態を常に正しく把握し、プロフェッショナルがサポートできる状態を整えています。プロフェッショナルとは、セラピストやコーチ、精神医学、薬物治療の資格を持った療法士など、多岐に渡っています。

Image: Ginger.io

多くの米国人を悩ませるメンタルヘルスの問題

―メンタルヘルスケアの分野においては、どんな問題があるのでしょうか。

 アメリカにおいて毎年5人に1人がメンタルヘルスの問題で苦しんでいます。その内60〜70%もの方が十分なケアを受けられずにいます。その要因には、まず医師の不足が挙げられます。次に、患者の半数以上が心臓病、糖尿病などの合併性、又は複雑なメンタルヘルスの併存疾患となっています。そういった状況が人々に十分なケアができない原因となっています。

 私はただ単に医師、療法士を増やせば問題が解決するとは考えていません。医療チームとテクノロジーのプロフェッショナルが協力し、患者が必要な時に必要なケアを受けられるようにヘルスケアとテクノロジーを融合させることこそが必要だと考えています。

エンジニアと医師が協力してサービスを提供

―これまでのメンタルヘルスケアサービスとの違いは何でしょうか。

 従来のサービスはケアが必要な時、患者は自ら連絡しなければなりませんでした。一方、Ginger.ioではコーチたちが定期的に患者と連絡を取り、患者の状態を常に正しく把握し、モニターできるように努めています。そして私たちの精神科医はiOSエンジニア、データアナリスト、プロダクトマネージャーらからも常にバックアップされています。エンジニアと医師が共に協力してサービスを提供しているのもGinger.ioの特色の1つだと思います。

―このビジネスを立ち上げたきっかけは何でしたか。

 既存のメンタルヘルスケアでは、精神科医に診察を受けるために、非常に長い期間、待たなければいけませんでした。長い時には何ヶ月間にも渡るため、患者にとって望ましいものではなかったのです。私たちが提供したかったのは、アプリをダウンロードし、数秒後には万全の体制の整ったサポートが受けられることでした。今も私たちは仲間たちとテクノロジーと医療の融合をテーマに掲げ、どのように既存のヘルスケアシステムと共存し、どうすればもっと患者の役に立てるのか、日々考えています。

―御社にはどのような社員が集まっていますか。

 才能豊かなそれぞれの分野のプロフェッショナルが集まっています。スタッフは皆、家族や友人に不安障害や双極性障害といったメンタルヘルスの問題を抱えていた経験のある者ばかりで、その苦労をよく理解しています。スタッフ全員が、ただ数字を上げて喜ぶのではなく、人々の役に立てることに喜びを感じています。

―最後に、今後のビジョンを聞かせてください。

 メンタルヘルスケアへの理解を広げていくためにも、大きな事業会社、保険会社、政府関連の保険事業とも積極的に関わっていきたいと考えています。25年先の将来を想像した時、病院に診察を受けに行くのではなく、Ginger.ioがその窓口になっているような、そんな未来を創造していきたいと考えています。



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