農業・建設・エネルギーなど、様々な分野で活用が進むドローン技術。DroneDeployは、2013年からドローンを使い上空から広範囲の敷地の測定やモニタリングを行い、データ管理を可能にするプラットフォームを提供している。2021年2月に5000万ドルのシリーズEラウンドの資金調達を行い、さらに国際展開を加速させていく予定だ。今回は創業者でCEOのMichael Winn氏に話を聞いた。

農業・建設・エネルギー業界などで活用

――まずDroneDeployの提供しているソリューションについて詳しく教えてください。

 ドローンを使った上空からの録画・マッピング・データ管理のソリューションを提供しています。私たちのドローン技術を使用することで、企業は地上で何が起こっているのかを鳥瞰的に見れるようになり、そのデータも有効活用することができます。

 クライアントは多岐に渡りますが、主な利用事例は農業・建設・エネルギー業界です。録画したデータをチームと共有したり、問題が起こった時にその対応を請け負う企業に送付したりすることができます。私たちのソフトウェアの顧客は5000社超、世界180ヵ国、40万ヶ所以上の現場で利用されています。

 監査や測定といった作業は、高層ビルや人間が行くには危険の伴う作業場でも必要な場合があります。私たちの技術はインチ単位の細かい測定も可能にし、危険な現場でも活躍します。また、農業では精密農業と呼ばれる分野でも、土地の測定を行う際に私たちのドローンが使用された実績もあります。

 他には、大規模なインフラ工事、高速道路建設、病院やデータセンター等で活用されています。これらは全て、敷地やモニタリング範囲が広範囲であるがゆえ徒歩で全てを回って見ることはできません。どこで何が起きているのかを把握したい場合、映像技術が非常に役に立つのです。

 実質的に、私たちのサービスは全世界中の誰とでも撮った映像を共有できるDVRのようなものです。特にコロナ禍では、余計に重宝される技術と言えるでしょう。

もともと密猟者を捕らえる目的で始まった

――起業のきっかけは何でしたか?

 昔から私はラジコンヘリを飛ばすのが趣味でした。この技術は商業化したら価値が出るのではないかと常々思っていたのですが、本当のチャンスは私がGoogleに勤めていた時に訪れました。

 当時私は南アフリカで働いており、密猟者を捕まえる人とよく関わる機会がありました。南アフリカでは毎秒3頭のサイが殺されています。彼らはわずか500人で広大な国立公園をモニタリングする必要があり、イスラエルの国面積よりも広い敷地を足で回って監視していました。当時は、空から監視する術がなかったのです。ドローンの技術を使えば、低コストでそれを実現することができます。

 そこで2010年、私と他の2人の共同創設者で自分たちのアイデアを実行に移しました。他に類似のサービスを作る企業もなく、2013年にボストンで法人向けにサービスを開始したのが起業のきっかけです。

――ドローン向けソフトウェアを提供する会社は多数あります。競合他社との違いはどのような点でしょうか?

 現在、私たちは業界最大手です。顧客数、稼働プロジェクト数、年間収益額の全てにおいてトップを走っています。

 これを達成することができたのは、まずクライアントが私たちのサービスとプロダクトを本当に重宝してくれたという点があります。全てのデータを1ヶ所で見られるプラットフォームを提供しているのは私たちのみです。しかも、データ種別も問いません。

 ドローン飛行の際は、機器の管理、操縦管理も行い、データの移行や統合も担っています。私たちは、最も堅固で信用できるプラットフォームを提供しているのです。

 次に、カスタマーサポートが充実している点です。新しい技術であるがゆえ、利用に慣れないクライアントもいますが、私たちはどのような業界のクライアントでも真摯に問題に向き合い、一緒に解決を図っています。

国際展開の次は、身近な地上でのドローン活用に期待

――2021年2月に5000万ドルの資金調達をしました。調達した資金の用途は何でしょうか。

 直近で調達した5000万ドルの使い道が2つあります。1つ目は、国際展開。日本を含め、すでに世界中にクライアントはいますが、ローカルのチームを置けるようさらに拡大したいと考えています。また、これからはクライアントの所在地に関わらず、24時間体制でサポートできるようにするのが目標です。

 2つ目の使い道は、屋内でのデータ取得を可能にする技術への投資です。最近では、クライアントから屋内でもドローンを活用してデータを取得する術はないのかという声があがっていました。私たちは、昨年10月にそれを可能にする新規プロジェクトをローンチしたばかりです。

 主な使用例としては、建設会社やゼネコンが、この技術を使って建設現場内の様子を撮影しています。このプロジェクトが急速に成長しており、今後は地上でのデータ取得の技術開発にも投資を行う予定です。

――日本での展開についてはどう考えていますか。

 日本は、長期に渡りロボティクス技術の採用や製品開発を行ってきた歴史があります。高齢化社会に突入していることもあり、労働人材の確保に苦労している状況もあります。労働者の負荷を減らさなくてはいけません。

 私たちは、2018年に日本のマーケットに進出し、現在はSB C&S社とパートナーシップを組んでいます。主なユースケースは、建設・農業セクターで、今後も大きな需要を見込んでいます。

 また、建設・農業以外にも、エネルギー業界でも需要があると見ています。中でも太陽光発電所や、ソーラーパネル関連分野でポテンシャルが垣間見えます。近年、世界的にエネルギー界でのロボティクス技術の採用が、急速に高まっている背景もあり、日本が今後その波に乗ることを楽しみにしています。

Michael Winn
DroneDeploy
Co-Founder & CEO
南アフリカのRhodes Universityでコンピュータサイエンスを学んだのちGoogleで勤務。ビッグデータ管理の業務に携わりながら、南アフリカの土地のモニタリングの重要性を学ぶ。2013年にDroneDeployを設立。




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