超高齢者社会を迎える日本。日本ではどう自分の一生を終わらせるのかに注目が集まり、「終活」という言葉も広まり始めた。しかし、終活はただ自分の一生の終わらせ方を決めれば良いわけではない。遺書はどうするのか、お葬式の方法、遺骨はどうするのかと決めなければいけない。今回紹介するスタートアップCakeはそんな終活プロセスを手助けしてくれる無料プラットフォームを提供している。CEO & Co-founderのSuelin Chen氏に話を聞いた。

Suelin Chen
Cake
CEO & Co-founder
2010年、マサチューセッツ工科大学にてマテリアルサイエンスとエンジニアリングにてPh.D.を取得。2010年7月より、The Laboratory at Harvardのディレクターを務める。その後、2012年にIMS Consulting Group およびIMS Health Capitalにてコンサルタントとアソシエイトを務める。2014年、Cakeを共同創業、CEOに就任。

終活をポジティブに取り組めるように

―まず事業概要について教えていただけますか?

 私たちは終活プランニング、自分の一生を計画するデジタルプラットフォームを運営しています。具体的には「ヘルスケア」「法的・経済的決定」「お葬式のプラン」「自分がどのような記憶として残りたいのか」の4つのカテゴリーについて、ユーザーが終活プランニングをできるように手助けをしています。

   私たちのサービスを通じて、終活プランについてのドキュメントの作成、アップロード、そして、そのプランを知る必要がある人への共有が簡単にできるようにしています。私たちのサービスは全てデジタル化されています。ですから、ユーザーの情報はクラウドに安全に保管され、24時間365日アクセス可能です。

―一般的に自分自身の終活について考えるのは、とても難しいように思えます。

 終活はあらゆる人に必要なものだと私たちは考えています。しかし大半の人が終活に取り組んでいません。アメリカでは4人に1人しか取り組んでおらず、多くの人が十分な終活プランを持っていないということになります。その理由は終活のプロセスはとても複雑で断片的だからです。そしてトピック的にも考えることが難しい問題であることが挙げられます。

 ですから私たちはユーザーが終活に取り組みやすいよう、UXをとてもシンプルで使いやすいものにしました。先ほど断片的と言いましたが、終活に関わるカテゴリーである「ヘルスケア」「法的・経済的決定」「お葬式のプラン」「自分がどのような記憶として残りたいのか」を一つの場所に集約し、網羅しています。

 そしてユーザーに対しては、「終活は愛する人たちへのギフト」だということを強調しています。終活へのモチベーションをとてもポジティブなものにしたいのです。 

ユーザーは10代から90代と幅が広い

―CakeではFacebookやTwitterなどのSNSを残すかどうかも決めることができますね。

 そうです。これは昔の終活プランニングにはなかったのですが、とても大切なことだと思っています。SNSを終活で扱わなければ、残された家族などはSNSを削除していいのか、保存しておくのがいいか全くわからないままになってしまいます。

 SNSは人々にとって終活への簡単な入り口になることもあります。驚くことに、私たちのユーザーは18歳から93歳と幅が広いんです。私たちは死後のSNSの扱い方を家族、大切な人とシェアすることができるようにしています。

 また私たちは人々に終活を考え、伝えるきっかけを提供することだけでも役に立っていると思っています。人によっては「私はもう死んでいるから、お葬式をどうやろうとどうでもいい」という方もいます。しかし、私たちは「それでもいいんです。それも一つの選択ですから。ただ家族や大切な人にそれを伝えるべきです」と伝えます。なぜなら多くの場合、残された家族や大切な人は自分の大切な人がどうしたかったのかを気にします。ですから、ユーザーには家族や大切な人にどうしたいのかを伝えることを勧めています。

Image: Cake

高齢化する日本市場にも興味

―一般の人だけではなく、ヘルスケア関連のプロバイダー、健康保険会社にもサービスを提供していますよね?

 そうです。一般ユーザー向けだけでなく、多くの企業にもサービスを提供しています。ヘルスケア関連ももちろんですが、金融関連、保険関連の企業とパートナーシップを組み、彼らの顧客に販売しています。

―日本では高齢者社会が社会問題となっています。日本でも大きなニーズがあるとは思いますが、日本展開について考えを教えてもらえますか。

 私たちは大きな国際銀行とパートナーシップを結び、グローバル展開を始めています。そして多くの日本の企業とコンタクトをとっています。日本でのエイジングインダストリーに対してのテクノロジーを使った取り組みはとても興味深いと思っています。また高齢者だけではなく、両親が高齢となってきているその子供たちもサポートしたいと思っています。

エイジングテック特集 目次

#1 超高齢化社会のイノベーション「エイジングテック」

#2 【SOMPO】テクノロジーで高齢化社会の課題解決に挑む

#3 僻地医療からシリコンバレーへ。日本の「本当の問題」を話そう

#4 世界中のイノベーションを持ち寄る、グローバルネットワーク「Aging2.0」

#5 【日本企業】なぜ大企業はエイジングテックに取り組むのか?

#6 スタンフォード教授が語る「睡眠テクノロジーの真実」

#7 法的書類からSNSまで。終活をサポートするCake

#8 自動運転車が食料品を配達してくれるAutoX

#9 ガソリンスタンドが家にやってくるBooster Fuels

#10 【スタートアップマップ】注目のエイジングテック一挙紹介



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