サイバーセキュリティの構図を変えたい
―どのような経緯で起業をしたのですか。
セキュリティ関係のスタートアップで働いている中で、ある興味深い事実に気が付きました。世界を善人と悪人に分けたとして、通常ハッカーたちは悪人で、彼らは能動的に攻撃をしてきます。一方、善人はCDNやサイバーセキュリティーを手がける企業ですが、彼らは受動的なのです。悪人たちはクリエイティブにシステムの穴を見つけて破壊活動をし、善人はそれを直し続けている構図です。
私はこの構造を変えたいと思いました。もし、攻撃をするのに非常にコストがかかり、攻撃を止めるのにはそれほどコストがかからなかったら?そうすればもう悪人たちに攻撃を仕掛ける経済合理性はなくなります。
―具体的にどのようなことをしたのですか。
私たちはプログラム可能なネットワークを構築しました。クラウドをレバレッジして、機械学習を利用することで全てのものを統合してバーチャルインフラを作ります。ハッカーにとってこれまでターゲットは止まっていたのですが、私たちの場合はターゲットが動いているような状態になります。その結果、考えていなかった副次的効果も出てきました。顧客の効率を劇的に挙げたのです。
Webサイトのローディングスピードが10倍上がった
―どのようなメカニズムで効率が上がったのでしょうか。
効率的なセキュリティソリューションにするためには、アプリケーションを深く理解し、顧客のアプリケーションのコードを変えなければいけないこともあります。しかし、私たちのソリューションはユーザーサイドを変えることなく、アプリケーションを特定できるよう(フィンガープリント)にします。
フィンガープリントは機械学習で自動化しています。フィンガープリントをとる際に、トランゼクションに興味深い因果性を見つけました。それは、相手が良い顧客か悪い顧客かを判断できるということです。そして同時に、この発見が、実はウェブサイトのスピードを上げることに寄与しました。
Eコマースの場合、ローディングしている時間が長ければ顧客は買い物を諦めてしまいます。一方、オンラインゲームなどと違って処理能力はあまり関係ありません。必要なものが必要なアプリケーションに対して提供されないと、ここでミスマッチが生じます。
私たちはすべてのアプリケーションネットワークを統合しました。そうすると最適なマッチングができるので、私たちのシステムを入れることによってプラットフォームは10倍速くなり、Eコマースやオンラインゲームで消費者は待たされることがなくなったのです。
日本市場にも関心
―今後の展開はどのように考えていますか。
現在は効率の改善を評価してくれた企業が私たちのシステムを導入しています。ヨーロッパ市場には既にビジネスを広げています。これから日本市場にも拡大をしようとしています。カナダ、USに続いて日本に入っていけるのではないかと考えています。