アプリケーションを高速・安全に配信
―まず簡単に御社の事業概要を教えてください。クライアントのどんな課題を解決しているのでしょうか。
当社はWebサイトやアプリケーションを高速かつ安全、簡単に利用できるクラウドサービスを提供しています。
現在、ほとんどの企業はモバイル向けのWebサイトとアプリを構築しています。そして、これらの多くはクラウドベースで、サードパーティーのサービスを活用して構築されるようになっています。このようにWebサイトとアプリの構築方法が、従来と大きく変わってきているにもかかわらず、ソリューションは依然として古いままで、パフォーマンス、セキュリティ、分析、操作に課題が生じています。ユーザー体験に悪影響を及ぼし、セキュリティー面でも危機にさらされているのです。当社はこういった問題を解決している企業です。
マシンラーニング、仮想化、CDNを組み合わせたテクノロジー
―具体的にどのように解決しているのですか。
私たちのソリューションはいくつかの異なるテクノロジーを組み合わせています。具体的にはマシンラーニング、セキュリティのための仮想化、グローバル配信のためのCDNです。
私たちのサービスでは、あらゆるアプリケーションがどのようにユーザーに関与しているかを把握し、すべて制御することができます。ユーザーがアプリケーションを操作するたびに、JavaScriptか、HTMLか、画像か、その必要な部分だけを判別して、送信することができるのです。
この技術はストリーミングと呼ばれています。この技術は、他の会社がビデオストリーミングで使っていたようなものです。以前、オンラインで動画を見ようと思ったら、大きなファイルをダウンロードしてから自分のパソコンで見ていました。しかし、今ではオンライン上でストリーミングしながら動画を見ることができます。動画プレーヤーはあなたが見たい場所をどこでもすぐに呼び出してくれますよね。私たちもまさに同じことができるのです。
―マシンラーニングは何に使っているのですか。
私たちはすべてのデータを引っ張ってきて、マシンラーニングで解析しています。たとえば、私たちは毎月1100億もの画像を分析しています。ユーザーがどのタイミングで、どの画像を最初に読み込むのか把握するためにマシンラーニングを使っているのです。
CDNは無料で提供
―CDNを提供する競合他社との違いは何でしょうか。
まず私たちはCDN、マシーンラーニング、仮想化などを組み合わせたユニークなテクノロジーを持っているということです。それから、パフォーマンスやセキュリティなどの付加価値サービスを提供している点です。CDNの市場は、いまだにコモディティ化した技術を有料で提供していますが、私たちはCDNを無料で提供しています。そして、私たちはパフォーマンス、セキュリティのみ費用を支払ってもらっています。このようなビジネスモデルを取っている企業は、私たちだけです。
―クライアントの数と業種を教えてもらえますか。
当社は100社以上のクライアントがいます。たとえば、Office Depot、Walgreens、Neiman Marcus、Kate Spadeのような大手の小売企業、Washington Postのような大手出版社に利用していただいています。
Web表示を2秒短縮し、成果20%アップ
―成果が上がった導入事例を教えてください。
世界最大規模のハンドバック小売会社の事例をお話ししましょう。この会社はCDNから当社のサービスに切り替えたことで、Webサイトを開くスピードを2秒縮めることができ、コンバージョンを20%以上改善しました。オンラインで数億ドルの売り上げを上げている会社ですから、非常に大きなインパクトがありました。
さらに成果が上がっただけではありません。1日に何度もキャンペーンを打つことができるようになりました。1ヶ月に何度かではなく、1日に何度もです。これまでのCDNのサービスでは、Webサイトを変更するには、プロのサポートを得る必要があり、変更に時間がかかっていました。当社のサービスでは、Webサイトの変更が非常に速いスピードで行うことができるのです。
―御社は2010年に創業ですね。どうしてこのようなビジネスをしようと思ったのでしょうか。
端的に言えば、市場の機会があったからです。もう少し言うと、私たちはもともとパソコンでゲームをする人向けにWebサイトを作っていたのですが、デバイスはモバイルへと移り変わっていると感じました。世界中の企業がアプリケーションを根本から再構築しなければなりませんし、ユーザーに対して複数のデバイスにまたがってシームレスな体験を提供しなくてはいけません。そうすると、これまでのような従来のCDNのようなものは役に立たなくなる。そう考えて、現在のビジネスをすることにしたのです。
―いまグローバルで展開していますね。
北米、欧州、インド、オーストラリアに拠点があり、従業員は200名近くいます。
―御社は日本企業がLP出資しているGeodesic Capitalからも資金調達しています。日本展開についてはどう考えていますか。
日本でも活発に活動しています。Geodesic Capitalのジョン・ルース氏は、もともと駐日米国大使で、日本のクライアント・パートナーを多く紹介してくれましたからね。日本も含めて、グローバルで活動を進めていくつもりです。