CEO自身の経験にもとづいた、人事の現場が求めるシステムを提供
―まずはCEOの経歴と、XOR.ai設立の経緯を教えていただけますか。
XOR.aiを設立したのには大学卒業後に、人材雇用のスペシャリストとして働いた経験があったからです。私はタレントアクイジション業務を8年間行っていました。日々の業務の中で、多くの時間を履歴書の整理や面接のアポイントメント、メール連絡といった単純作業のルーティンに費やしていることに気づきました。
そこで人事担当者の負担を減らすのに、最新のチャットボットを活用できないかと考え、ロケット科学者からAI開発者に転身した共同設立者とともに、XOR.aiを立ち上げたのです。
―XOR.aiでは具体的にどういったサービスを提供しているのか教えてください。
当社はHRテクノロジーを提供する会社です。私たちの主な顧客は大手企業や人材派遣会社です。我々が提供するチャットボットツールを利用することで、人事担当者は日常的に行なっているルーティンワークから解放されます。チャットボットを使えば、応募者とのスケジューリング、カレンダーのアップデート、面接日のリマインダー通知やFAQへの対応など、さまざまな業務を容易にこなすことができます。
すぐに採用に至らなかった応募者についても、データベース化して求職状態を確認し、適職が空き次第ミーティングを再セットアップすることもできます。
103もの言語に対応するユニバーサルシステムで世界中の企業を支援
―システムにはAIやマシンラーニングを使っているのでしょうか。
そうですね。我々は最初ヨーロッパ市場からスタートしたのですが、ここは多言語市場で、既存のチャットボットシステムが実質的に機能していませんでしたので、当社では一からチャットボットエンジンを作り上げました。当社のチャットボットエンジンは多言語対応していて、17のHRシステムとリクーティング関連のデータセットを用いてトレーニングされています。今では日本語を含む103の言語をサポートしています。
―画期的なシステムだと思いますが、競合はいるのでしょうか。
チャットボットツールのようなシステムはまだまだ新しく、旧来のソリューションを利用している企業が圧倒的多数です。そういった意味で、一番の競合は従来の手作業そのものかもしれません。しかし、当社と同じ分野で競合と呼べる相手もいます。今は、4社程度です。
我々の強みは大きく3つあります。まず、対応言語が103と幅広いことです。他社のシステムの対応言語は1言語から2言語程度かと思います。そして2つ目が、堅牢なシステムです。当社なら現在行われている採用関連のコミュニケーションのうち、84%をカバーできます。しかし競合他社の大半は、特定の業務や機能に特化したサービスに限られています。そして最後に、サポートの良さが自慢です。顧客満足度が高く、解約率も非常に低くなっています。
―具体的にターゲットとなる業界を教えてください。
年間300人以上の人材を雇用する企業なら、当社のシステムを有効活用していただけるはずです。その条件を満たしてさえいれば、どんな業界でも利用していただけると思います。たとえば小売店のレジ担当や、セキュリティ会社のSEなどですかね。他にも人材派遣業、接客業、ファーストフードチェーン、ヘルスケア、保険関連企業がお客様として多いです。
変革期にある日本市場への展開に期待感も
―先ほど、日本語にも対応していると伺いましたが、日本市場への展開も検討されているのでしょうか。
日本市場には大いに興味を持っています。日本は欧米と異なり、大学卒業後に会社に入ると生涯勤めあげる人が多いと聞いています。それはそれで素晴らしいと思います。ただ、それが少し変容していて、新しい技術を求めている。そこに我々が参入する意義があると思うので、2020年以降、より具体的に話を進めていきたいと考えています。
―日本市場に参入するなら、どのようなクライアントを望みますか。
いずれにしても現地法人を立ち上げるのではなく、アメリカの本社を拠点に取引することになると思います。そのうえで、我々のことを良く理解し、より良い条件で当社のシステムを試してくれる、ケーススタディとなってくれる相手がいいですね。
―最後に、今後のビジョンがあれば教えてください。
今後2年のプロダクト開発については、明確なロードマップをもとにすすめていきます。採用から退社まで、人事全般を扱っていきたいですね。顧客からも、そういった要望がありますので。いずれにせよ、あらゆる作業を自動化することで人材雇用関連業務を効率化させ、人事業務の品質向上とコスト削減に貢献していきたいと思っています。