Image: Snowflake
2012年に創業、2018年にユニコーン入りを果たしたクラウドデータウェアハウスのSnowflake。グローバル展開を進めており、2019年11月には日本法人の設立を発表した。これに先立ち、共同創業者のBenoit Dageville氏にインタビューした。

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2012年に起こった、革新的な2つの変化

―どのような経緯で起業をしたのでしょうか。

 きっかけは2012年にきわめて革新的な2つの変化が起こったことです。1つはデータ分析システムにビッグデータが入ってきたこと。それまで伝統的なオラクルのような企業は“ビジネスデータ”だけを扱っていました。ビジネスデータとは、たとえば顧客がオンラインショップで買い物をした取引情報などのデータです。

 しかし、顧客との相互のアクションはすべてシステムを通じて行われるようになり、システム自体がデータを生み出し続けるようになりました。こういったマシン生成データは膨大で構造化されていませんが、分析すれば、大きな価値を生み出します。従来取り扱っていたビジネスデータと、マシンによって生成されたビッグデータを分けずに、一つの場所で分析する必要がありました。

 もうひとつ大事な変化は、クラウドの世界が始まったことです。クラウドはデータ分析のあり方を根本的に変革します。クラウドによって、ソリューションのインストール・管理・運用が不要になり、誰でも簡単にソリューションを利用できるようになりました。企業規模を問わず、皆が使えるようになった点で革新的でした。

 またクラウドによって、リソースに無制限にアクセスできるようになりました。事前にリソースを準備しておく必要はなく、必要な時に必要なだけリソースにアクセスできるようになったのです。

Benoit Dageville
Snowflake
Co-Founder & President
フランスでデータベースシステムについての研究で博士号を取得後、オラクルでの15年間の勤務などを経て、2012年にSnowflakeを創業。

複数のクラスターでアクセスを多様化

―そのタイミングでSnowflakeを創業したのですね。

 それまではシステムが許容できる範囲でビジネスが行われていたわけですが、この制約を取っ払いたいと思ったのです。

 Snowflakeでは必要なことを全部できるようになります。ビジネスや需要が先にあり、キャパシティによってそれを制限する必要はないわけです。データを全部入れられますし、様々な場所からアクセスすることができます。

―競合との違いはどのような点にありますか。

 Amazonやオラクルが競合になりますが、私たちはデータのアクセス方法を根本的に変えました。伝統的にはシングルクラスターアーキテクチャと言われていますが、Snowflakeはクラウドだけに向けて作られているので、クラスターをいくつも持っています。

―どのようなビジネスモデルなのですか。

 SaaSサービスとして提供しています。サインアップすればすぐに使うことができ、利用量に応じて課金されます。

―グローバル展開はどのように考えていますか。

 データへのアクセスは世界のどこからでもできます。私たちのビジョンは異なる地域、異なるクラウドでもグローバルで全てがつながっている世界を作ることです。データによって様々な意思決定が可能になるデータドリブンの世界を実現したいのです。

 現在は欧州、豪州、シンガポールに展開しています。日本にも法人を設立し、これから事業展開を進めていきます。

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