R&Dを国家戦略に位置付けた国
【前編】世界トップクラスの競争力 シンガポールはイノベーション創出をどう支えてきたか
アジアのみならず、世界的に注目されるイノベーションエコシステムを誇るシンガポール。政府の強力なリーダーシップの下、産学官が連携してスタートアップを数々輩出する環境を整えている。政府は30年余り前からR&D(研究開発)を国家戦略に位置付け、イノベーションの創出を支えてきた。
Image: anek.soowannaphoom / Shutterstock
渋滞緩和、交通インフラ不足解消に注目のマイクロモビリティ
シンガポール発電動キックボードシェアリング Beam APACで急拡大、日本展開も予定
マイクロモビリティとは、自動車よりコンパクトで機動性が高く、1人または2人乗り程度の車両を指す。小型で小回りが利き、ラストワンマイルを補うこの乗り物の普及で、交通渋滞緩和や過疎地における交通インフラ不足解消などが期待されている。Beam(本社:シンガポール)は、APACの5カ国・35都市で、マイクロモビリティ事業を展開する。アプリで簡単に電動キックボードなどをレンタルできるペイ・パー・ユース(pay-per-use)のビジネスモデルで、日本展開も近く計画している。Beam共同創業者でCEOのAlan Jiang氏に、同業他社との違いや日本進出の戦略について聞いた。
フードテック先進国でブラジル、ドイツ出身のエキスパートが共同創業
焼き鳥や唐揚げ、チキンカツにも 植物由来の代替鶏肉で多様な調理が可能 フードテックNext Gen Foods
鶏肉のような食感と栄養を持つ植物由来食品「TiNDLE」を提供するNext Gen Foodsは、シンガポール発のフードテックスタートアップだ。TiNDLEは、鶏肉の見た目や食感、風味にこだわった製品で、タンパク質などの栄養素を豊富に含みながら、鶏肉の生産より環境負荷も低減できるとして需要が高まっている。食肉輸出企業でサプライチェーンを担当し、シンガポールでの合弁会社での経験を経て同社を共同創業したブラジル出身のCEO、Andre Menezes氏に、ビジネスの概要と今後の展望を聞いた。
起業家精神あふれる優秀な人材がシンガポールに集まる理由
【後編】世界トップクラスの競争力 シンガポールはイノベーション創出をどう支えてきたか
世界的にも高い競争力を維持し、産学官が連携したスタートアップエコシステムを誇るシンガポール。国土面積が狭く、資源も限られる中、政府は「人材こそ資源」と教育に力を入れてきた。シンガポール経営大学(Singapore Management University, 以下SMU)のイノベーション&アントレプレナーシップ研究所(Institute of Innovation & Entrepreneurship、以下IIE)では、スタートアップのビジネスプランコンテストを隔年で開催し、世界中から参加者が集まる。
7000億ドル規模の乳製品市場 飲食店やバイオテックとの提携に関心
細胞由来のミルクや肉で環境・健康によりよい代替食品を シンガポール発バイオテックTurtleTree
大豆ミートやオーツミルクなどプラントベース(植物由来)食品が普及する中、栄養価を維持した代替食品開発に力を入れている企業がある。シンガポールで創業し、米国にもオフィスを構えるTurtleTreeは、培養ミルクや培養肉といった細胞由来の人工食品を開発している。環境にやさしく、健康によりよい、サステイナブルな製品を目指す同社。共同創業者で、CEOのFengru Lin氏に事業立ち上げの経緯や製品の詳細などを聞いた。
年金の運用を簡素化 投資アドバイスを提供する金融アプリ
わずか20ヶ月で運用額850億円を達成したシンガポール発の資金運用アプリEndowUs
災害時の雇用の不安定さや、金融市場への関心の増加など、パンデミックは一般の人々がファイナンシャルリテラシーを身につける機会となった。様々な金融商品が巷に溢れる中で、投資初心者は、何を選び、どのように投資したらいいかが分かりづらい。シンガポールのスタートアップEndowUsは、年金の運用を簡素化し、投資アドバイスを提供する金融アプリを開発している。Founding PartnerであるGregory Van氏に話を聞いた。
東南アジア5カ国で展開 早くて少額で始められる資金調達の機会創出
中小企業を無担保融資で支える P2PレンディングFunding Societies 東南アジアで展開
Funding Societies(本社:シンガポール)は、一般にピア・ツー・ピア(P2P)レンディングで知られる、オンラインマーケットプレイスのような融資プラットフォームを運営する企業だ。融資対象としているのは中小企業。シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの東南アジア5カ国でサービスを展開している。様々な制約から銀行の融資を受けることが難しい中小企業に、早くて少額で始められる資金調達の機会をつくり出した。共同創業者でGroup CEOのKelvin Teo氏に、事業展開や他社との違いについて話を聞いた。
東南アジアのスタートアップシーンは、過去10年間の資本流入で驚異的な成長
今後10年の東南アジアの動向も予測【東南アジアスタートアップ・エコシステム2.0】
「Golden Gate Ventures」はシンガポールにヘッドクォーターを置き、2011年の設立以来、50以上の東南アジアスタートアップへ投資を行ってきた。創業者の3人は全員、シリコンバレー経験者であり、「シリコンバレー式」の投資術で東南アジアスタートアップの支援を行っている。Golden Gate Venturesが作成した「東南アジアスタートアップ・エコシステム2.0」の日本語版を「TECHBLITZ」が提供する。