Image: Unqork
Unqorkは、保険・金融サービス向けに顧客自身が製品コンフィギュレーションからプラットフォーム構築までをドラッグ・アンド・ドロップのみで開発を進める、完全ノーコードのソフトウェア開発サービス「DIYエンタープライズ」を提供している。今回はFounder & CEOのGary Hoberman氏に話を聞いた。

Gary Hoberman
Unqork
Founder & CEO
1994年ニューヨーク大学スターンスクールオブビジネス卒業。1996年よりManaging Directorとしてシティーグループに勤務しながら、ニューヨーク大学の非常勤教授も務める。2012年にメットライフ生命保険に入社し、2014年には最年少でExecutive Vice Presidentに就任。47カ国、10,000人の部下を指揮した。2017年にUnqorkを設立しCEOに就任。

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実際に自分で動かしてみないと本当に必要な機能はわからない

―保険・金融サービス向けのソフトウェアのDIYは、今までにない新しい考え方ですね。

 そうですね、全く新しい発想ですし、競合はいません。

 私は約24年間、保険・金融業界でテクノロジーを使った事業革新に携わってきました。そしてある結論に達しました。それは、プラットフォームを実際触ってみないと本当に必要な機能はわからない、ということです。これはどの業界用のプラットフォームでも言えることだと思います。

 ソフトウェアの開発が一般的になった当初、プラットフォーム構築は家を建てるようなものでした。例えば、実際に建物が完成した後に窓の位置を変えたいと思っても動かすことはできませんし、窓がどこに欲しいかは実際に作ってみないとわからないのに、建てる前に位置を決めなければならない。

ノーコードで写真のようなフロントエンドが作成可能  (Image: Unqork)

 この問題は、国や言葉、使っているコード、どのソフトウェアベンダーが関わっているか、どこのコンサルタントのサービスか、などは全く関係なく、コードを使って作っていることに起因していました。コードを書いて作ったプラットフォームは作り上げた時点で変更は難しくなりますし、どのコードでも翌年にはレガシーシステムになります。

 コードに縛られない「ノーコード」で、ソフトウェアを使う人自身が機能を試しながらカスタマイズされたソフトウェアをDIY(構築)するプラットフォーム。これがUnqorkです。

―Unqorkで作れるソフトウェアの内容を教えてください。

 Unqorkは保険証券の発行や口座開設などを履行するソフトウェアを構築する、多言語・多通貨に対応したエンドツーエンドプラットフォームです。

 現在、アメリカ、カナダ、ラテンアメリカ、そしてアジアでは6カ国で活用され、日本語と日本円にも対応しています。例えば、日本の銀行用に、口座開設用ソフトウェアを作ることもできますし、保険会社用に、アンダーライティングからサービス提供まで一連の業務に対応するプラットフォームを構築することも可能です。

 Unqorkを使うと、例えば、8週間でコンフィギュレーションから導入まで完結できます。

システム開発に潜むリスクはUnqorkが持つ

―Unqorkのビジネスモデルを教えていただけますか。

 DIYして作ったシステムを実際に使用した時にのみ料金が発生します。これも今までのサービスとは違う点かもしれません。

 従来は、ソフトウェアやシステムを作る際には、コンフィギュレーションからコストがかかり、導入した後もコストがかかりました。しかし、出来上がったシステムが実際使えるものかわかりませんでした。このリスクはUnqorkが負担します。

 例えば8週間後にできあがったシステムが気に入らなければ、顧客はそのシステムを使う必要はありません。使わなければ料金は発生しませんので、最初のデプロイメントが終わる前に、別のプロダクションデプロイメントが始まり、また次が始まるというようなイメージで活用している顧客が多いです。

社内の開発チームが「競合」

―業務に直接関わる担当者がソフトウェアをDIYできるとよりよい物がつくれますね。

 そうですね。それだけでなく、当社の顧客でフォーチュン100企業にランクインしている企業では、Unqorkを使った結果、ITを含める全体の運用コストが68%削減したということでした。Unqorkを使うことは経費削減になり、トップダウンで採用されるケースがほとんどです。

 先に競合他社はいないとお伝えしたように、100%「ノーコード」でエンジニア不要なソフトウェアのDIYはUnqorkだけです。例えば日本でも多く使われている損害保険会社向けプラットフォームのGuidewireは「ローコード」で、最後の30%程度はエンジニアが関わる部分が存在しますので、競合だとは考えていません。

 当社にとっての「競合」は社内の開発チームかもしれません。コードを書くために雇用されたメンバーは、誰でもソフトウェアが作れるようになると、自分たちは明日から何をすればいいのか、ということになりますから。

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