【UCバークレー】米国名門大学が日本のエグゼクティブ教育に乗り出した理由

【UCバークレー】米国名門大学が日本のエグゼクティブ教育に乗り出した理由

Silicon Valley / University / UC Berkeley
2020/11/04
カリフォルニア大学バークレー校のHaasビジネススクールは、世界のトップクラスのビジネススクールとして名高い。そのHaasビジネススクールで22年の歴史があるエグゼクティブ教育プログラムが、日本市場の進出に乗り出している。2016年からCEOとして、事業の拡大そして収益化に大きく貢献するMike Rielly氏に、プログラムの紹介、新型コロナウイルスの影響、日本市場での展開などについて聞いた。
関連記事:【シリコンバレー流DX・オープンイノベーション】UCバークレーのエグゼクティブプログラムは何を教えているか?
※TECHBLITZを運営するIshin Groupは「UC Berkeley Executive Education」の日本展開パートナーを務めています。

米国名門大学による、カスタマイズのエグゼクティブ教育プログラム

――「UCバークレーExecutive Education」はMikeさんが2016年にCEOに就任し、事業を拡大させています。どのように成長させてきたのでしょうか?

 UCバークレーのExecutive Educationには、3つのミッションステートメントがあります。それは「ビジネス界や社会にインパクトを与える存在になること」「大学の教授陣に活躍の場を提供すること」「大学の域を超え、HaasとUCバークレーが必要としている収益をもたらすこと」です。

 私がCEOに就任した際、最初にこの3つのミッションをスタッフ全員に浸透させ、ミッション主導型の組織にしました。そして、私はこの3つのミッションを遂行できていることを心から誇りに思っています。

Mike Rielly
UC Berkeley Executive Education
CEO
スタンフォード大学卒業。IMGにて20年間スポーツ業界でキャリアを積み、Senior Vice Presidentを務めた後、退職しオハイオ大学でスポーツマネジメントの修士号を取得。2009年にUCバークレーHaasビジネススクールに就職。同校として初めてとなるスポーツマーケティング講座を開講。UCバークレーMBAエグゼクティブプログラムのExecutive DirectorとHaasの副部長を務めた後、2016年にUCバークレー Executive EducationのCEOに就任。
 私たちは設立当初からオープンプログラムとカスタムプログラムを提供していますが、それに教授のエージェント、パートナーシップ、デジタルの3つの要素を加えて、参加者との関係をより踏み込んだものにしています。

――エグゼクティブ教育ではどんなプログラムを提供しているのですか。

 オープンプログラムは、2〜5日間のプログラムで、個人およびグループを対象に、「リーダーシップ・コミュニケーション」「戦略・マネジメント」「起業家精神・イノベーション」「ファイナンス・経営能力」の4つのコースを提供しています。この4つのコースが、私たちが提供するエグゼクティブ教育の中心となります。

 カスタムプログラムは、政府、企業、そしてパートナー大学を対象に、個々にカスタマイズしたプログラムを提供しています。クライアントごとに内容が違うため、大枠でしかお話しできませんが、このプログラムでは、クライアントに多くの質問をし、それぞれが抱える問題の根本を理解し、その解決やヒントをつかむための支援を行います。米国企業だけでなく、日本企業の三菱商事、海外の政府機関も多くプログラムに参加しています。

 また中には、半日のセミナーや、1時間の面談など、当校の教授と短期セッションを希望するクライアントもいます。以前は短期のセッションは、組織としては受けず、教授が直接対応していました。しかし、それでは組織として、クライアントとの関係構築の機会を失うことにもなりかねません。そこで、教授のエージェントプログラムを始めました。これは、他の伝統的なエグゼクティブ教育プログラムでは行っていない取り組みで、収益は追求せず、戦略的な取り組みと位置づけています。

――パートナーシップについてはどんな取り組みをしていますか。

 UCバークレーには、信じられないほどのリソースがあります。Haas内にある研究所には、様々な業界や分野をカバーしている研究者が数多く在籍しており、さらに多くの企業とコネクションがあります。このHaasのネットワークを活かし、エネルギー研究所や工学大学院などとのパートナーシップを強化しました。

――エグゼクティブ教育のデジタル化には、新型コロナウイルス以前から取り組んでいたのですか?

 そうですね。ハーバードビジネススクールオンラインの立ち上げに関わったメンバーを採用し、デジタル化の投資を進めていました。新型コロナウイルスにより、一気にデジタル化が進みましたね。

コロナ禍、オンライン教育プログラムに迅速に移行

――エグゼクティブ教育プログラムの多くはこれまでリアルなキャンパスで実施されてきました。新型ウイルスによりどんな影響を受けましたか。

 正直に言って、今まで経験したことがない状況でした。過去にキャンパスが停電になり休校になったことがありましたが、新型コロナウイルスは次元が違いました。

 私たちは対面でのプログラム再開に向けて準備すると同時に、迅速にオンラインプログラムへの移行を一気に進めました。オンライン投資を増やし、教員がキャンパスから世界中から集まる50人規模の参加者に対応できるよう体制を整えたのです。

コロナ禍によりオンラインでのプログラムへと移行

――新型コロナウイルスの影響で、急遽オンラインに移行したんですね。

 そうですね。ちょうどコロナウイルスが問題になった当時、シンガポールの大学を対象に、2週間のエグゼクティブプログラムを行っていました。プログラムの前半を終えたころにコロナウイルスの問題が非常に大きくなり、教授やスタッフ、参加者にとっても、プログラムを続けることは安全とは言えないと判断しました。そのためプログラムは中断し、後半のプログラムはオンラインで行うことにしたのです。

 急遽の対応ではありましたが、オンラインになったことで、良い面もありました。例えば、オンラインだからこそ、普段は協力が難しいシリコンバレーのリーダーたちにプログラムに参加してもらえ、非常に充実した内容になりました。

日本のエグゼクティブにも学びの機会が必要

――ここ数年、日本企業を対象にエグゼクティブプログラムの提供を始めています。その理由は何ですか。

 これまで日本市場は、エグゼクティブ教育の必要性をそれほど認識してこなかったかもしれません。しかし、いま日本はさまざまな業界でディスラプションが起きており、日本の伝統的な組織も、エグゼクティブ教育の必要性を感じています。

 特に、私たちの提供する「リーダーシップ・コミュニケーション」「戦略・マネジメント」「起業家精神・イノベーション」「ファイナンス・経営能力」の4つのコースは、エグゼクティブに求められる最適な教育コースだと確信しています。

 カスタムプログラムは、数日から、数ヶ月または数年に及び、対象も経営層だけでなく、様々な階層に展開できます。例えば、VISA Internationalは、組織全体でリーダーシップの育成に取り組んでおり、カスタムプログラムを複数提供しています。その中の1つに「エグゼクティブ・エッジ・プログラム」という女性幹部向けのリーダーシッププログラムを4年前から提供し、めざましい成果を上げています。

 カスタムプログラムでは、クライアントのビジネスについて学び、UCバークレーが持つシリコンバレーのエコシステムネットワークを活用することができます。これが、他校のエグゼクティブ教育との大きな違いであり、日本市場でも魅力になると考えています。

――日本では、まだエグゼクティブ教育は十分に浸透しているとは言えません。日本でどう展開を進めていきますか。

 私は日本に6年間住んだことがあり、日本市場についてもある程度は理解しています。その感覚から言うと、日本でもエグゼクティブ教育への関心や理解は高まっているのではないでしょうか。すでに三菱商事が先進的な取り組みをしており、他にも日本のメーカーもエグゼクティブ教育に取り組んで着実に成果を上げています。

 また、ハーバードやスタンフォードなどの、私たちの競合校も日本市場を重要市場と捉えて、存在感を強めようとしています。私たちは、UCバークレーの持つ知見や専門性、シリコンバレーのエコシステムを生かし、日本企業の進化を支援していきたいと思います。

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