TECHBLITZ編集部では今回、「協働ロボット(Cobots)」に関連するOverviewや幅広いカテゴリーの世界の最新スタートアップ情報に焦点を当てた「協働ロボットトレンドレポート」を作成しました。

このトレンドレポートでわかること

●「協働ロボット」関連のテックトレンド(製造 / ものづくり、物流 / 搬送、セキュリティ …etc)

※今回TECHBLITZ上で配布する「協働ロボットトレンドレポート」は一部項目のみの短縮版となります。下記コンテンツを含んだ完全版は「BLITZ Portal」会員のみに配布いたします。
[完全版で追加される内容]
・カテゴリー概要(知能:AI、コントロール、監視 / 解析、人型ロボット)
・大手企業の協業 / 導入事例

現状の協働ロボット関連の概要

 古くはアイザック・アシモフの名作『われはロボット』、『スターウォーズ』のR2-D2やC-3PO、『ターミネーター』シリーズから『ドラえもん』など、人間のすぐそばでロボットたちが活躍するフィクションは昔から親しまれてきましたが、近年のAIや関連技術の急速な発展により、そうした社会がいよいよ現実味を帯びてきています。

 国内では、家庭用掃除ロボット『HCR』やミュージシャンロボット『WAOBOT2』がつくば万博で発表された1980年代に第一次ロボットブームが起こり、「産業用ロボット」が製造現場に定着しました。その後、『AIBO』『ASIMO』に湧いた2000年代の第二次ロボットブームを経て、当時の内閣が「ロボット革命元年」を打ち出した2014年には、『Pepper』に代表される第三次ロボットブームが始まったと言われています。

出典: Interact Analysis “Can the collaborative robot market experience a second growth surge in the post-pandemic era?

 それからおよそ10年。産業用ロボットの出荷台数が世界的に増加するなか国内の出荷台数は減少傾向にあるものの、ロボットトランスフォーメーション(RX)による今一度の盛り上がりが期待されています。中でも慢性的な人手不足や効率化に対する圧力を背景にあらゆる産業で広がる自動化の潮流を受け、注目を集めているのが人間と協力してタスクを行う「協働ロボット(Cobots)」です。

 従来の産業用ロボットと比較すると、協働ロボットの大きな特徴は、人間を危険から守る安全柵が不要、小型で機動性に優れている、設定が容易で導入コストが低い、多品種少量生産にも対応可能、複数用途にも活用でき柔軟性に優れていることなどです。

 また最近では、工場や作業現場以外でも家庭用ロボット掃除機、手術ロボット、物流ロボット、小売 / 警備 / 案内 / 介護向けサービスロボットなど、私たちの日常生活でも協働ロボットが活躍する場面が多く見られるようになりました。

 通信、AIや機械学習、マシンビジョン、コンピューティングやセンサーなどの関連技術が目覚ましく進化したことで、小型で低電力な協働ロボットやAMR(自律作業ロボット)は、周囲の状況を認識しながら人間の傍で複数のタスクを安全に実行できるようになりました。また、単にプログラム済みのタスクを実行するだけではなく、その過程で得た現場データをリアルタイムで蓄積したり、デモや強化学習を通じて柔軟な対応ができたりする「知的な」協働ロボットは、様々な作業の効率と生産性を飛躍的に向上させ、業務プロセスを変革させる可能性を秘めています。

 Grand View Reserachの調査によると、2022年の世界の協働ロボット市場規模は$1.23B(約1,702億円 / $1=138.45円)であり、2023年から2030年まで32%の年平均成長率(CAGR)が予想されています。*1 この成長は特に中小企業の製造プロセスへの導入増加によるものと考えられています。

 また産業別に見ると、2022年の世界的な経済の落ち込みの影響を受けたサービス産業での普及は減速傾向にありますが、パンデミック後に休業や人手不足に悩まされてきた製造業では、生産ラインのアップデートや改修に伴い、協働ロボットの需要が高まっています。Interact Analysisのレポートによると、2022年に協業ロボットの成長率が最も高かった業界は、リチウムイオン電池、風力発電、太陽光発電、水素などの次世代エネルギー業界で、これに自動車とエレクトロニクスが続いています。また、食品 / 飲料、化学 / 医薬品などの業界でも安定した需要があるようです。*2

 国内では経済産業省が2019年に「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」を設置、2020年からは「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」などを進め、ロボットを導入しやすい環境(ロボットフレンドリー / ロボフレ環境)を後押ししています。今後、産業用途はもちろん、モビリティや保険、金融、不動産、エネルギー、農林水産などの分野を中心に協働ロボットが生活インフラ化していくことが見込まれています。

 本レポートでは、いわゆる産業用ロボットアームだけに限らず、人間との関わりや対話によって生産性やサービスの向上に貢献するロボットも含めた、やや広義の協働ロボットに注目し、適用業界と関連技術のカテゴリー別に国内外の有望なスタートアップをご紹介します。

*1 Grand View Research “Collaborative Robots Market Share & Growth Report, 2030
*2 Interact Analysis “Can the collaborative robot market experience a second growth surge in the post-pandemic era?


短縮版でも「協働ロボット」関連スタートアップ20社をご紹介

 「協働ロボットトレンドレポート」は、以下の画像の内容で構成しております。そのうち本記事のフォームから入手できる短縮版では、冒頭の「Overview」と「Category09(視覚:ビジョン)」までのセクションをお読みいただけます。

「協働ロボット」関連スタートアップをご紹介

製造 / ものづくり

 製造 / ものづくり業界では早くから産業ロボットによる自動化が進んでいました。人間にとって危険が伴う状況や熟練工の技術が求められる複雑な工程など様々な現場で協働ロボットが活躍しています。より汎用性に優れ、安全柵が不要で機動性の高い協働ロボットの導入を進めることで、生産性を高めたり多品種少量生産の要請に応じたりすることができます。

ANYbotics
危険な現場で活躍する自律型四足歩行ロボット

Image : ANYbotics HP

ETH Zürichのスピンオフ企業。産業設備の保守点検業務を自動化する、自律型の四足歩行ロボットを開発。センサーで周囲を感知して安全性を確保しながら高い機動力で移動できる。同製品は位置測定と環境マップの作成を同時に行うことで以降は最短ルートを取る。自動でステーションへ移動し、約3時間充電すると90分間稼働できる。悪天候や暗闇など、作業員にとって危険が伴う環境下での保守点検作業を代行する。また、コンピュータービジョンで計器を確認し、振動や温度の異常を検知して通知を行う。製造現場の他にも、石油ガスプラントや鉱山などでも採用されている。

物流 / 搬送

 自動運転や機械学習の技術の進歩に伴い、物流 / 搬送の領域でも協働ロボットの活用が広まっています。機械学習で荷下ろしや仕分けを担うスマートロボットやラストマイルデリバリーロボットなど、協働ロボットは社会を支えるインフラをより効率的で高速、かつ強靭なものに変革しています。

Pickle Robot
荷下ろしや仕分けを担うスマートロボット

Image : Pickle Robot HP

ロボットと人間が連携して最適なスループットを達成することを目指す企業。最大25kgの重量に対応するアームグリッパーで荷物を吸着し、特定の場所に移動させる作業に特化したロボット「Dill」を開発した。持ち上げた荷物を隙間なく積むだけでなく仕切りのある棚への仕分けも可能。雑多に積まれている状態でも機械学習で様々な形状やサイズを識別できるようになり、1時間あたり1,600個の荷物の処理が可能になる。倉庫などの広いスペース以外にもトレーラーやコンテナ内でも稼働でき、特別な環境は不要である点が特徴。配送会社United Exchange Corporationとの実証実験を経て2023年内の商用化を目指している。

セキュリティ

 巡回や深夜のシフトで疲れてしまったり、心理状態やバイアスにより異変を見逃してしまったりすることがないロボットは、建物や施設のセキュリティ施策の最適解かも知れません。守るべきエリアのレジリエンス強化や犯罪の抑止力として働くことはもちろん、体温測定や案内などの様々なサービス機能を追加することも可能です。

Hunter Cloud
五輪会場でも活躍したスマートロボット

Image : Hunter Cloud HP

人とロボットが共存する新しい社会を目指す中国の企業。同社の「H161」は集合住宅、公園、観光地、学校、工業団地向けの防犯パトロールカー。自動運転で経路を巡回しながら、IDの識別、音声アナウンス、情報収集などを行う。遠隔運転制御と双方向の音声制御ができ、ソフトウェアは遠隔OTAでアップグレードが可能。さらに赤外線熱イメージング、PM2.5検知、赤外線による体温測定や環境ビデオ監視などの機能を組み合わせたカスタマイズが可能。4輪駆動で、速度は6km/h。8時間の連続走行が可能。同社は他にもゴミ分別ロボット、スマートシャトル車、自動消毒車、北京冬五輪アイスキューブ競技場で活躍したスマートサービスロボット「W231」などを展開している。

視覚:ビジョン

 協働ロボットが正しく機能する上で、周りの環境を正しく認識するための視覚情報は欠かせません。例えば様々な LiDAR センサーに対応し、データをリアルタイムで実用的な情報に変換できるプリプロセッサーや、人間の視覚に倣った高度なマシンビジョン技術がロボットたちに優れた認識能力を与えています。

Outsight
LiDARに繋げるだけのプリプロセッサー

Image : Outsight HP

様々なメーカーの大量の3D RAWデータをリアルタイムで処理できるLiDARプリプロセッサーソリューション。同社のEdge AI LiDARソフトウェアは、RAWデータを実用的な情報に変換可能。Augumented LiDAR Box(ALB)を繋げるだけですぐにアプリケーション開発を開始できる。例えば、LiDARをSLAMに繋ぐと30秒でリアルタイム3D超解像度ライブマップが表示できる。米中の著名なLiDARメーカーであるInnoviz、Hesai、Robosenseなどと戦略的パートナーシップを締結し、ロボット、自動車、物流自動化など各種アプリケーションに採用されている。同社は2020年PrismAwardやBest of CES Innovation Awardを受賞している。



日本企業が現状のトレンドを予測するうえで、またオープンイノベーションの進め方を考えるうえで、本レポートをお役立ていただければ幸いです。

 「協働ロボットトレンドレポート」短縮版をご希望される方は、「レポートを入手する」より資料請求をお願いします。

※今回TECHBLITZ上で配布する「協働ロボットトレンドレポート」は一部項目のみの短縮版となります。完全版は「BLITZ Portal」会員のみに配布いたします。

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