会議から生まれる「記録されない知識」に着目
―まずFireflies.ai設立の経緯を教えてもらえますか?
「会話の中に埋もれた膨大な知識がある」という考えのもと会社を立ち上げました。人々は毎日、会議に時間を費やし、そこで決定が行われます。私自身、Microsoftのプロダクトマネージャーとして、1日を通して多くのミーティングを行っていたことが、今の事業のきっかけになりました。
全ての情報を覚えることは、至難の業です。人々がどのように働くかを考えてみてください。私たちは1分あたり160単語を話し、タイピングなら50単語です。自ずと会話のほうが情報が増えます。しかし、よほど真面目にメモを取らない限り、会議室を離れると何も記録されていません。
会議の方法を改善し、人々の連携を促し、意思決定を速くする。これが私たちが本当に実現したいことなのです。
自動で文字起こし、1時間の会議を5分でチェックできる
―では、Fireflies.aiは顧客にどのような効果をもたらしますか?
Zoomなど15を超えるWeb会議プラットフォームにプラグインすると、会議を自動的にキャプチャし、文字を起こして検索を可能にし、1時間の会議を5分でレビューできます。
GoogleカレンダーやOutlookカレンダーに接続すると、自動で会議に参加できます。FredというAIアシスタントが、全ての情報を取り込み、文字起こしをして要約し、デジタルノートに保存します。
―御社の事業は、大企業から個人まで利用していますか?
はい。企業にいる個人から大きなチームまでいます。まず、1人が会議で使い始めて、その価値を理解して、やがてチームの他のメンバーにも広がります。
―どんなビジネスモデルになっていますか?
フリーミアムで、無料で登録して会議を取り込むことができます。そして、必要に応じて有料の機能があります。利用価格はプランによって異なり、ユーザーごとに月々10ドルや19ドルと低く設定しています。
―競合他社にはない、御社の強みはどのような点でしょうか。
Web会議システムのビジネスミーティングにフォーカスしている点です。さまざまなWeb会議システム、Slackなどのビジネスチャットツール、SalesforceなどのCRMなど多くのシステムにインテグレーションをしています。
今後の短期的な目標は、ユーザー数や言語を増やすことです。世界中で開催されるあらゆる種類のWeb会議をサポートし、シームレスなユーザーエクスペリエンスの実現を目指しています。
日本語にも対応拡大していくにあたり、パートナーを募集
―現在、英語だけをサポートしていますか。
会議情報の取り込みは、どの言語でも可能です。書き起こしができるのは英語のみですが、今後はスペイン語や日本語に対応したいと考えています。現在の顧客の大半は、英語圏の国々です。順次、対応言語や地域を拡大していきます。
―日本市場に参入するために、ビジネスパートナーや投資家には、どのような支援を期待しますか。
会議の方法、使用するWeb会議ツール、会議のスケジュールの組み方について知りたいですね。海外の異なる地域で顧客がどのように会議をしているか。そして既存の顧客とは、どのように違うのか。それを理解し、その地域でどのように成長するかを考えることがとても重要だと考えています。
万国共通で、ビジネスにおいて会議は必要ですが、会議後の情報整理は、大変な作業です。私たちのAIアシスタントはその大変な作業を受け持ち、人々が会議の内容に集中できるようにすることを目指しています。