ノーコード×AIで簡単に業務効率化。米国で急成長するairSlateの実力

ノーコード×AIで簡単に業務効率化。米国で急成長するairSlateの実力
テックに疎い人でも、コードを書かずにワークフローが自動化できる、ボストンのスタートアップairSlate。人工知能と機械学習の力を借りて、法務、財務、人事、顧客体験などのワークフローのデジタル化と自動化を実現できる。同社は2008年に設立され、これまでの資金調達額は1億3000万ドルに上る。2020年には韓国サムスンと提携するなど、極東への本格参入も視野に入れている。CEOのBorya Shakhnovich氏に話を聞いた。

数学や統計分析の知識を活かして起業

――専門分野と創業の経緯を教えてもらえますか?

 計算生物物理学の学士号、生物情報科学(バイオインフォマティクス)の博士号を取得後、ハーバード大学の研究員になりました。バイオインフォマティクスは、新型コロナウイルスのワクチン開発にも活用されている分野です。

 大学で得た数学モデリングと統計分析の知識を活かそうと、2008年にairSlateを起業し、人工知能や機械学習、RPAなどのシステムに応用しました。

――専門知識がairSlateに活かされているのですね。

 当社の特徴は科学的手法を重視しているところだと思います。とはいえ、airSlateはそもそも、技術に詳しくないユーザーでも自動化に取り組めるよう支援することをミッションに掲げています。

 企業がワークフローを自動化するには、APIを用いているのが一般的です。ユーザーはSalesforceやエクセルなどのデータを組み合わせなくてはなりません。けれども私たちは、これらの作業をノーコードで自動にできるようにしたのです。私たちの指示通りにドラッグアンドドロップで作業すれば、専門スキルはなくても、すべてが実装できます。まさにairSlateならではです。

 また、企業で自動化が必要とされる電子署名、HTMLフォームなど、法務、財務、調達、カスタマーエクスペリエンスの分野を、ひとつのシステム内で自動化できます。異なる複数のソリューションを必要としないので、コストが削減でき、価値実現までの時間も短縮できるのです。  

――airSlateの差別化要因は何でしょうか?

 先ほどお伝えした通り、当社はノーコードのアプローチをとっており、顧客が優れた費用対効果(ROI)を得られるよう注力しています。ここが最大の差別化要因です。

 他社の多くは、局所的な問題に局所的に対処するソリューションを提案しているので、問題が複雑な場合はソリューションを組み合わせなくてはなりません。そうなれば、実装にもメンテナンスにも時間とコストがかかります。その点、私たちははるかに安いコストで済むのです。

ミシガン大学、メットライフ生命、オーストラリア自治体などが導入

――どのような顧客をターゲットにしていますか?

 当社のプラットフォームは幅広く対応できるので、特定のターゲットはありません。多くの顧客が当社製品をカスタマーリレーションに取り入れ、新規登録やサービス申込みなどを自動化しています。人事部門なら、新入社員教育や休暇申請などのワークフローを自動化するケースも多いです。

airSlateのダッシュボード画面

 顧客の業界も多岐にわたり、ミシガン大学などの高等教育機関、メットライフ生命といった保険会社、豪ニューサウスウェールズ州政府のような自治体も、airSlateのシステムで自動化を推進しています。

――ビジネスモデルは何でしょうか。直近の成長率やユーザー数についてもお聞かせください。

 基本的にはSaaSモデルで、業界を問わず、月額制や年額制で提供しています。有料顧客数は70万を超え、年間経常収益(ARR)は2021年中に1億ドルに到達するでしょう。年間成長率は50%以上です。

韓国・サムスンと提携するなど極東も視野に

――日本への参入予定はありますか?

 日本とは取引があり、代理販売プログラムも進んでいます。前のめりというわけではありませんが、市場開拓の機会について協議する用意はできています。極東地域では、昨年に発表されたようにサムスンと提携しました。サムスンの新マーケットプレイスに導入された電子署名ソリューションはairSlateのみです。

――資金調達も順調のようですが、どのような使い道を考えていますか?

 パートナーシップ開拓や他地域への参入を念頭に置いています。

――新型コロナウイルスにはどう対処しましたか?

 もちろん、在宅勤務やリモートワークに切り替えるなどしました。顧客や市場開拓という点では需要がかなり増加しています。こうした状況での事業継続にはデジタル化と自動化、リモートワークが不可欠だという考えが広まっているのでしょう。ただ、一企業の立場から言えば、従業員が顔を合わせて働けないことは難しいですね。

――今後の展望を教えてください。

 どんどん成長していきたいですね。当面はAIと機械学習をプラットフォームにいっそう統合していくことに力を入れていきます。何より、もっと多くの人にairSlateによるデジタル化と自動化に挑戦してもらいたいですね。

Borya Shakhnovich
airSlate
CEO & Co-founder
2001年にイリノイ大学で計算生物物理学の学士号、2005年にボストン大学で生物情報科学(バイオインフォマティクス)博士号を取得。ボストン大学とハーバード大学の研究員を経て、2008年にairSlateを創業。

カテゴリー AI / Massachusetts / Startup / airSlate
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