image: mentalmind / Shutterstock
日本でも2023年12月の政府の「デジタル行財政改革会議」を経て、ついに条件付きの解禁が決まったライドシェア。ただ、地域や時間帯は限定的で、焦点となっていた一般ドライバーによるサービス提供は先送りされるという骨抜きのスタートとなりそうだ。一方、世界各国ではライドシェアはすでに生活の一部として定着。車両を活用した広告、飲食店への誘客といった「配車」以外の派生ビジネスも生まれている。近い将来に訪れるかもしれない日本での本格解禁に向けて、世界の先行事例を見ていこう。

世界各国ではライドシェアが生活の一部として定着している(image: Diego Thomazini / Shutterstock)

ライドシェアとは:
スマホアプリを介して、乗客とドライバーをマッチングさせるサービス。タクシーのように路上で「流し」の車両を捕まえることは一般的に認められていない。業界の草分け的存在であるUberが2009年に創設され、その後、世界各地で同様のサービスが広がった。当初、企業側はあくまでプラットフォーマーであることを主張し、雇用関係はないとして、ドライバーの品質確保や最低賃金などに関与しない立場を示していたが、近年は各地で法整備が進み、ライセンスの取得が義務付けられるケースなどが増えてきた。

<目次>
ライドシェア、世界は陣取り合戦着々と
ライドシェアが生んだ派生ビジネス
TECHBLITZが選ぶ、ライドシェア関連のスタートアップ5選
 1. Freebird(米国)
 2. Firefly(米国)
 3. INSHUR(米国)
 4. Zum(米国)
 5. Pathao(バングラデシュ)

ライドシェア、世界は陣取り合戦着々と

 ライドシェア解禁の議論が続く日本を尻目に、世界では「陣取り合戦」が着々と進んでいる。日本でも馴染みのあるUberは、足元の北米を中心に世界各地で手広くシェアを確保。欧州では、Uberに加えて、エストニア発のBoltFREE NOW(BMWとMercedes-Benz Mobilityの合弁)などが存在感を示している。

 中国では、最大手のDiDiが市場シェアの大半を握っており、東南アジアではGrabが他を寄せ付けない強さを見せる。中東はUber傘下のCareem、インドはOlaといった具合だ。

 米国では業界を牛耳るUberとLyftに対抗するべく、運賃に「交渉制」を導入したinDrive、需要に応じて運賃が高くなる「ピークタイム料金」がないWridzなど、既存のビジネスモデルとの差別化を図るスタートアップが参戦しているが、一旦築かれた先行者の壁を崩すのはなかなか難しそうだ。

ライドシェアが生んだ派生ビジネス

 ただ、配車プラットフォームの構築以外にも、「隙間」を狙ったさまざまな関連ビジネスが生まれている。例えば、ライドシェアの利用者にポイントを還元することで飲食店への誘客につなげるサービスは、飲食店までの導線がしっかり練られた相乗効果の高いビジネスモデルとなっている。

 また、派生ビジネスで数多くみられるのが広告。閉ざされた車内空間で確実に乗客の目に入ることを狙った広告サービスや、企業広告を車両にラッピングして走る広告塔にするサービスなどがあり、サービスを導入したドライバーが広告収入の一部を得られる点が喜ばれている。

 ライドシェアのドライバー向けデジタル保険、安全性に特化した子供の送り迎えサービスなどもあり、アイデア次第でビジネスの幅が広がりそうだ。

車両の上部に設置したスクリーンにブランド広告が表示される(Firefly公式サイト)

TECHBLITZ編集部が選ぶ、ライドシェア関連のスタートアップ5選

 TECHBLITZ編集部が選ぶ、ライドシェア関連のスタートアップ5社はこちら!

1. Freebird

Freebird
乗客を飲食店に呼び込むアプリ
設立年 2015年
所在地 米国カリフォルニア州 ベニス
 Freebirdのアプリは、UberやLyftのアプリと連携しており、Freebirdアプリを通してライドシェアを頼むとポイントが貯まる。また提携店へ行けば、その店からキャッシュバックされる仕組みだ。Freebirdアプリは「リンクカードシステム」と呼ぶ技術により、客のアカウントにキャッシュバックする。
image: Freebird

2. Firefly

Firefly
車両の上部にデジタル広告スクリーン
設立年 2017年
所在地 米国カリフォルニア州 サンフランシスコ
 Fireflyは、ライドシェア用の車両の上に広告を表示する、デジタルスクリーンを提供。ドライバーに新たな収益源を提供することが同社のミッションの一つ。ドライバーは同社が提供するスクリーンを車の屋根に設置して走行するだけで、月平均300ドルの広告収入を得る事ができる。
image: Firefly

3. INSHUR

INSHUR
ライドシェアドライバー向けデジタル自動車保険
設立年 2019年
所在地 米国ニューヨーク州
 INSHURは、UberやLyftなどの配車サービスやTLCドライバー向けにオンラインの自動車保険を提供するアプリを扱う。一般車とは異なる自動車保険を必要とするTLC車両やUber、Lyftのドライバー向けに最適な保険プランや手続き方法をチャットボットを通じてわかりやすくガイドしてくれるため、ドライバーは安心して保険を選ぶことが出来る。
image: INSHUR

4. Zum

Zum
多忙な親のための子供専用ライドシェア
設立年 2015年
所在地 米国カリフォルニア州 レッドウッドシティ
 Zumは、安全重視の子供専用ライドシェアサービスを提供。親が予めアプリに日時 / 行先 / 子供の数を入力し予約すると独自のアルゴリズムを使いニーズに応じた各子供の移動需要とドライバーや車両をマッチング。運転適性や犯罪歴も含めた厳密な審査プロセスに合格したドライバーのみ採用し、乗車にあたってはワンタイムパスワードの交換でセキュリティ認証を行う。
image: Zum

5. Pathao

Pathao
バングラデシュのスーパーアプリに成長
設立年 2015年
所在地 バングラデシュ・ダッカ
 Pathaoは、デリバリーと配車を核にしたモビリティサービスプラットフォーム (スーパーアプリ) 。設立して数年でインドネシアの同業Gojekから出資を受けた。同社のサービスは、①自動車、バイク、自転車を活用したライドシェア配車サービス、②eコマース向け配送サービス、③フードデリバリーサービスの3本柱で構成されている。
image: Pathao
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