プロによる自動運転車向け物体検知システム
―まずはJunhwanさんの経歴を教えてもらえますか?
私は大学院から開発エンジニアとしてのキャリアを始め、Intelでも3年ほど顔認識技術の設計から量産までかかわってきました。
その後、顔認識技術のスタートアップを設立し、古巣のインテルへの売却も経験しました。それらの経験がStradVisionの創業・経営に活かされており、現在もCEOを務めながら開発方面にも力を入れています。
StradVisionではもともとGoogle Glass向けの物体認識のソフトウェアを開発していたのですが、事業環境変化に応じて自動車向けにピボットして今に至ります。
―御社ではどのようなサービスを提供しているのですか?
基本的に、当社では自動車に搭載される物体検知用カメラを製造しています。車の前面や背面、側面に設置されたカメラで歩行者や交通標識などを認識し、周囲の状況を詳細に把握したうえで、専用プロセッサーを通じて情報を車に伝えます。
―現時点で、御社の技術を使うと、自動運転車はどの程度まで実現しますか?
いわゆる運転支援というレベル(レベル1とレベル2の間程度)のシステムはすでに量産可能です。もちろん、将来的にはレベル4(特定の場所でシステムが全てを操作)までを視野に入れていますが、今はまだ規制の問題でレベル4の量産は先の話になりそうです。
高度なディープラーニングで安定的な認識システムを構築
―御社の強みや、競合他社との違いについて教えてください。
当社のソフトウェアを導入して頂くことで、従来行われていた人力によるデータ処理時間を大幅に削減し、プロジェクトの進行速度を大きく高めることができます。
―収益モデルはどういった形ですか?
当社の直接の顧客は、システムを構築する半導体メーカーです。我々のカメラ技術を活用して、ADASや自動運転車システムを作っていただく形ですね。
収益モデルは2種類あって、1つはご要望に応じたシステムを開発するための開発費の負担。量産開始の段階に至ったあとは「車1台あたり」という単位で四半期毎のライセンス料をお支払いいただいています。
日本オフィスを開設、複数企業とPoCが進行中
―日本にオフィスもあるとのことですが、現在日本ではどのようにビジネス展開されていますか?
日本の半導体メーカーと取引しています。韓国・ドイツ・中国では量産プロジェクトが進んでいるのですが、日本ではまだ量産プロジェクトはないので、それが今の大きな目標の1つです。PoC(Proof of Concept)は複数の企業と行っており、良い結果を出しているプロジェクトもありますが、それらを次の段階につなげていきたいと思います。
―今後、日本企業とパートナーシップを結ぶとしたら、どのような企業が望ましいですか?
既存のパートナーを大切にしながら、我々の技術・製品にご興味の強い企業があれば、ぜひお話をさせて頂きたいと思っています。当社のプロトタイプや製品をまずは試していただき、それを実用化し、ゆくゆくは量産体制に進んでいただけるような相手とパートナーになりたいですね。年内には量産プロジェクトの発表ができると見込んでいます。
―新型コロナウイルスのパンデミックによる影響はありますか?
ティア1メーカーやOEMにおいても、在宅勤務が増えましたし、開発プロジェクトが遅延したりと、短期的には大きな影響がもちろん出ています。レベル4の導入時期など、今後の見通しも少し不透明感が増しました。まずはこの時期をしっかり乗り切って、そこからまた前進していきたいと思います。