Omar Tawakol
Voicera
Founder&CEO
マサチューセッツ工科大学卒業。その後、スタンフォード大学にてコンピューターサイエンス修士課程を取得。Oracle Data Cloudにて、SVPとして勤めたのち、2016年にVoiceraを設立。

ミーティングを生産的にする「Eva」

 VoiceraはEvaという音声認識を用い、自動で議事録を作成するAIアシスタントアプリを提供している。CEOのTawakol氏が全ての人が100%ミーティングに集中できるようにという思いからEvaを開発した。「私がOracle Data Cloudに勤めていた時にCEOのLarry Ellisonなどとミーティングする機会がありました。そこで気づいたのは、彼らが100%そのミーティングに集中しているということ。彼らはミーティング中に携帯電話やパソコンを触りません。ミーティング後のフォローアップも早く、明解でした。しかし、彼らよりも役職が下の人間とミーティングをした時、彼らはミーティングに100%集中していなかったんです。彼らはパソコンに気を取られたりしていて、フォローアップにも時間がかかりました」とTawakol氏。

 会議の参加者が議事録取りに追われず、集中して議論に参加するには何が必要なのか。その課題を解決するために、Tawakol氏はAIを構築し、Evaを開発したのだ。

Image: Voicera

強みは音声認識の精度ではない

 EvaはAlexaなどと同じようにキーワードスポッターと呼ばれるコマンドを使用することができる。例えばミーティング中に重要だと思う箇所があれば、Evaに“ハイライトするように” と音声で指示することができる。

 Evaは使用するほど、ユーザーが使っている業界の言語を学び、精度を上げていく。ただしEvaの強みは音声認識の精度ではない。精度そのものは他の音声認識ソフトウェアと変わらないという。

 Tawakol氏は「我々の強みは音声認識の精度ではありません。認識の精度はGoogleやMicrosoftとさほど変わりありません。我々の強みはミーティングの重要だと思われる部分を識別できる点にあります」と語る。Evaはミーティング終了後に4種類のAIアルゴリズムとNLP(自然言語処理)によってプロセスされ、重要な会話を自動で認識する。ミーティング後にはダッシュボードで重要だとハイライトされた部分を編集し、SlackやSalesforceなどで共有することも可能だ。

Image: Voicera

Conversations inboxの実現へ

 Voiceraが目指しているのは、ミーティングをより生産的にするだけではない。ミーティングを通常の業務と結びつけ、そしてより多くの人がVoiceraのプラットフォーム上で繋がることを構想している。カンバセーションインボックス(Conversations inbox)と呼ばれる携帯電話やメールの会話を全て一つのインボックスへ統合することを計画しているという。「インボックスの中にすべての電話やメールなどの会話が保存され、検索などができ、他の人とシェアができるようにしたいと考えています。インボックスが将来、人々の仕事の中心になればと思っています」。

 現在、他言語には未対応ではあるがシングリッシュ(シンガポール英語)やニュージーランド訛りの英語など様々な訛りの英語を選択できる。日本市場には興味があり、今年の後半から日本市場へ参入するためのパートナーを探し始める方針だ。

Image: Voicera



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