Otter.aiは、議事録作成などに役立つ、AI主導の音声認識システムを提供する企業だ。今回はFounder & CEOのSam Liang氏に話を聞いた。

Sam Liang
Otter.ai
Founder & CEO
アリゾナ大学や北京大学で学んだ後、スタンフォード大学でインターネット・ディストリビューション・システムを専攻、修士号を取得。CiscoやGoogleでソフトウェアエンジニアや技術者として勤務した後、起業家としても活躍。2016年にOtter.aiを設立。現在に至る。

高性能の音声認識技術を手持ちのデバイスですぐに利用可能

―まずは御社のビジネスについて教えてください。

 私たちはAIを活用し、英語の音声を正確に書き起こす、最新鋭の音声認識技術を構築する企業です。あらゆる種類のノイズを処理し、発言者の言葉を正確に文字起こしできるので、会議はもちろん、顧客サービスや販売作業中の会話記録など、あらゆる企業活動をサポートいたします。

―それは便利ですね。ボイスレコーダーの文字起こし版という印象ですが、特別な機材が必要になるのでしょうか?

 いいえ、iPhoneのアプリや、Androidのモバイルブラウザーで使用可能です。会話中の重要部分を強調表示したり、ブックマークすることもできますし、会議参加者の声を聴き分けてラベリングすることもできます。また、ZoomやDropboxなど、他のコラボレーション製品と連携させて使用することもできます。

ビジネスパーソンを圧迫するミーティング業務に画期的な効率性を提供

―御社製品の具体的な利用事例について、詳しく教えてください

 まずは、企業にとってミーティングというのが、いかに負担になっているか、ということを知っていただきたいですね。製品や顧客サービスにかかわるものなど内容はさまざまで、電話やスカイプなどのオンライン会議も含めると、ビジネスパーソンの業務の約30%から40%が会議にまつわる時間だというデータもあるほどです。

 当社はそのような負担を少しでも軽くするため、AIを使った完璧な議事録を作成します。会議の内容をメモする必要がなくなるので、積極的に会話に参加できるようになります。

 重要なポイントだと思ったら、ボタンひとつで強調表示することもできます。これなら、後で見返した時にチェックポイントが一目瞭然ですし、会議に出席できなかった同僚と情報をシェアすることもできます。キャリア開発やコーチング、ミーティング運営方法の改善など、あらゆる面でビジネス向上に役立ちます。

さらなる技術革新、そして世界中の言語まで

―ミーティングの要旨をまとめて、サマリーを作成することもできるのでしょうか。

 今のところ、初歩的な要約技術である「キーワード要約」という段階までは来ています。今後は抽出的要約やチェックリスト要約など、さらに技術を高めていきたいと思います。ただ、こうしたことはすべて実際の会話の中から文章を拾うタイプの要約になりますので、別の言葉で言い換えてコンパクトにまとめる、という意味でのサマリー作成は今後も予定しておりません。

―よくわかりました。次に、ビジネスモデルについて教えてください。

 SaaSの形をとっているので、月単位あるいは年単位の契約ベースで料金設定しています。

―Otterの最大の競争力はどこにあると思いますか?

 やはり、文字起こしの品質です。あとは、非常に消費者に優しく、誰でも使用できるアプリであるということですね。

―日本市場への参入はどのようにお考えですか?

 日本は巨大な市場ですし、良質な企業もたくさんあるので、非常に興味深いと思っています。当社にも東京大学出身のAI専門家がいますが、非常に優秀です。今はまだ英語に専念していますが、別の言語にローカライズする際は、日本語は最優先言語として扱っていきたいと思っています。

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