Image: True Link Financial
True Link Financialは高齢者や障がい者など、自分で支出管理をするのが難しい人々やアルコール依存症治療中の患者ら向けに、制限付きのプリペイド式クレジットカードを発行し、自立した生活をサポートする企業だ。今回は CEOのKai Stinchcombe氏に話を聞いた。

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祖母の認知症経験から生まれた、高齢者向け決済サービス

―まずTrue Link Financial設立の経緯について聞かせてもらえますか?

 実は、私自身の体験がもとになっているんです。祖母が、アルツハイマー認知症になってしまい、支出管理ができなくなってしまったのです。余計な買い物を防ぐためにクレジットカードの利用を停止したかったのですが、そうすると日常生活に支障が出る。家族はとても悩みました。

 そこで生まれたのが、使ってもいいお金とそうではないお金の線引きをし、制限付きで利用できるプリペイド式のクレジットカードです。たとえば、通常の買い物は自由にできるけれど、トラブルに発展しやすい寄付や通信販売などには上限金額をしっかり設ける、といった形ですね。

Kai Stinchcombe
True Link Financial
Co-founder & CEO
Colorado Collegeで歴史、数学、コンピューターサイエンスを学んだ後、スタンフォード大学院の修士課程を修了。2007年に営業戦略用のソフトウェア開発会社を共同創業し、CTOを務めた。Strategic DistrictsのCEO、LendUpのリスク担当を経て、2012年にTrue Link Financialを創業。

―実体験に基づいたサービスなのですね。サービスは具体的にどのようなものなのでしょう?

 基本的にはプリペイド式のクレジットカードですが、時間帯や用途などの利用制限を設けるなど、お客様に合わせてカスタマイズしていただけます。深夜時間帯の利用は制限する、とか薬物関連商品には使用できないようにする、といったことです。

 オンラインのダッシュボードで支出状況を確認でき、設定条件に該当する支出についてアラート通知もできるので、代理人やソーシャルワーカーといった方々が管理しやすくなっています。

―御社の収益モデルは?

 月額10ドルいただいています。あとはカード利用ごとに店舗から少しの手数料をいただきます。収益の大半はこの月額になります。

―投資についても扱っているんですよね。

 そうですね。こちらは当社の専門スタッフが最適なポートフォリオ構築のお手伝いをさせていただき、長期的な資産運用管理をサポートしています。

超高齢化社会を迎える日本市場も興味

―この業界に競合と呼べる相手はいますか?

 今は、正直いません。むしろ、誰か我々のライバルになる相手が現れないかと待っているくらいです。こうしたサービスが増えることで、世の中はもっと良くなるはずですから。それに、どんな相手が来ても、我々は負けない自信もあります。

Image: True Link Financial

―今後のビジョンは何でしょうか。

 そうですね、やはり顧客基盤を成長させることと、製品やサービスを拡充していくことですね。

―日本を含め、海外進出も視野に入っているのでしょうか。日本も超高齢社会の只中にありますから、御社のサービスが役立つと思います。

 もちろん、日本市場には大変興味を持っています。我々も日本を含め、海外でもサービス展開していきたいと考えていますが、レギュレーションや流通基盤など、外国でゼロから構築していくのは難しいので、すでに地盤を持っている現地企業と提携したいと思っています。日本でいえば、 地域の人々との具体的な接点があり、金融サービスも持った日本郵便のような企業と協力関係を作れたらいいですね。

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