ニューヨーク・マンハッタンの摩天楼を横目に飛行する「空飛ぶクルマ」(Joby Aviation提供)
国土交通省の資料では、「電動化、自動化といった航空技術や垂直離着陸などの運航形態によって実現される、利用しやすく持続可能な次世代の空の移動手段」と定義される。日常的な移動手段として利用するイメージで「クルマ」と称しているが、航空法上の航空機に該当し、必ずしも道路を走行する機能を有しているわけではない。環境に優しく静音性にも優れている点、将来的にはパイロットなしでの自律飛行が可能な点、狭いスペースでも離発着ができる点などが特徴。
<目次>
・空飛ぶクルマ、NY中心部でテスト飛行
・空飛ぶクルマ、大阪の空も飛ぶ
・TECHBLITZ編集部が選ぶ、空飛ぶクルマ関連のスタートアップ5選
1. LYTE Aviation(英国)
2. ASKA dba NFT(米国)
3. XPENG AEROHT(中国)
4. Autoflight(中国)
5. Hybrid Air Vehicles(英国)
空飛ぶクルマ、NY中心部でテスト飛行
ニューヨーク市のマンハッタン区南部に位置するヘリポートで2023年11月、ドイツのVolocopterと米国のJoby Aviationがデモ飛行を実施した。ニューヨークという世界的な大都市で「空飛ぶクルマ」が飛行を実現したことは、単なるパフォーマンス以上の意味がある。
ニューヨーク市長は、マンハッタンに複数あるヘリポートの電動化を表明しており、デモ飛行はこれに合わせたイベント。「空飛ぶクルマ」の商用運航の鍵は、莫大な公的投資を勝ち取れるかにかかっており、ニューヨークのような大都市のコミットメントは電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発メーカーにとって大きな追い風だ。
Joby Aviationはかねて、「ニューヨークとロサンゼルスを皮切りに商用運航を展開する」と明言しており、まずはデルタ航空と提携して市街地と空港を結ぶルートを確立する予定。ニューヨークでは、車だと50分近くかかるマンハッタンのヘリポートからジョン・F・ケネディ国際空港までの行程を、わずか7分で結ぶ計画を掲げている。
空飛ぶクルマ、大阪の空も飛ぶ
空飛ぶクルマは2025年に開催される大阪・関西万博の目玉として期待されている。来場者向けの遊覧飛行や二地点間運航での利用が想定されており、日本初の商用運航となる見通しだ。
運航事業者には、JAL、ANAホールディングス(HD)、丸紅、国産メーカーのSkyDriveが選定されている。このうち、JALはVolocopterとタッグを組んで万博での運航を目指しており、2023年12月には大阪湾岸のヘリポートで試験機「2X」の実証飛行を行った。
なお、ANAHDはJoby Aviation、丸紅はVertical Aerospace(英国)の機体を使う。
万博予定地である大阪港エリアの上空を飛行する「2X」(Volocopter提供)
TECHBLITZ編集部が選ぶ、空飛ぶクルマ関連のスタートアップ5選
空飛ぶクルマの主流になると言われるeVTOLの開発競争は激しさを増しており、大量輸送に特化した製品や、個人ユーザーをターゲットにした製品など、独自の方向性に磨きをかけたスタートアップが目立つ。TECHBLITZ編集部が選ぶ、空飛ぶクルマ関連のスタートアップ5社はこちら!
1. LYTE Aviation
設立年 | 2022年 |
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所在地 | 英国・ロンドン |
2. ASKA dba NFT
設立年 | 2022年 |
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所在地 | 米国カリフォルニア州 サンフランシスコ |
3. XPENG AEROHT
設立年 | 2013年 |
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所在地 | 中国・広州市 |
4. Autoflight
設立年 | 2017年 |
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所在地 | 中国・上海 |
5. Hybrid Air Vehicles
設立年 | 2007年 |
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所在地 | 英国・ベッドフォード |