デバイスの修理サービスに加え、買取や保証サービスも提供
―まず事業内容を教えてください。
スマートフォン、タブレットの修理サービスをしています。いま13か国に「iTech」と呼ばれる修理技術者が2000人おり、顧客の連絡を受けたらすぐに自宅やオフィスに駆けつけて修理サービスを提供します。昨年で年間で10万人が当社のサービスを利用しています。もしあなたがいまスマホを壊しても、iTechが駆けつけて2時間以内に修理してくれるでしょう。もともと大学の構内でiPhoneを修理していたのですが、それがいまや世界中に広がりました。
その他にもデバイスの買取サービスや保証サービスも提供しています。保証サービスは月7ドルで、デバイスを壊してしまったら、すぐに技術者が駆けつけます。もともとはiPhoneの修理会社でしたが、いまやオンデマンド型のモバイル生活の全てをマネジメントする会社になろうとしています。
―なぜこのビジネスをしようと思ったのですか。
もともと私自身が携帯電話を非常によく壊すからです(笑)。私が一番のお客で、自分のために始めたビジネスですね。その後、友人の電話を修理し始めて、自然に成長していったのです。アイデアについても、急に頭の中で閃いたというよりは、自分自身の必要性や友人の必要性から生まれました。
5%という厳選した採用率。修理技術者の質が自慢
―スマートフォンの修理サービスは数多くありますが、何が強みなのでしょうか。
ひとつは継続的な保証サービスを提供している点です。もうひとつは、修理技術者のクオリティです。1万人の応募があれば、そのなかで採用するのはわずか5%程度です。複数回の面談をして、バックグラウンドのチェック、パーソナリティのテストをして、スキルやコミュニケーションにおいても確認し、厳選した修理技術者のみを採用しています。
―採用以外に、どうやって修理技術者のクオリティをコントロールしているのでしょうか。
継続的なトレーニングとフィードバックです。採用後、まずオンライントレーニングを受けてもらいます。その後は顧客にアンケートを毎回取って、サービスやスキルを10点満点で評価してもらいます。9.7点以下の修理技術者は把握できるようにしています。当社のスコアは他社に比べて非常に高い数値です。アンケートでも、9点以下の評価は1%もありません。
年収10万ドル超の修理技術者も生まれている
―御社の仕事だけで生活できる収入基盤が得られるのでしょうか。
ええ、修理技術者のなかには年収10万ドルを超える人もいます。私の喜びの一つは、当社の仕事を通じて修理技術者がより多くの収入を得て、よりよいライフスタイルを持てるようになるということです。
―市場規模はどれくらい大きいのでしょうか。
マーケットとしては年間1000億ドルレベルの可能性があります。当社は年間に10万人の顧客にサービスを提供していますが、これはまだマーケットの1%にも達していません。私たちは30〜40%のシェアを持つまでは拡張し続けるつもりです。目標の一つとしては、当社がスマートフォンのライフサイクルと同意語のようになることです。新しいスマホを買う時、古いものを売る時、保証をつける時、修理する時、どんな時でも当社が請け負うことが目標です。
2015年より日本展開開始
―御社はすでに日本でも事業を展開していますね。手応えはどうですか。
過去数年にわたって、日本で事業を立ち上げる計画がありました。そして実際に6社と話をして、2015年12月に光通信さんとパートナーシップを結んで、渋谷に店舗をオープンさせました。日本はかなり大きな市場のひとつであり、今後も力を入れていくつもりです。
―日本ならではの規制もあると思いますが、どのように対応しているのですか。
そうですね、いくつか注意している法律があります。そのひとつは、デバイスが発信する無線周波数に関しての法律です。その法律に対応するために、スクリーンの張替えだけをすることにしました。スクリーンの張替えを無線周波数を出さずに行うやり方があるのです。これからも法律に基づいたビジネスをしていきます。
日本展開にあたって、私がすごく嬉しく感じているのは、当社のブランドやサービスの質が日本で認められているということです。ぜひもっと多くの店舗を日本の主要な都市に展開していきたい。そしてスマホの修理といえばiCrackedというブランドを確立したいと思います。海外展開にあたってはチャレンジはつきものですが、ぜひ壁を乗り越えて成功させたいと思います。