Image: Trusona
Webサイトに限らず、公共機関、医療サービス、金融機関などにおいてパスワード認証が使われている。しかし、パスワード認証では情報の安全を完全に守ることは難しい。ID・パスワード・タイピング不要のTrusonaの認証サービスは、パスワード管理からの解放であり、情報の流出リスクを防ぐ究極の認証ソリューションとして注目を集めている。今回はFounder & CEOのOri Eisen氏に話を聞いた。

Founder & CEO
Trusona
Ori Eisen
サイバーセキュリティおよびIT業界において20年以上の実績があり、サイバーセキュリティに関係する特許を数十種類保有している。Trusona設立前は、金融機関等のオンライン不正/犯罪防止および検出ソリューションを提供する41stParameterの創業、American ExpressのWorldwide Fraud Directorとしてなりすまし犯罪に対抗するセキュリティ強化プロジェクトを担当し、革新的な技術開発によりわずか3ヶ月で85%以上の詐欺行為を削減した実績などがある。世界各国の企業や団体から依頼を受け、有識者として基調講演などの講演活動も行っている。子どもをデジタル犯罪から守る活動や、サッカーボールを子どもたちに寄付する活動など、ボランティア活動にも個人的に力を注いでいる。

簡単、安全、経費削減

―まずTrusonaについて教えてください。

 Trusonaのログイン認証では、ID・パスワードの役割をモバイル端末の生体認証機能が担います。そのため、従来使われているID・パスワードは一切使用しません。

 まず、ユーザーのモバイル端末に専用アプリをインストールしてもらいます。アプリのセットアップガイダンスに従い、メールアドレスなどを登録するとモバイル端末搭載のID生体認証が可能となります。会員向けサービスを提供する企業のサイトには、ログイン用QRコードを表示します。ユーザーは専用アプリでQRコードをスキャンすることで認証が完了します。このQRコードにも工夫があります。実物を見ていただければわかると思いますが、TrusonaのQRコードは静止画像ではありません。アニメーションのように動きがあります。

 また、Trusonaのコア技術としてアンチリプレイ機能があります。これはユーザーが同じセッションを使って再度ログインすることができない機能です。端末と企業のサイト間で行われる送受信データの安全を守ります。

―Trusona利用のメリットを教えてください。

 例えば、会員向けPCサイトのログインにTrusonaを使うとします。まず、最初に既存の自社アプリを持っている場合は、Trusonaの機能をそのアプリに後付けすることが可能だというメリットがありますが、それ以外にも3つのメリットがあります。

 1つ目は、ユーザーがパスワード管理から解放され、より簡単にログインできるようになるということ。2つ目は、データ通信における安全性が高いということ。3つ目は、「パスワードを忘れました」「パスワードロックがかかってしまいました」というお問い合わせがなくなるため、コールセンターの対応件数が減り、運営コストの削減につながるということです。

 

ログインはいたるところで使われています

―どのような企業がTrusonaの認証ソリューションを利用しているのでしょうか。

 現在まで、金融機関、医療機関や教育機関などでご利用いただいています。アメリカ、日本とイギリスに拠点があり、顧客総数は200を超えました。社名をお伝えできる大手企業としては医療保険会社のAetna社。社名はお伝えできませんがアメリカの最大手銀行にもご利用いただいています。

―日本にもすでにオフィスを開設していますね。

 そうですね、海外展開を考えた時にヨーロッパも候補にありましたが、先に日本で事業を立ち上げました。2017年8月に東京オフィスを開設、2018年から本格的に活動を始めています。

 おかげさまで、日本では順調なスタートを切ることができました。2018年1月にはNTT-AT社と代理店契約を結び、同年8月には凸版印刷社と販売代理店契約を締結しました。日本ではこの二社がディストリビューターになっています。この1年で、大手メディア系企業やクラウドサービス会社など、すでに複数の日本企業に当社のサービスをご利用いただいています。

インターネットという便利なツールを未来に残したい

―Trusona設立の経緯を教えてください。

 私は新聞を毎日読みます。すると、日々データ侵害に関連するニュースを目にします。もはやインターネットは安全とは言えず、この問題を解決しなければインターネットを信頼する人がいなくなり、将来的にインターネットは使われなくなるのではないかと心配していました。

 自分の子どもたちには、IDやパスワードを使わない、サイバー犯罪が抑制された、信頼できるインターネット環境を残したい。それがTrusona開発のきっかけであり、当社のビジョンです。



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