Image: Tascent
2015年に設立され、生体認証システムを開発するTascent。空港などでの指紋認証から、顔認証、旅行などで顧客体験を豊かにする瞳の認証まで幅広く手がける。2018年にはNECが出資し、グローバルでの共同開発を進めている。今回はCEOで創業者のJoey Pritikin氏に最新の生体認証の動向とTascentの強みを聞いた。

Joey Pritikin
Tascent
Co-CEO & Founder
2001年スタンフォード大学卒(Electical Engineering)。生体認証関係でプロダクトマネージャーや開発管理を2社で務めた後、Tascentを創業。

生体認証を通じて、安全性だけでなく良質な顧客体験を提供

―どんなサービスを提供していますか。

 生体認証のソフトウェアサービス、ハードウェア機器を開発しています。顔や瞳(眼球の中の虹彩)で素早く直感的に使える認証ツールを提供し、マッチングやアイデンティティマネジメントとして使いこなしてもらうためのソフトも企業に提供しています。

 生体認証はこれまで主にセキュリティや安全性確保のためのものでした。空港や銀行、オフィスにセキュリティや安全性をもたらすことはもちろんですが、今はそこからどのように効率的な顧客体験をもたらせるかにフォーカスが移っています。

―指紋の生体認証は空港などで広く使われていますね。

 指紋認証は公的な場所での安全性確保や鑑識には有効ですが、消費者向けの認証では“触る必要がない生体認証”がより求められるようになっています。

 そこで私たちは虹彩の認証に力を入れています。虹彩の認証はもっとも正確でかつ効率がいい生体認証と言えるでしょう。これまでは生体認証は技術面が優先されてきましたが、私たちはユーザビリティにも力を入れています。直感的に使えて、簡単であることが生体認証へのハードルを下げることになるでしょう。

生体認証でスムーズにクルーズに乗船

―具体的にどのような使い方がありえますか?

 従来は政府系機関、空港や国境警備などで活用されていましたが、私たちはたとえば旅行業界と組み始めています。米国船会社のRoyal Caribbeanとの協業では、クルーズに乗客が生体認証でスムーズに乗り込む手助けを最初から最後まで行いました。素早く効率的な方法は、ポジティブな顧客体験につながります。将来的には支払いなどの金融サービスにも取り組んでいきたいと考えています。

―顧客企業向けにアピールできる点はありますか。

 企業向けには、様々な方法の中からもっとも適した生体認証の方法を提案し提供しています。異なった環境でも認証の精度を保つことにも力を入れています。

 伝統的にはこの領域は顧客企業がデータを管理することができなかったのですが、私たちはオープンアーキテクチャで、セキュリティを保ちながら顧客企業が自分たちのデータを管理できるようにしています。

―日本企業との連携には関心がありますか。

NECが出資をしてくれており、グローバルパートナーでもあります。日本の中でNECとは違ったマーケットや異なるアプリケーションにアプローチできる企業との協業はいつでも歓迎です。旅行関係、イベント、オフィス、金融など様々な領域で生体認証は有効だと思います。



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