「エッジクラウド」の必要性が高まっている
―まずZenlayerの事業について教えてください。
当社の主な事業はエッジクラウドと呼ばれるクラウドサービスの提供です。エッジクラウドはとてもニッチで垂直的な市場で、従来のクラウドコンピューティングを超える超高速データ処理の実現でもあります。
モノとインターネットがつながったIoT時代になり、スマート機器が世界中で増えて続けています。これらスマート機器の多くはクラウドにより動いていますが、よりスピーディーで確実なデータ処理の実現が更に重要視されるようになったことで、中央集権型の従来のクラウドでは対応しきれない領域ができています。そうした領域で、エッジ処理/エッジクラウドが必要とされ始めているのです。
当社が世界中に持つグローバルデータセンターを相互接続し、エッジクラウドサービスやIaaS (Infrastructure as a Service)を提供しています。クラウド市場は成熟しています。しかし、エッジクラウド市場はまだ発展途上と言えます。対応できる企業が少ない中、当社には既存のグローバル拠点があること、オペレーショナル・エクセレンスが確立していること、そして当社のプラットフォームは自社エンジニアたちによって継続的に改善されているという他社にはない強みを持っています。
Zenlayerのエッジクラウドサービスの特徴は、できる限りユーザの近くにクラウドを構築しストリームすることです。これにより、情報の遅延がないインターネット環境を実現し、顧客体験の向上に直接的に貢献しています。
現在は主にインターネットサービスプロバイダー、またはビデオストリーミング、ゲーミングやオンライン教材などで使われ、顧客数は300社を超えました。顧客の多くは大規模な企業ですが、将来的には中小規模の企業向けプラットフォームの提供を予定しています。
顧客はアジアが70%、日本のパートナーを探している
―世界中でサービスを提供していますね。活動地域を教えてください。
本社はアメリカにありますが、顧客の70%がアジア地域、残りの30%がアメリカとヨーロッパ地域です。アジアには、香港と中国本土に数箇所の支店があり、最近シンガポールにもオフィスを開設しました。
私は、中国企業のグローバル化と、アメリカ企業の中国市場参入が増えたことにビジネスチャンスを感じ2014年にZenlayerを創業しました。例えば、20年ほど前に海外進出する日本企業をNTTやKDDIがサポートしていたのと同じような感じですね。
幸い時代の流れに乗ることができ、ITサービスから始まり、徐々にクラウド・プラットフォームを世界各地に構築してきました。伝統的に参入が困難な、中国、ロシア、ブラジルや南アフリカを含める様々な国にデータセンターがあります。
―日本のパートナーを探していると聞きました。既にアプローチしている日本企業がありますか。
まだどこにもアプローチしていません。日本市場の知識はあまり深くありませんが、日本は成熟市場だということは知っていますので、日本では例えばシステムインテグレータやキャリアのサービスを当社がサポートする形もいいと考えています。
アメリカや中国では、ゲーム、ビデオストリーミングや、ソーシャルネットワーク業界で主に実績があります。日本でも同じように、コンテンツやメディアなどのエンタメ業界とインターネットサービスプロバイダーをターゲットと考えています。それに加え、日本では一緒に市場を開拓する、パートナーを探すことも視野に入れています。
―支店がある香港や中国本土、シンガポールではパートナーがいるのですか。
はい、オフィスがあるシンガポールと香港および中国本土では自社でサービスを提供していますが、台湾ではパートナーがいます。日本市場は独特だと聞きます。そのため、日本での事業展開にはパートナーが必要だと考えています。
「インターネットにつながった世界」を世界中で支える
―将来の展望について聞かせてください。
私たちのビジョンは、インターネットをよりよい物にすることです。接続が常に保たれるインターネット環境を、ビジネスユーザやクラウドユーザに提供し続けること。企業インフラや個人のニーズが常に変動している現代において、フレキシブルにシンプルにグローバルに対応し続けること。
Zenlayerのプラットフォームではワンタッチでビジネスをグローバル化することができます。その実現においては、シンプルであることを追求していきます。当社の世界規模のネットワークと世界市場での拡大計画に従い、一歩ずつ進んでいくつもりです。