拡大するグリーンテクノロジー市場、成長の鍵は？「サステナビリティトレンドレポート」

レポート

TECHBLITZ編集部

2025.01.30 Thu

特定テーマのトレンドキーワードや注目スタートアップを紹介する「トレンドレポート」。今回は「サステナビリティトレンドレポート」を紹介します。同レポートでは、“再生可能エネルギー”、“サーキュラーエコノミー”、“ESGソリューション”、など10カテゴリに分けたスタートアップと協業事例をお届けします。
※レポート本誌は、2024年10月に「BLITZ Portal」ご利用企業向けに発刊しております。

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【調査レポート】資金調達の観点から見る「環境 × テクノロジー（環境テック）」注目スタートアップ動向

サステナビリティの今とこれから

図1出典： World Economic Forum “Bold use of green tech can foster a new era of sustainable growth”を参考にBLITZ Portalが作成

図2出典： MARKETS AND MARKETS “Green Technology & Sustainability Market - Global Forecast to 2030” を参考にBLITZ Portalが作成

　「サステナビリティ(Sustainability)」とは持続可能性を意味します。現在から将来にわたって人々が安心・安全に暮らせる社会の実現を目指し、環境問題や社会課題を解決する活動やサービスは「サステナブル」と形容され、そうした取り組みには単純に環境に優しい対策を推奨するだけではなく、経済的・社会的に無理なく長期的にポジティブな影響をもたらすことが求められています。

　現在、プラスチックごみの大量流出や海洋の酸性化、森林減少による砂漠化など、多くの環境問題が深刻化しており、特に地球温暖化や気候変動は喫緊の課題です。その原因となる二炭素酸化を多く排出する産業(図1)においては、対策が急がれています。また、日進月歩で進化するテクノロジーの活用が「サステナブルな形」で進むことが大切です。例えば、普及が進むAIや機械学習には大量のエネルギー消費が必要であり、電子部品に必要なレアアースは採掘や精錬に環境汚染の課題が伴います。個人レベルでも生活様式や消費行動の見直しをするなど、社会全体のサステナブルな発展を目指すには、人間の活動、技術、そして自然環境のバランスを模索することが重要です。

　調査会社のレポート*によると、グリーンテクノロジーとサステナビリティのグローバル市場規模は2024年にUS$28.6Bから、2030年までにUS$134.9Bに達し、その年平均成長率(CAGR)は29.5%となると予測されています(図2）。特に、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上、持続可能なサプライチェーンの構築、環境負荷の少ない製品開発、二酸化炭素排出量の削減などに多くの投資が見られるようです。昨今では、多くの企業が環境目標を設定して積極的な取り組みを行っており、事業の持続可能性を高めるため、先端技術や革新的なソリューションを持つスタートアップとの戦略的提携も活発に行っています。近年のESG(環境・社会・ガバナンス)経営への要請とも相まって、サステナビリティは今、投資家や経営者から最も注目されている分野の一つと言えるでしょう。

　本レポートでは、イノベーションと新たな事業アイデアでサステナブルな社会の実現に貢献する有望なスタートアップをカテゴリー別に紹介します。また、後半では大手企業の協業/導入事例もご紹介します。

*MARKETS AND MARKETS “Green Technology & Sustainability Market - Global Forecast to 2030

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　「サステナビリティトレンドレポート」は、以下の画像の内容で構成しております。そのうち本記事のフォームから入手できる短縮版では、冒頭の「Overview」と「カテゴリー概要（一部）」をお読みいただけます。

※今回TECHBLITZ上で配布する「サステナビリティトレンドレポート」は一部項目のみの短縮版となります。下記コンテンツを含んだ完全版は「BLITZ Portal」会員のみに配布いたします。

[完全版で追加される内容]
・（Category7以降）カテゴリー概要
・大手企業との協業 / 導入事例

再生可能エネルギー

太陽光、風力、水素、地熱などの再生可能エネルギーは、サステナビリティに関する投資の中心的な存在です。この分野への世界的な投資額は2023年に6,230億ドルに達しており*北米やアジアでは太陽光や水素、欧州では洋上風力関連の再エネプロジェクトが盛んなようです**。ここでは、サステナブルな太陽光発電とコスト効率の良いグリーン水素の製造システムをご紹介します。

*BloombergNEF “Global Clean Energy…Report”、**BCG “From Clean Tech 1.0 to Climate Tech 2.0”

Power to Hydrogen
グリーン水素の製造コストを大幅削減

Image : Power to Hydrogen HP

グリーン水素を製造する陰イオン(AEM)型の電解装置を開発する企業。液体アルカリとAEMの両方の長所を生かした、特許取得済みのハイブリッド電解セル設計により、希少資源を使用せず環境に優しい、シンプルで低コストなシステムを実現した。再生エネルギー特有の電圧変化にも素早く対応でき、効率的な水素製造が可能。また、同システムはオンサイトで200bar以上の高圧水素および純酸素を製造し、圧縮作業の必要なしに長期にわたる貯蔵が可能。化石燃料の代替となるためのコスト目標($2/kg未満)の達成に向け、技術実証プロジェクトを実施中。例えば、NASAおよび米エネルギー省のエネルギー高等研究計画局と共同で先進製品ラインの開発を進めている。2024年8月、JERAや旭化成などから$18Mの資金調達を実施。

資金調達額累計：$40.1M / Series A
本拠地：米国オハイオ州コロンバス
HP：http://www.power-h2.com
企業概要ページ：https://blitzportal.com/startups/Power-to-Hydrogen-oxlvzmkKx

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サーキュラーエコノミー

世界的に深刻化するプラスチック汚染に対抗するため、法的拘束力を持つ国際プラスチック条約（The Global Plastics Treaty）の成立に向けた議論が進められています。あらゆる産業で責任ある製造と循環型サプライチェーンへの移行が急がれます。サステナブルな社会の実現のため、さまざまなリサイクル技術や廃棄物管理ソリューションが求められており、材料の再利用や廃棄物削減を支援するスタートアップに注目が集まっています。

PLASTICFRI
環境負荷が低く、低コストなプラスチック代替品

Image : PLASTICFRI HP

農業廃棄物や植物、木質繊維といった再生可能資源を活用し、環境負荷の低い植物ベースの製品を製造する企業。従来の化石由来プラスチックに代わる、フィルムベースのゴミ袋や使い捨てカップなどの繊維ベース製品を展開している。従来のプラスチック代替品よりも高い強度と耐湿性を持つ。フィルムベースの製品は約3カ月で堆肥化でき、繊維ベースの製品は他の紙屑と一緒に再生紙の原料としてリサイクル可能なため、廃棄物削減に貢献する。さらに、特許取得済みの製造プロセスにより、従来のプラスチック製品の65%のエネルギーで大規模生産が可能で、コストもほぼ同等に抑えられている。同社は、多様な製品ラインナップとサーキュラーエコノミーの実現に向けた包括的なアプローチを強みとしておりGlobalTech Innovator2023をはじめ、多くの賞を受賞している。

資金調達額累計：$5.5M / Seed
本拠地：スウェーデンストックホルム
HP：https://plasticfri.com/
企業概要ページ：https://blitzportal.com/startups/PLASTICFRI-JxyDgNpj

ESGソリューション

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点からの経営を重視する投資商品やグリーンボンドの台頭は、金融業界を賑わせています。この分野で一歩先を行く欧州に続き、北米でもVCやプライベートエクイティからの投資が活発化しています。サステナブルで豊かな社会の実現を目指す企業の取り組みは今後もますます重要視されると見られており、それらの可視化を支援する仕組みやサービスに注目が集まっています。

osapiens
サステナビリティ戦略の実現と規制遵守を支援

Image : osapiens HP

法人向けESGプラットフォームをSaaSで提供する企業。複雑化するESG規制に対して、コンプライアンス、リスク軽減、運用効率の各モジュールを単一のプラットフォームに統合して提供することで、企業のサステナビリティ戦略の実現と規制遵守を支援する。AIや先進技術による自動化と、多様な業界ニーズに対応できる柔軟性が強み。同社のESGプラットフォーム「osapiensHUB」により、企業はリスクを特定し、EUDR(EU森林伐採規制)やCSRD(企業持続可能性報告指令)、CSDDD(企業持続可能性デューデリジェンス指令)LkSG(ドイツサプライチェーン法)などへの準拠や報告義務を果たし、業務プロセスを長期的に持続可能なものにすることが可能。Neumann Kaffee GruppeやREWE Groupをはじめ、60カ国以上で1,300社以上の顧客が導入している。