自然言語処理は機械学習で最大の分野
―どのような経緯で創業されたのでしょうか。
私はテック業界で10年のキャリアですが、自然言語処理に強く惹かれてきました。私のバックグラウンドはコンピュータービジョンですが、自然言語処理は機械学習で最もインパクトの大きい分野であると確信してきました。そこで、Co-founderのJulien Chaumondとともに、対話型のAIを開発する目的で創業しました。
対話型AIは、自然言語処理の最高の形だと考えています。対話はおそらく自然言語処理の中で最も難しいタスクです。多数の異なるタスクをうまく処理するのに長けている必要があるからです。適切な会話をするには、ユーザーの意図を把握したり、ユーザーのメッセージから情報を引き出したり、ユーザーの感情を理解したり、メッセージに対して回答したり、といったことに長けていなければなりません。
私達が開発を進めれば進めるほど、私達の技術が他社にとっても有用で、対話だけでなくどの自然言語処理のタスクにも役立つということに気付きました。文章の分類、文章からの情報抽出、完全な文章生成と適正化などです。
そこで私達は次第に、対話型AIのみを提供していた段階から、自然言語処理のオープンソースを提供するようになっていきました。
文章理解と情報の分類・摘出に強み
―詳しいプロダクトについて教えてください。
当社は、文章からの情報摘出といった技術をオープンソースとして提供しています。まだマネタイズまでには至っていませんが、多くの企業や個人に利用していただいています。
―その使いやすさはどこにあるのでしょうか。
すぐに活用できるという点です。情報を分類、理解、抽出、文章を生成するのにもすぐに活用できるのです。例えば、カスタマーサポートのメールや、TwitterやFacebookなどソーシャルメディア、新聞、書籍の投稿からも、特定のトピックについての情報抽出をしたい時にいつでもできるのです。
企業がこれを活用することで、文章を理解してより良いプロダクトを作ったり、全く新しい機能を作ったりすることができます。ウェブサイトで文章のトピックに基づいた分類をすることもできます。
文章を理解し分類する技術を活用できれば、社内の機能一つ一つをより良くすることができます。それは、より良いカスタマーサポートを提供し、社内外のコミュニケーションを向上させ、売上を伸ばすことにつながります。
また私たちのオープンソースは、米国だけでなく、アジアでも活用されています。日本でも、コントリビューターの強力なコミュニティの協力を得て、日本語にも対応することができました。
機械が人間同様に文章を理解する時代に
―当面の目標と、長期的な目標を教えてください。
当面の目標は、全ての人に当社のオープンソースを活用して頂くことです。
長期的には、機械が人間同様に文章を理解する技術開発に貢献することです。そうなれば、社会にも人間にも良い変化が訪れると確信しています。