TileDBは、多様なデータを多次元配列で一括管理できるクラウドベースのストレージソフトウェアを開発している。今回はFounder & CEOのStavros Papadopoulos氏に話を聞いた。

ユニバーサルなデータ管理ソリューションを開発

――まずはTileDBを起業した経緯を教えてもらえますか?

 私は香港科技大学(HKUST)で博士号を取得し、その後MITで客員研究員などを務め、2015年にボストンでIntelとMITが共同設立したビッグデータイニシアチブに携わることになりました。

 その頃、大手ゲノミクス研究所からIntelに持ちかけられたのが、リサーチプロジェクトにおけるデータ管理の相談でした。実はプロジェクトのボトルネックは、本体の研究ではなく、複雑かつ多様なフォーマットで分散管理されていたデータにありました。

Stavros Papadopoulos
TileDB
Founder & CEO
香港科技大学(HKUST)のコンピュータサイエンス・エンジニアリングの博士号を取得。2014年より、Intel LabsIntel Parallel Computing Labの上級研究員、MIT CSAILのIntel Science and Technology Center for Big Dataに3年間在籍。2017年にTileDBを設立し、CEOに就任。
 エンジニアやデータサイエンティストは、実際の分析やコラボレーションではなく、データエンジニアリングやデプロイメントに非常に多くの時間を費やしていました。そして、この問題は世の中の多くの組織が共通して抱えていることに気づき、2017年にTileDBを立ち上げたのです。

――御社ではどのようなサービスを提供しているのですか?

伝統的なデータベースやテーブルでは実現できない、多次元配列により全てのものを単一のデータ構造に格納できるソリューションを提供しています。簡単かつ安全で組織横断的なデータ共有と、スケーラブルなコンピュートを実現するサーバーレスのインフラストラクチャになっています。主要な適用領域は、ゲノミクスや時空間衛星画像などですが、その他にも金融など様々な領域での活用が可能です。

――御社の強みはどのような点でしょうか?

 他社との大きな違いは、単一の製品であらゆる型のデータを処理できるため、非常にユニバーサルなストレージエンジンだということです。定番のプログラミング言語や分析ツールによるアクセスが可能になっており、柔軟かつ効率的なデータ処理を行うことができます。

 また、当社のサービスは完全なサーバーレスであるため、PrestoDBやSparkといったツールとのAPI連携もサポートしています。また、企業の要望に応じて、包括的なソリューションである当社のTileDB Cloudをご利用いただくことも可能です。

――収益モデルはどうなっていますか?

 メインコンポーネントであるストレージエンジンはオープンソースなので、無料です。これまでの収益源は主にプロフェッショナルサービス契約によるものでしたが、今後はSaaS型の従量課金によるサービス提供をメインに進めていきます。データをクラウドに置きたくない大企業などには、ライセンス料という形でお支払い頂く形式もあり得ます。

まずは欧米で事業基盤を固め、ゆくゆくはアジアへの進出も

――今後の展望を教えてください。

 まずはエンジニアチームを拡大させ、TileDB Cloudを中心としたサービスを充実させていきます。顧客の拡大が当面の課題になりますので、マーケティングにも力を入れていきます。アメリカや子会社のあるヨーロッパ以外の地域にも拡大していきたいと考えています。

――アジア展開も視野に入っていますか?

 まずはアメリカとヨーロッパで事業基盤を固めたいと思いますが、私は香港やシンガポールに住んでいたこともあり、アジア進出も検討しています。香港とシンガポール、そして日本でも研究開発を始めたいですね。どこかの市場において強いニーズが感じられれば、一気にリソースを投下することもありえます。

――もし、日本で御社の製品を展開するとしたら、どのような企業がターゲットになってくるのでしょうか?

 日本市場でいうなら、製薬会社や医療関係の企業です。ボストンには日本の製薬会社がたくさんありますし、私の妻はその1社に勤めています。製薬会社は多様なさまざまなデータがあるため、TileDBを活用するのに最適な業界です。日本市場からのニーズを理解したいので、ぜひ色々な企業をディスカッションをしたいと考えています。

 新型コロナウイルスの影響で、財務状況が厳しい企業も多いと思います。我々の製品なら、コストを抑えつつ最適なデータ管理ソリューションを、クラウド・オンプレミスのどちらでも提供できますので、ぜひとも力になりたいと考えています。



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