「Portal x Halo」アリーナ対戦
――ゲームの詳細と会社立ち上げの経緯を教えてください。
Splitgateは、HaloとPortalを掛け合わせたようなゲームとして親しまれています。私が高校生だった10年ほど前、Valve Software社のPortalというゲームシリーズで遊んでいた頃に考えていたアイデアを基に作ったゲームなんです。ゲームの魅力に引き込まれた私は、その世界観をFPSで楽しめればと思っていました。誰かが作ってくれたらいいのにと思っていたのですが、まさか自分が作ることになるとはその時は予想もしていませんでした。高校を卒業し、スタンフォード大学に入り、コンピューターサイエンスを勉強しました。コーディングが大好きだったのですが、残念ながら大学ではゲーム開発の授業はありませんでした。
そこで、大学のアドバイザーに自主研究として自分でゲームをプログラミングしてもいいか聞きました。許可が出たので、その時に初期のプロトタイプのFPSのようなものを作りました。開発を続け、友人らに紹介していくうちに、その面白さやハマりやすさに気づき、自分自身がこれから追求していくべきものだと気づきました。フルタイムで開発する決意をし、同級生で親友のNicholas Bagamianと共同で会社を設立しました。実は社名の「1047」は、私たちが出会った大学の寮の番号から名付けたんです。
高性能なシューティングメカニズム
――競合相手とどのように差別化していますか。
いくつかの競争優位性があります。まず、私たちのゲームはそれ自体がとてもユニークです。同じようなゲームを開発している会社はありません。このタイプのゲームが好きなら、ピタッとハマると思います。非常に高性能なシューティングメカニズムも揃えています。これは、世界クラスの有能なエンジニアチームのおかげで開発できたものです。
小さなチームですが、非常に効率的な運用を実現しています。AAAクラスのゲーム会社が抱えているような余計な問題がないので、そのような意味では非常にスリムで、皆が「ロックスター」なんです。もちろん、成長する必要はありますが、高いハードルを維持し続けることができれば、私たちは、誰よりも速く、レベルの高い、スケールの大きな事業を展開できると思います。
そして、インディーズゲームの特色を備えながらも、多くの予算がある点もユニークです。従来、インディーズゲームを開発する会社は大企業に比べて予算の無さやブランド認知の低さに悩まされますが、私たちには幸いそのような問題はありません。ベータ版も1500万回を超えるダウンロード数を記録しました。Splitgateは知名度もあります。コミュニティ主導で、ゲームファンとの距離も近く、関係も良好です。小規模ながらも拡充の余地がある点が強みですね。
Image: 1047 Games
2019年にローンチ より高い目標へ
――開発においてどのような点で苦労しましたか。
開発の初期段階が最も難しかったです。大学生2人が始めたゲームで、Halo、Call of Dutyといった大手のゲームと競い合うという野望はありましたが、一体どのようにそのレベルに達することができるのかは分かりませんでした。ただ、1日ずつ、1週間ずつ、少しずつ製品を改善し続けました。最初の年は、2人とも自分たちのインターンシップで稼いだお金を出し合い、パートタイムで手伝ってくれる人を雇いました。
そのおかげでエンジェル投資までこぎつけ、より多くの人を雇用できるようになり、14人まで増やすことができました。2019年5月にPC版でのソフトローンチを行いましたが、そこで多くのことを学びました。基本的にメンタリティーは変わっていません、反復と改良を繰り返し、HaloやCall of Dutyのような高い目標に近づいていく。もちろんまだそこには到達していませんが、かなりいい位置に来ていると思います。ベータ版の成功や、最新の資金調達によって、素晴らしい人材を雇用できるようになりました。
ここまでの道のりも山あり谷ありでしたが、私にとっては非常に楽しい数年間となっています。進化し続けている数年間です。最初はただコーディングをするプログラマーだった私と共同創業者も、今ではビジネスの主軸を担っていて、会社の経営に携わっています。
YouTuberが日本語版のきっかけに
――今後の目標や調達した資金の使い道について教えてください。
2022年の目標は、チームを大きくすること、ゲームに新機能を追加することです。22年末には、世界で1番効率よく運営するゲーム会社になることが目標です。そのために数百人もの開発者は不要です。質の高い人材を集める方が重要だと思います。あとは、マーケティングに力を入れることも考えています。
――既に日本語でも展開されているようですが、今後本格的な日本進出の予定はありますか。
今までは、米国、ヨーロッパを中心に展開してきましたが、もちろんアジアも視野に入れています。実は日本では、YouTuberの方に取り上げていただいたのがきっかけで、ローカライズにつながりました。私たちのゲームを気に入っていただき、彼のために日本語にゲームを翻訳したようなものです。今後、日本でも本格的にユーザーを増やしていきたいと思っています。