Teespringは、いまシリコンバレーでもっとも注目されているスタートアップの1社だ。同社のビジネスモデルは、Tシャツのクラウドファンディング・プラットフォーム運営という耳慣れないもの。だれもが平等に、ノーリスクでオリジナルTシャツを販売できる〝夢のサイト〟を運営している。共同創業者の2人に、起業の想いや今後のビジョン、日本進出プロジェクトなどについて聞いた。

Walker Williams
Teespring
Co-Founder CEO
ニュージーランド出身。2007年にブラウン大学に入学。2011年にTeespringを設立し、CEOに就任。2013年にY Combinatorから出資を受ける。
Evan Stites-Clayton
Teespring
Co-Founder CTO
2007年にブラウン大学に入学し、コンピューターサイエンスを専攻。2011年にTeespringを設立し、CTOに就任。

在庫を抱えるリスクがない

―御社のビジネスを教えてください。

Williams(以下、W):Tシャツのクラウドファンディングサイト「Teespring」を運営しています。誰でも簡単にオリジナルTシャツのデザインを投稿できるサイトで、一定の購入希望者を集めればTシャツを販売することができます。当社はTシャツの製作と納品、代金回収を担当しています。

Stites-Clayton(以下、C):販売したい人は在庫を抱える必要がなく、ノーリスクで販売を手がけることができるのが大きなメリット。多くの人たちが私たちのプラットフォームを活用しています。

―どんな人が利用しているんですか。

W:本当にさまざまですよ。すでにTeespringで生計を立てている人たちもたくさんいて、17人ものミリオネアも生まれています。有名デザイナーでもない、ふつうの人がTシャツのデザインを考えて売る。そんなシンプルな手段でミリオネアになれるんですから、おもしろいですよね。

―Tシャツの品質はどうなのですか?

C:もちろん高品質。有名ブランドでも採用しているスクリーンプリントという技術を導入しています。

―そもそもTeespringはどうやって生まれたのでしょうか。

W:大学生の頃、大好きなバーが潰れてしまい、その思い出にTシャツをつくろうと思ったんです。でも、Tシャツメーカーにお願いに行ったら、2000ドルもかかるうえに2週間も製作期間が必要だと言われました。2週間も経ってしまったら、皆忘れてしまいます。これはなんとかできないだろうか、という悩みのなかで生まれたのがTeespringだったんです。

C:ハタから見たらありふれた、つまらないアイデアかもしれません。でも、当時私たちの抱えていた問題を解決する方法はそれ以外になかったんです。

世界で勝てるチームをつくる

―最近、約40億円の資金調達を発表しましたね(※取材は2014年11月に実施)。資金調達に成功した理由を教えてください。

C:3つあります。まず、当社がものすごいスピードで成長していること。しかも、私たちのプラットフォームで多くの人がビジネスをして、その結果として売上が伸びているので、将来性を感じてもらえたのだと思います。

 次に、過去の資金調達の実績です。今回の資金調達を受ける10ヵ月前に、25億円超の調達を成功させていました。その実績も信用力の向上につながっていたと思います。

W:そして、私たちが在籍していたY Combinatorがたくさんの素晴らしい投資家たちを紹介してくれたことです。Y Combinatorからの紹介ということで、多くのチャンスを得ることができました。

※Y Combinator: 2005年に設立されたはシリコンバレー初のシードアクセラレーター(Seed accelerator)。シードアクセラレーターとは株式交換による近代的な営利型ビジネスインキュベーターのこと。

―調達した資金の使い道を教えてください。

C:人材採用です。急成長できたのは、やはり優秀な人材を採用できたから。ですから、とにかく優秀な人を採用していきたい。

W:いまはいろんなポジションが空いています。エンジニア、マーケター、コーポレートスタッフなど…。空きすぎなくらい(笑)。私たちの目標は「世界で勝てるチーム」をつくること。もっとよい製品をつくりたいし、もっと多くの人にサービスを使ってもらいたい。そのためには、いいチームが必要です。

探求すべきは顧客のニーズ

―若い起業志望者にアドバイスをお願いします。

W:スタートアップがもっとも大事にすべきことは、なによりも商品やサービスの質。「顧客が本当に求めているモノ」をつくることです。これは本当に難しい。でも、なぜこのビジネスをしているのか、自分たちの存在意義を考えなければいけません。最終的には顧客です。顧客のためになにができるのか、それをつねに自問自答するのが大事です。

―顧客のニーズを知るには、どうしたらいいでしょう。

C:顧客がなにに対してお金を払っているかを観察することです。私はたくさんの起業アイデアを聞いてきました。しかし、その多くはCEOの目線でしかないのです。「顧客はこれを望んでいると〝思う〟」「望んでいるに〝違いない〟」みたいな感じなのです。でも、そうじゃない。本当に求められているモノをつくらないと顧客には受け入れられません。

W:私たちは顧客がなにを求めているかを追求してこのビジネスをスタートさせました。でも、多くのスタートアップは「この新しいテクノロジーを使えば、人々は好きになるに違いない」と豪語しがち。私はそうじゃないと思う。「次のFacebookをつくる」といったアイデアを聞くたび、私は心配になります。だって、Facebookは実際にみんなが使っているから偉大なんです。多くの顧客から支持されるモノをつくったからいまのFacebookが存在しているのであり、新しい、物珍しい技術を開発したから、ではありません。探求すべきは顧客のニーズなんです。

日本進出に動き出す

―起業したい人は、なにから手をつけるべきですか。

W:JUST TRY IT! イチバン必要なのは、やってみること。偉大な起業家の本を読むのもいいけれど、いくら本を読んだところで実際にはなにも進まない。会社を成長させるのはものすごく難しい。だから挑戦して経験して、学ぶ。これしか成功する道はありません。

C:最初はたくさん失敗するでしょう。でもそれでいいんです。挑戦しなかったら絶対に道は拓けません。失敗を恐れてはいけません。

―アジアや日本への展開は考えていますか。

C:もちろん。いまは詳細な事業計画は話せませんが、近いうちにと考えています。すでに日本には多くの商品を発送しています。

 Teespringに投稿されるTシャツのデザインの半分以上はアメリカ以外から。とてもグローバルなんです。日本のデザインはオリジナリティがあり、とても興味深いものがあるので、日本進出を楽しみにしています。

W:私たちが大事にしているのは、人々がもっと簡単に成功できるように手助けすることです。先ほどもお話したように、数多くの人たちが私たちのサービスで収入を得ています。Teespringがもっと活用されることを通じ、世界の人々に大きなビジネスチャンスを届けたいですね。



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