Image: Juvo
2014年に設立されたJuvoは、モバイル行動をもとに信用力を分析・構築するスタートアップ。新興国や途上国の人々が金融サービスにアクセスできるよう貢献する同社のFounder & CEOのSteve Polsky氏にインタビューした。

Steve Polsky
Juvo
Founder & CEO
ペンシルバニア大学を卒業後、教育関連ソフトウェア開発企業や映画関連SNSのフリックスターでCOOを務めるなど数々のビジネスを経て、2014年にJuvoを設立しCEOに就任。

モバイル利用履歴から超少額の融資を提供

―御社のビジネスモデルについて教えてください。

 当社ではおもに新興国や途上国の方々を対象に、日々のモバイル行動から財務的な信用力を分析し、超少額融資を提供しています。利用に伴って信用力が向上すればスコアが上がり、それに応じて融資額も増加します。

―画期的なサービスだと思いますが、どのような背景で生まれたのでしょうか。

 携帯電話は世界中で使用されていますが、実はその80%がプリペイド式の電話です。主にアフリカやアジアなどで利用されるプリペイド式電話は前払い方式なので、事前に入金した分だけ通話やデータ通信ができるシステムです。残高がなくなれば、追加料金を随時支払うことになります。ただ、利用者の多くは銀行口座も持たず、信用力がないことからクレジット決済などもできないため、追加入金手続きのためには店舗に足を運んで現金払いしなければなりません。入金が間に合わずに携帯電話サービスを受けられないことも多く、現在のデジタル経済から取り残されているのが実情です。

 Juvoでは、まずは一日分の通話料といった超少額融資から始めます。期日までに返済していただけた方は信用力あり、ということで、次は2日分を融資させていただくかもしれません。それを積み重ねていくことで信用スコアを構築していただけます。

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―具体的にはどのようにして携帯電話で信用力を構築するのでしょう。

 我々は東南アジアやラテンアメリカ、ヨーロッパ、アフリカなどの大手携帯電話会社と提携し、消費者の了解を得たうえで利用状況を分析して信用プロフィールを構築します。電話会社の方も消費者との関係性を深めることができますし、利用者も信用力を構築できるため、双方にメリットがあります。

―御社の強みはどこにありますか。

 そうですね、何よりも消費者の方に「最初の一歩」を提供するサービスですから、これまでにない画期的な市場だと思います。すべての金融サービスへの入り口ということですから。あとは、市場規模も大きいですね。ある国でサービスをローンチしようと思うと、すぐに携帯電話利用者全体の40%から50%程度にリーチすることになりますから。国の人口でいえば、20%くらいですね。会社設立から約4年ですが、すでに25カ国ほどに展開しており、トランザクション規模は5億件にも上っています。

―収益モデルはどのようになっていますか?ユーザーが使用料を払うのでしょうか?

 ユーザーから料金はいただいておりません。手数料も利子もありません。マネタイズについては、あくまで、携帯電話会社との取引になります。

世界中の人々にデジタル経済への参加機会を提供したい

―CEOの経歴について教えてください。

 Juvoは私にとって5つ目のスタートアップです。初めはラテンアメリカや中国に展開する会社でした。私は国際的なビジネスに大いに惹かれました。その中で、携帯電話を通じてユーザーにリーチすることに可能性を見出しました。いくつかの会社を経て、今Juvoにたどり着いたわけです。アイデアを実際のチームや組織、そして製品という形にして消費者へと提供し、さらに成長していく…そういったプロセスが本当に楽しいのです。

―御社の将来的な展望について聞かせてもらえますか?

 大きな志を抱いています。何億という消費者がデジタル経済の一員になってくれれば、と考えています。これはクラウドが登場する前はあり得なかったことです。幅広いユーザーにリーチし、ゆくゆくは金融サービスや保険サービスなども提供できるようになればいいですね。今も世界中の銀行や保険会社などと少しずつ話が進んでいます。我々は何十億という人の可能性を開く、ビッグデータ企業ですから。

―海外進出についてはどうでしょうか。日本のマーケットも含めてお聞かせください。

 今も世界中にオフィスを抱えています。元来がグローバルな会社ですから。先日はシンガポールにオープンしたばかりですし、ブラジルにもあります。ただ、基本的にはプリペイド式の電話しか使えないような、金融サービスを受けることが難しい環境にいる方々をターゲットにしているので、正直日本の消費者は主要顧客層とは言えません。ただ、日本にもそういった国々に向けてサービスを提供する携帯電話会社や金融会社などはありますから、パートナーになっていただける企業がいれば、前向きに考えていきたいですね。



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