機械学習を使って債権回収を手掛けるTrueAccord。度重なる電話により、時に不快な経験となってしまう債権回収。顧客の行動についてのデータを集め、分析することによって、カスタマイズしたアプローチで通常の債権回収よりも高い回収率を誇る。CEOのOhad Samet氏に聞いた。

Ohad Samet
TrueAccord
CEO
2005年にTel Aviv UniversityでBiology, Philosophyの学位取得。機械学習を使った金融サービスベンチャーで働いたのち、同企業が買収されたことからPayPalへ。その後立ち上げたベンチャーがKlarnaに買収され、CROに就任。2013年にTrueAccord設立。

非効率な「電話での債権回収」を変革

―どのように既存の債権回収ビジネスを変えようとしているのでしょうか。

 米国には現在数千万人の消費者、世界中には億単位で何らかの債務を抱えています。その回収の方法は伝統的には非効率で不快な経験になりがちでした。通常、電話をかけることによるものですが、対象者の財務状態を改善することはありません。むしろストレスを増やし、財務状態を悪化させることもあります。

 我々は消費者をお客さんのように扱い、それぞれの支払い能力などに合わせてカスタマイズした債権回収をしています。これにより、消費者金融のブランドや債務を抱えていることや自分自身についての認識が改善し、より良い顧客経験につながります。

Image: TrueAccord

―どうしてこのビジネスを始めようと思ったのですか。

 私は機械学習を使った金融サービスにかれこれ13年携わっています。はじめは、Fraud SciencesというEコマースで詐欺を防止する会社で分析の責任者をしていましたが、2008年にこの会社がPayPalに買収されました。数年PayPalで働き、その後、消費者の信用保証に機械学習を利用する別の会社を作りました。この会社も2011年にヨーロッパの金融Klarnaに買収され、私はCROになりました。ここに数年いる間に年間5億ドル分の信用保証を手がけ、債権回収がいかに非効率であるかに気が付きました。新しい技術をこの領域にあてはめられないかと考え、2013年にTrueAccordを立ち上げることにしました。

機械学習を用い、従来より50%以上高い回収率

―機械学習をどのように債権回収に適用しているのですか。

 機械学習を使い、消費者とのやりとりの大量のデータを分析し、個々の消費者に対してどういったコミュニケーションをとるのがベストかを分析しています。どのチャネルで、誰にコンタクトを取り、どういった文脈で、どの支払い方法を提案するのか、どのように、どれくらいの頻度でフォローするかといったことを、消費者行動のデータから判断しています。

―ビジネスは成長していますか。

 2016年から2017年にかけての成長率は3倍でした。クレジットカード業者、銀行、消費者金融などの100以上の企業が顧客になっていますが、我々の回収率は伝統的な債権回収会社よりも50%高く、それが我々を選んでくれる要因になっています。今は米国に焦点を当てていますが、日本市場にも将来的には興味があります。



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