個人的な必要性が、ビジネスチャンスに
―まずはGumroadを設立した経緯を教えてください。
もともとはPinterestで働いていました。あるとき、自分がPhotoshopでデザインしたものを売ろうとしたのですが、どの方法も煩雑で。簡単に販売できるサービスが欲しい、そう思ったことがきっかけで、Gumroadを設立しました。
―ご自身のニーズが発端となり、生まれたビジネスなのですね。
そう、まさに私の個人的なニーズからスタートしました。私は、自分が楽しく取り組める仕事をすることはとても重要だと思っていて、それはきっと自分の人生を豊かにしてくれると考えています。自分が成長するためのフィードバックを繰り返すことで、少しずつ、でも確実に、ビジネスも成長していくのです。
クリエイターと購入者の直接売買を、簡潔に実現
―御社のサービスと、ビジネスモデルについて教えていただけますか?
クリエイターと購入者が、作品を直接売買できるサービスを提供しています。クリエイターというのは、例えば、ミュージシャン、デザイナー、ライター、映像作家、コメディアンなどが対象です。写真家なんて、今やコンピューターで取引することが多いですよね。そんな人たちが、中間者を介さず、簡単な方法で制作物を販売できる仕組みを実現させました。私たちが利益として得るのは、その売上金の一部です。
―競合はいますか?また、他社にはない、御社独自の強みも教えてください。
設立当初、同じ類のサービスはあまりなかったので、競合自体は多くありませんでした。ただ、需要もはっきりしていなかった。「デリバリーが必要とされていたから、Uberを創業した」というようなものではなく、私たちのサービスに対する需要から考えていかなければいけない、というような、曖昧なところから始まりました。
私たち独自の強みといえば、サービスが非常にシンプルで、誰でも簡単に利用できることです。シンプルで簡単、というのが、最も大切な点だと考えています。
絶対的なソリューションとして、世界で存在を示していく
―海外での事業展開はしているのですか?
すでに、事業全体の60%が海外におけるものとなっています。シリコンバレーのエンジェル投資家やベンチャーキャピタルから、810万USドルの資金調達を得て、展開につなげることができました。
―今後のビジョンについて教えてください。
正直、明確な今後のビジョンはありません。私たちは、Gumroadを設立して以来、ただひたすら利用者のニーズに沿ってサービスを改善することに努めています。
なにか目的があって改善を続けているというよりは、このサービスを立ち上げて、利用者のニーズに合わせてサービスを変えていった結果、どうなるのかが見てみたいのです。
―最後に、日本でのビジネス拡大のため、企業に求めることは何ですか?例えば、パートナーや、投資家が必要だとか。
クリエイターと付き合いのある日本の会社や、あるいはGumroadのように、誰かの役に立つサービス作りに取り組んでいる企業に、まずはGumroadという会社の存在を知ってもらえたらいいですね。