LIVELYは、ありのままの自分でいることを好む自律する女性の活動を支援することを企業理念に、商品企画および販売を行っている。機能性と装飾性を保ちながら、快適に着けられる女性用インナーウェアを主商品に、独自のコミュニティを形成し、世界中にファンを持つD2Cスタートアップだ(2019年にWacoalが買収)。今回はFounder & CEOのMichelle Grant氏に話を聞いた。

ウェディングドレスもオンラインで簡単に売買。フォーマルウェアのマーケットプレイスQueenly
関連記事
ウェディングドレスもオンラインで簡単に売買。フォーマルウェアのマーケットプレイスQueenly
「ウェディングドレスもオンラインで簡単に売買。フォーマルウェアのマーケットプレイスQueenly」の詳細を見る

非現実的な「女性らしさ」に自分を合わせる必要はない

―まずはCEOの経歴と、LIVELY設立の経緯を教えていただけますか

 私の両親はインドからの移民です。人生の成功は、銀行家、医者または弁護士になることだと言われて育ち、大学では金融学を専攻しました。しかし、私は金融系企業でインターンをした際に、仕事に対して情熱や生きがいを感じることがでず、自分が興味を持てるファッション業界に進むことにしました。

 私はVictoria’s Secret(米国発のファッションブランド、セクシーなデザインが特徴)で働いていた時に、「Victoria’s Secret」と聞いたら皆、「エンジェル(広告塔を務めるトップモデル)」「ファンタジー」そして「プッシュアップ」を思い浮かべる程、「女性的」なインナーウェアに対するイメージが浸透していることに気づきました。米国の女性用インナーウェア市場は130億ドルです。その35〜40%をVictoria’s Secretが占めています。しかし、女性は皆、スーパーモデルのようにならなければ、と感じる必要はありません。ありのままの自分でいられる下着で、下着を着けた自分を見た時に良い気分でいられるような、女性をインスパイアする物を作りたいと考え、LIVELYを立ち上げました。

 私は、Concept Customerというマーケティング・コンセプトが大好きです。LIVELY設立時にもコンセプトを大切にしました。また、ビジネスや金融のバックグラウンドが小売販売業で活きています。  

Michelle Grant
LIVELY
Founder & CEO
University of Pittsburghにて金融学の学位を取得。卒業後はファッション業界に進み、NauticaのSenior Merchandise Manager、Victoria’s SecretのDirector/Senior Merchantや、オンラインメディアのThrillist Media GroupにてVice Presidentを務めた。2015年にLIVELYを立ち上げ、Intimates Onlineを設立。
 

自ら広告塔として活動する10万人のLIVELY Ambassadors

―従来の「女性的」な下着とはどういった点で違うのでしょうか。

 従来のブラジャーには沢山のワイヤーが使われ、25から40の異なるコンポーネントがあります。複雑な構造になっているため、女性が自分の体を下着に合わせる必要があります。

 当社では、アスリート用の下着や水着などの「人の体に合わせる」要素と、ランジェリー(装飾性がある下着類)の機能を組み合わせた「Leisuree」を主商品としてD2C(Direct to consumer)でご提供しています。ブランド立ち上げから4年かけてLIVELYコミュニティを育て、現在はかなりの規模になりました。LIVELYのコンセプトも浸透し、LIVELY Ambassadorとして活動する愛用者の数は10万人に達しています。

―オンラインストアのみで販売しているのでしょうか。

 1年前までは99%オンラインストアでしたが、現在は米国内に実店舗が4店あります。また、Nordstrom(全米有数の大型百貨店チェーン)がパートナーになり、多様な販売ルートを持っています。

 商品も、インナーウェアだけでなく、フレグランス(香水や石鹸など)や、「Cool Things」というカテゴリーを設け、靴下、トートバッグ、シュシュやノートまで、取扱商品の幅を拡げています。  

購入者は世界80カ国以上に

―米国外からも御社サイトで商品を買うことはできますか。

 海外への直販は行っていませんが、80カ国以上の皆様に当社の製品をご購入いただいています。

 米国外でも需要が見込めますが、会社の規模が大きくなると舵取りが難しくなります。一般的なデータにおけるスタートアップの生存率は、5年で40%、10年では10%ですので、早期段階における規模拡大や海外進出は控えてきました。

―2019年にワコールホールディングスに買収されましたね。今後日本での展開が楽しみです。

 そうですね。ワコールの米国子会社を通じた買収でした。

 海外進出する際は、サイズなどの違いだけでなく、国ごとの文化の違いなどを理解する必要があります。日本やその他の国の女性がどういったインナーウェアを好み、使っているのか、とても興味があります。ワコールと共に日本の女性の、パッション、生きがい、そして自信に満ちた生活を応援できることを楽しみにしています。

2021年にユニコーンになった世界のスタートアップを総まとめ「New Unicorns 2021」レポート
関連記事
2021年にユニコーンになった世界のスタートアップを総まとめ「New Unicorns 2021」レポート
「2021年にユニコーンになった世界のスタートアップを総まとめ「New Unicorns 2021」レポート」の詳細を見る

【まとめ】国際女性デー ビジネスで「道」を切り拓く女性たち 起業、投資、変革、共創
関連記事
【まとめ】国際女性デー ビジネスで「道」を切り拓く女性たち 起業、投資、変革、共創
「【まとめ】国際女性デー ビジネスで「道」を切り拓く女性たち 起業、投資、変革、共創」の詳細を見る



RELATED ARTICLES
BNPLを発展させたPOSファイナンス、鍵は「即時信用ビザ」の構築 ChargeAfter
BNPLを発展させたPOSファイナンス、鍵は「即時信用ビザ」の構築 ChargeAfter
BNPLを発展させたPOSファイナンス、鍵は「即時信用ビザ」の構築 ChargeAfterの詳細を見る
ランタイム環境とCI/CDデータつなぐ クラウド時代のセキュリティに利便性を Upwind Security
ランタイム環境とCI/CDデータつなぐ クラウド時代のセキュリティに利便性を Upwind Security
ランタイム環境とCI/CDデータつなぐ クラウド時代のセキュリティに利便性を Upwind Securityの詳細を見る
Grab出身の3人が創業、位置情報技術でルーティング支援 Nextbillion.ai
Grab出身の3人が創業、位置情報技術でルーティング支援 Nextbillion.ai
Grab出身の3人が創業、位置情報技術でルーティング支援 Nextbillion.aiの詳細を見る
創業2年のパープレキシティが挑む、「Google」という常識の再考 CEO来日インタビュー後編
創業2年のパープレキシティが挑む、「Google」という常識の再考 CEO来日インタビュー後編
創業2年のパープレキシティが挑む、「Google」という常識の再考 CEO来日インタビュー後編の詳細を見る
「忘れられた労働者」を救え 監査担当者向け自動化プラットフォームを提供するDataSnipper
「忘れられた労働者」を救え 監査担当者向け自動化プラットフォームを提供するDataSnipper
「忘れられた労働者」を救え 監査担当者向け自動化プラットフォームを提供するDataSnipperの詳細を見る
SONYやバンダイナムコも出資、「ゲームの世界観」に広告を溶け込ませるAnzu
SONYやバンダイナムコも出資、「ゲームの世界観」に広告を溶け込ませるAnzu
SONYやバンダイナムコも出資、「ゲームの世界観」に広告を溶け込ませるAnzuの詳細を見る

NEWSLETTER

世界のイノベーション、イベント、
お役立ち情報をお届け
「グローバルオープンイノベーションインサイト」
もプレゼント

Follow

新規事業の調査業務を効率化
成長産業に特化した調査プラットフォーム
BLITZ Portal

Copyright © 2024 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.