治安情報の民主化
―創業するうえでのインスピレーションを教えてください。
自分も含めて誰もが誇れるものを作り、世界をより良くするようなことをしたかったのです。
現在、世界ではスマートフォンが40億台使われていますが、これは人と人とを繋ぐうえでかつてないような強力なインフラだと考えています。それを活用し、これからの世界にとって必要とされるようなものを作ろうと考えました。
―御社は人々の安全のための無料アプリを開発されているんですね。
Citizenは、身の回りでの何らかの危険や起きている状況をリアルタイムで警告するアプリです。今いる建物で火事が起きた時には、火災報知器が鳴るよりも先に通知します。他にも、「300フィート先で銀行強盗」など、自分の身に及びそうな犯罪、火災、緊急事態の情報をリアルタイムで知らせます。
ニューヨークには警察官が総計で4万人近くいると考えられていますが、緊急事態が起きた時には5000人の警察官が動員されます。そしてここには年間48億ドルの予算が費やされています。一方で、Citizenは緊急事態が起きた時に、100万人のニューヨーク市民に同じ治安情報を届けています。これは治安情報の民主化と言えます。Citizenは現在ニューヨーク市内の10%において稼働している状況です。
まだマネタイズができる段階に至ってないですが、機が熟した段階になったら、ユーザーにもビジネスモデルやマネタイズの仕組みをオープンにしたいと考えています。
―どのようにして情報を得ているのでしょうか。
アメリカでは緊急時の初期対応はオープンラジオシステムを使用しています。ですので、警察官が派遣される場合の連絡は公開電波を通して住所とともに送信されます。私たちはそこから情報を得ています。
ニューヨークほか米国の6大都市で利用可能
―Citizenは現在どの都市で利用できますか。
最初に始めたニューヨークに加え、サンフランシスコ、ロサンゼルス、フィラデルフィア、ボルティモア、フェニックスで利用できます。今後はもっと利用できる都市を増やし、やがては全ての都市で利用できるようにしたいです。
―そうなってほしいですね。新たな都市で稼働させるにはどんなプロセスを経ていますか。
自社のハードウェアをカスタマイズします。また該当都市で住民や公共機関の関係者にも会って、アプリの概要や使い方を説明します。
世界中の安全に貢献したい
―当面の目標と、長期的なビジョンを教えてください。
当面の目標は、Citizenに新機能を追加し、価値を高めることだと考えています。長期的には、世界中の全ての人のスマホにインストールされ、世界のどこでも安全を守れるようにしたいです。
―日本やアジアで展開することになったら、どのようなパートナーが必要と考えていますか。
日本はオリンピックを控えています。Citizenは会場、選手村、近隣地域を含めたオリンピック関連施設全ての安全に貢献できます。オリンピックの警備に関わるビジネスパートナーと協議できたらと思います。