カスタマーサポートが原因で解約に至るケースが年々増えている。UJETは、オムニチャネルと複数言語に対応し、既存のCRMツール等との連携、そしてカスタマーサポートの成功指標も測定できる、クラウド型CSソリューションを提供するスタートアップだ。今回はFounder & CEOのAnand Janefalkar氏に話を聞いた。

製品やサービスの質と、カスタマーサポートの質が乖離している。この問題を解決したい

―まずはUJET設立の経緯を教えていただけますか。

 私は、長年エンジニアとして企業で働き、次は自分で事業を始めたいと思うようになりました。そして、今までに直面した最も大きな問題は何か、ユビキタスな問題は何かを考え、出した答えが、カスタマーサポートでした。

 スマートフォンに慣れたクラウドネイティブにとって、耐え難い程、質が悪いカスタマーサポートが存在しています。購入した製品やサービス、アプリやWebサイトなど、ブランドから得る良い経験とは違う経験を、カスタマーサポートではします。

Anand Janefalkar
UJET
Founder & CEO
ムンバイ大学にて工学の学位を取得後、サザンメソジスト大学にて理学の修士号を取得。MotorolaにてSr. Staff Elec. Engineerや、HP PalmにてLead Engineerを務めた後、無線デバイスを手掛けるスタートアップなどで、上級エンジニアやアドバイザー職を歴任。2015年にUJETを設立し、CEOに就任。
 
 私は、3つの基本的な信念を持ってUJETを設立しました。

 1つ目は、人々は、視覚的そして文脈に依存する方法で、コミュニケーションを取るため、それに合わせた方法が求められている、ということです。スマートフォンの普及によるところが大きいと思いますが、普段私たちは、問題を伝える時に、画像に撮って送ることがほとんどです。スマートデバイスが持つ画像や動画などの機能に、カスタマーサポートも対応する必要があります。

 2つ目は、人々のコミュニケーション手段は変わり、今は、電話、テキストメッセージ、画像の送信、SNSなど、様々なチャネルでコミュニケーションを取っています。例えば、最初は「ドローンを買おうと思う」と、テキストメッセージを送ります。次に買おうと思っているドローンの画像を送ります。そして購入後に、「さっき話したドローン、買ったよ」と電話で伝えるかもしれません。すべてのチャネルに対応したプラットフォームが求められています。

 そして、3つ目は、顧客との接点の質です。例えば、モバイルバンキングアプリでも、指紋でログインして、モバイルデポジットで小切手を入金できて、便利です。しかし、なぜかカスタマーサポートだけは、「母親の旧姓」や「高校時代に好きだったバンド名」などで、認証しなければならず、不便です。

 こうした問題のソリューションとして、2015年7月にUJETを始めました。今ではGoogleやPayPalなどの大手ブランドに使っていただくまでになり、とても光栄に思っています。  

インスタント・グラティフィケーションを重視

―御社のサービスの特徴や強みを教えてください。

 強みとしては、まず、ユーザー・エクスペリエンスとヒューマンインタラクションを私たちは理解していることです。他社では、スマートフォン前のやり方を続けていますが、私たちは、インスタント・グラティフィケーション(すぐに得られる満足)に価値をおいています。

 インスタント・グラティフィケーションを可能にする様々な機能に加え、SalesforceやZendeskなどのCRM等と連携でき、データをリアルタイムで一元管理することもできます。また、コールセンターのマネージャーやスーパーバイザーが、成功指標を測定できるレポート機能も当社のサービスの重要な部分です。

 更に、SaaSとしてご提供しており、ハードウェアは不要で、導入までの時間が短いことも当社の強みですし、高いセキュリティを確保していることも選ばれる理由の1つだと考えています。

友達や家族とのコミュニケーションと同じレベルにあるカスタマーサポート

―今後の目標を教えていただけますか。

 米国で定期的に公開されているチャーン(解約率)指標のいくつかを見ると、カスタマーサポートが原因になっている損失は、2014年は約410億ドルでしたが、2018年の統計では、700億ドルに達しています。選択肢が増え、以前は許されていたような対応も、現在は許されなくなっています。ユーザーは、ブランドエクスペリエンスがよくても、小さな問題に遭遇すると、直ぐにそのエクスペリエンスが下がり、他のブランドに乗り換えてしまうということです。当社は、ブランドエクスペリエンスと差がないカスタマーサポートをご提供することを、今後も目標としていきます。

―既に日本を含め世界的に事業を展開されていますが、日本事業の拡大において必要なことがあれば教えていただけますか。

 そうですね、当社には、日本人のアカウントマネージャーがいますし、日本で採用活動を進めています。今後、日本チームを作りたいと考えています。

 また、ビジネスパートナー、リセラーやチャネルパートナーも探す予定です。



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