ニューヨークとカリフォルニアの都市部でEV車両限定のライドシェアサービスを展開するRevel(本社:米国ニューヨーク州ブルックリン)。Tesla車を中心に550台の保有車両の全てがEVで、サービス利用者は数十万人を超える。ニューヨークのような都市部では、EV充電所が圧倒的に不足しているため、自社運営の充電所の拡充を戦略に掲げているのが特徴だ。Revelの共同創業者でCEOのFrank Reig氏に話を聞いた。

ライドシェアがEVシフトを加速させる

―EV車両限定のライドシェアサービスを展開している理由はなぜでしょうか。

 ガソリン車からEVへのシフトは自動車業界の大きなトレンドですが、実際は米国の都市部ではEVへの移行は進んでいない状態にあります。その大きな理由は、充電所の不足にあります。ガソリン車で言うところのガソリンスタンドの建設が進まず、投資効率も悪い現状では、EV車両をあえて買おうというインセンティブが働きません。つまり、都市部でのEVシフトは行き詰まっているのです。

 当社はライドシェアのサービス展開に、充電所の建設を合わせることで、EVシフトを加速しようとしています。実は、この戦略はTeslaから学んだものです。Teslaも車両販売を本格化する前にまず充電所の建設に取り組みました。

Frank Reig
Co-Founder & CEO
Rutgers Universityで環境科学を専攻し学士取得、Columbia Universityで行政学修士課程を修了。不動産ディベロッパーCushman & Wakefieldでは持続可能なプログラムの導入を促進。Gerson Lehrman Groupでエネルギー分野のリサーチに携わった後、2018年にRevelを創業。

 現在、当社ではニューヨークで40カ所の充電所と、レベル3の急速充電スタンドを備えた2カ所の「Superhubs」を保有しています。あらゆるEVブランドに対応していますが、Revel車両以外の利用は10%程度と、ほとんどが自社利用です。

 EVのライドシェアの利用方法はいたってシンプル。UberやLyftのようにアプリを使い、目的地を指定するだけです。現在、Revelライドシェアの利用者は数十万人存在します。ニューヨークでのライドシェア市場の市場規模は100億米ドル規模と巨大であるほか、同州では2030年までにライドシェア車両のゼロエミッション化を推進しようとしています。

 つまり、Revelが現在展開するサービスはニューヨーク州の政策目標とも合致するものであり、将来性があると言えるでしょう。ちなみに、現在の同州のライドシェア車両のEV比率は約1%程度であり、完全ゼロエミッションへの道のりはまだ始まったばかりなのです。

 また、電動モペットのシェアリングサービスも手掛けていて、ニューヨーク州とカリフォルニア州サンフランシスコベイエリアで数千台を保有しています。これは2人乗りが可能なサービスで、最高時速48km (30mph) で走ります。ヘルメットがモペットに付属しているほか、乗り捨ても可能など、短距離の移動にぴったりです。

image: Revel

他を圧倒する充電スタンド数

―EVの普及には、ライドシェアとの相性が良かったということでしょうか。

 都市部に限ってはそうだと思います。というのは、もともと都市部では自家用車の保有率が低いですし、充電スタンドの設置も困難です。車両1台の充電を10〜20分で完結させる急速充電スタンドを多数設置しようとすると、超高層ビルに電力を送るのに匹敵する送電網を必要とするのです。ニューヨークやカリフォルニア州ベイエリアでそれを早急に実現するのは非常に困難でしょう。

 自社で充電所を保有しているライドシェアサービス企業である当社は競争優位に立てているのです。

―Revelのビジネスモデルについて教えてください。

 われわれは他のライドシェアサービス企業とは異なり、ドライバーを自社で雇用しています。そうすることで、人材配分をうまくコントロールできるほか、優秀なドライバーには定着してもらうことが可能です。現在は550台の車両を保有し、1,500人のドライバーを雇用しています。

 フリートは最初はTesla車のみでしたが、今年からKia車も追加しました。運賃は他のライドシェアサービスと同水準で、EVだからと料金を上乗せすることはありません。米国都市部でのライドシェアはもはや市場として定着していますから、ビジネスモデルが大崩れすることもないと考えています。

 事業規模は急拡大していて、2023年末までにニューヨークで150カ所、ベイエリアで100カ所の充電所をさらに建設する予定です。計画では、向こう1年半で米国の2大市場で計500カ所の充電所を建設する予定で、これはTeslaを含む他のどのEVメーカーよりも多くの充電網を築くことになります。ライドシェア利用者数も増えており、ビジネスは順調ですよ。

Toyota AI Venturesも投資

―Revelを創業した経緯を教えてください。

 2018年に創業した当初は、電動モペットのシェアリングサービスを中核に置いていました。当時、私たちは欧州の都市部で電動モペットが定着しているのを知っていましたが、米国でそれが路上を走っていないのは不自然だと思っていたのです。その後、先ほどお話しした通り、充電スタンド不足という課題に直面しました。そこで、現在はライドシェアサービスを主力にビジネスを開発しています。

―Toyota AI VenturesもRevelの投資家です。彼らが御社に興味を示した理由をどのように分析していますか。

 ToyotaもEVシフトを進めたいと思っているからだと思います。われわれは米国で最大の充電インフラ事業者になるポテンシャルがあります。そうした企業に投資することは、今後、米国市場でEVを売りたいToyotaからしても、理にかなったものだったのでしょう。

―日本市場のポテンシャルをどのように見ていますか。

 われわれは日本市場への参入に前向きです。特に東京は、ニューヨークやロンドンと並ぶ最も大きな市場の1つです。今後数年間は米国でのビジネスに専念しますが、日本進出の可能性は否定していません。

image: Revel

2024年にはEBITDA黒字へ

―日本の大企業とのパートナーシップを考えた場合、どんな業界・業種の企業とどのような形態のパートナーシップを組むのが理想でしょうか。

 EVに関わるビジネスを展開する企業ならどことでも話をしてみたいですね。充電スタンドやバッテリー、エネルギー管理システムを構築する企業などが挙げられます。

 われわれの充電スタンドではバッテリーの併設を含めた、収益の最大化の方法を常に模索していますので、そうしたノウハウを持っている事業者には特に関心があります。

 協業の形態として最も理想的なのはジョイントベンチャーや資本提携でしょう。ニューヨーク州は政策的にライドシェア車両のEV化に取り組んでいることから明らかなように、われわれのビジネスにおいては地域に密着し、規制を含めた市場動向を観察できるパートナーの存在が不可欠です。もちろん、共同開発や代理店など他の形態にも関心がありますよ。

―最後に、向こう1年間の目標を教えてください。

 向こう1年から1年半の間に、EBITDAの黒字化を目指しています。この目標に関しては達成できる大きな自信があります。それと、先ほどお話しした充電スタンド数の拡大。最後に、売上高の拡大です。計画では2024年には現在よりも2倍近い成長を遂げられる予定です。今後は車両台数を1,000台の大台に乗せられるよう、利用者を増やしていきます。



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