Deserveはクレジットスコアを貯めにくい学生や移民に対してクレジットカードサービスを提供するスタートアップだ。機械学習とAIを活用した新たな審査方法で、クレジット商品へのアクセスを可能にした。共同創業者兼CEOのKalpesh Kapadia氏に話を聞いた。

社会保障番号を持たない人のクレジット商品へのアクセスを可能に

―まずはDeserve設立の経緯を教えてください。

 1995年に私が学生としてアメリカに来た時、現地の学生が当たり前のように利用しているクレジットカードや学生ローンを使うことができませんでした。私は比較的裕福な家庭で育ち、同じような学歴でしたが、そこには見えない壁がありました。

 さらに、9.11の後、銀行やローン・クレジット商品は、学生に対して多くの制限を設けました。アメリカ政府は入学する学生への社会保障番号の発行を停止し、社会保障番号がない学生は、20時間の有給雇用が得られるまでクレジットカードを作ることはできませんでした。そのため、多くの若者や移民はクレジットサービスや保険引受といった商品にアクセスできないままでした。私はその現実を変えたいと思い、その問題を解決したいという思いが会社を始める原動力となりました。  

Kalpesh Kapadia
Deserve
Co-founder & CEO
Bombay University卒業後、CarnegieMellonUniversityにてMBA取得。C.E.Unterberg,TowbinにてManaging Directorを経験後、Equanum Capital ManagementにてCEOに7年従事、2013年にDeserveを共同設立、CEOに就任。
 

―どのように解決しようと考えたのでしょうか。

 アメリカでは支払い能力がない人がクレジットカードを利用しすぎて利用停止となるケースが多く発生しました。そのため、クレジットカードを作る際には、信用情報機関がFICOスコアという手法で算出した”クレジットスコア”をもとに、支払い能力を証明する必要があります。

 その場合、クレジットヒストリーが十分でない若者や移民は、審査が通りづらく、クレジットカードを作れません。そこで、社会保障番号がなく、クレジットスコアが低くても、別の情報をもとに引受できるクレジットカードサービスを提供しようと考えました。

機械学習とAIを駆使した審査システム

―具体的なDeserveのサービス内容を教えてください。

 従来の審査基準では通りづらい、初めてクレジットカードを作る若者、移民、学生たちを引受できるように、クレジットスコアを使用しないアルゴリズム、ワークフロー管理ソフトウェアを開発しました。クレジットカードの審査・管理システムは1990年代にCOBOLやメインフレームなどの古いテクノロジーにて構築されたものばかりでしたが、私たちはAPI駆動のクラウドベースのソフトウェア「Deserve Credit Platform」を構築しました。

 カードを作りたい消費者はdeserve.comオンラインにアクセスして、クレジットスコアや社会保障番号なし新しい審査基準でクレジットカード取得の審査・承認を受けることができます。またB2Bのプロダクトとして、既存銀行が時間とお金をかけずにテクノロジーを利用しクレジットカードをローンチできるソリューションも提供しています。

―AIはどのようにプラットフォームで使用しているのでしょうか。

 審査に機械学習とAIを使用しています。使用ポイントは3点あり、1点目は、機械学習を使用して身元確認を行い、アプリケーション詐欺を排除しています。Googleの写真APIを使用し、パスポートまたは運転免許証をアップロード。自分撮りをした写真と身分証の写真が同一人物かどうか確認します。

 2点目は、他人がカードを使用していないか、顧客データなど複数のデータを使用した機械学習モデルを構築し、トランザクション詐欺防止に機械学習を使用します。3点目は、カードが盗まれていないか、カードのデータが盗まれていないのか等のペイメント詐欺の防止に使用しています。  

―ビジネスモデルを教えてもらえますか。

 B2C側では、他のクレジットカード会社と非常によく似ており、利子や手数料から利益を得るモデルです。B2B側では、実装料金やアカウント管理料金を月ごとに請求するSaaSです。

―従来のクレジットカード、または競合他社にはない御社の強みはどのような点でしょうか。

 学生や移民などこれまでクレジットカードを作れなかった層を救済するという取り組みそのものが、従来、そして他社と大きく異なるところです。また、システム的に言えば、クレジットカード業界の99%は、COBOLおよびメインフレームスタックに基づいています。完全にクラウドにあるのは、Appleカードと私たちだけです。それは大きな違いです。

 迅速なスケーリング、瞬時の変更、リアルタイム、すべてバッチ処理が可能になります。APIを使用してカードを作成でき、より早く市場に参入できます。これらははるかに安全であり、私たちの強みです。

銀行とのパートーナー化を進めて世界へ進出

―今後のビジョンを教えてください。

 私たちの使命は、クレジットカードの技術スタックを近代化することです。デジタル化、ソフトウェア化がもっと進めば、その上でさらに多くのアプリケーションなどを実行でき、より素晴らしいものを構築できます。今後1~2年では必要なパートナーシップの構築とさらなるビジネスの前進を行っていきたいです。

―今後の海外展開についてお聞かせください。

 現在は海外でのサービス展開は行っていませんが、日本・中国・インドの銀行から問い合わせを受けています。新市場への事業拡大をする際には、銀行とパートナーシップを結び、その国での流通経路を確保する必要があると思っています。



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