コロナ禍、利用者が急増。競合はMicrosoft Teams
――前回取材したのは4年前でした。どのような変化がありましたか。
創業してから5年半で、累計4億6000万ドルの資金調達に成功しました。2019年6月のシリーズEラウンドでは、1億6000万ドルの資金調達ができました。現在50万人以上のユーザーを持ち、顧客は360社にものぼります。年間の経常収益も6200万ドルを超えています。
――改めて、現在のビジネスモデルについて教えてもらえますか。
2つあります。まずシンプルに、ツールの利用料です。一人あたり月額20ドルで、ユーザー数が増えればボリュームディスカウントがききます。
もう一つはソリューションビジネスです。私たちはSalesNOW、Salesforce、Boxなど十数社の エンタープライズ向けのソフトウェアをSymphonyに統合しています。これにより、お客様はSymphonyを使って、これらのシステムにアクセスできるようになります。
金融機関向けにセキュアなコラボレーションツールを提供。
Image: Symphony HP
――よくSlackやMicrosoftのTeamsと比較されるようですが、競合他社はどこですか。
BloombergやMicrosoftです。Bloombergは、フロントオフィスの社員向けツールを提供しており、MicrosoftはSkype for businessとTeamsといった法人用ツールを提供しています。
私たちは金融機関を顧客としているので、実はSlackは競合ではありません。その上、TeamsはSlackを大手向け市場から一掃してシェアを奪っている状況です。
フロントオフィスの社員は、社内の他、社外の取引先とも連絡を取り合わなくてはいけません。今は大規模な金融機関ではSymphonyを使ってもらっていますが、社内のIT部門がコミュニケーションシステムをTeamsに統一するとなった場合はどうでしょう。そこで競争が生まれるのです。
メガバンクが導入。日本はイノベーションにオープンな市場
――新型コロナウイルスはどんな影響を与えていますか。
人々はセキュリティやコンプライアンスを遵守した方法で、自宅から働く必要があります。そのため、Symphonyがそのツールとして利用されており、ユーザー数は急増しています。私たちも危機的な状況下で、期間限定でツールを無料で利用できるようにしました。
――日本でもオフィスを開設しています。日本での展開について教えてください。
私たちは野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル・グループから出資を受けています。日本国内で密接に連携を図っている段階で、主に企業内のチャットボット自動化に取り組んでいます。
日本の大手金融機関は、私たちの重要な取引先です。日本の市場は、イノベーションや業務効率化システムの導入にもオープンです。コロナ禍以前は、顧客とチームの訪問のため日本に毎月行っていたほどです。日本の市場は、私たちにとって大変魅力的でエンゲージ率も高く、イノベーションに前向きだと感じています。
――日本の読者にメッセージをお願いします。
テクノロジー業界は相互に連携し合っています。新しいモノが早く浸透しやすい業界でもあります。日本は人口規模が大きく、素晴らしい技術的ソリューションを開発する機会があります。
私はテクノロジーが日々の生活を豊かにすると確信しています。日本は、自分たちに必要なテクノロジーを注視し、そしてうまくいったテクノロジーを国外に展開していくこともためらわず行ってほしいと思います。