Image: Smarter Sorting
小売業や製造業の製品が持つ部品1つ1つの特性や、州ごとの寄付や廃棄についての情報を管理できるようにするSmarter Sorting。物理学とコンピュータサイエンス両方に精通していたからこそ実現した発想について、CEOのChris Ripley氏に聞いた。

Chris Ripley
Smarter Sorting
CEO
2001年にWilliams Collegeを卒業。15年以上複数のスタートアップ企業に創業者やCOOとして関わり、2015年にSmarter Sortingを創業。

製品にまつわる大量の情報を管理

―どんなサービスを提供していますか?

 私たちは小売業者、地方自治体、製造業などに、彼ら自身が何を持っており、それはどこにあるのかといった情報を伝えることを仕事にしています。

 と言うと、すごく幅広いですよね。たとえば、トヨタの自動車を考えてみましょう。トヨタは大きな工場をいくつも持っていて、その中で大量の部品を扱っていますね。安全性の観点からも、環境配慮の観点からも、近年はその詳細について把握する必要が出てきています。部品1つ1つがどこから来たのか、いつ作られたものなのか、何の化学物質を使用しているか、どんな安全基準が課されているかなどです。

 また、地域によって、売れない製品をどうすべきか、扱い方も変わってきます。コストコでは3万5000の製品を扱っていますが、それぞれの製品がたとえば400個のパーツにわかれるとして、その扱い方が550か所のロケーションによって異なります。寄付はできるのか、誰にできるのか、工場に返品はできるのか、どういう条件でなら返品できて、返品した時の保証は? 何百もの質問が何千もの部品や製品に対して湧き上がってきます。たとえばクリスマスカードやバレンタインカードが余ったら? 消費期限の切れた日焼け止めは返品可能か? こうした情報を、私たちはAIと機械学習を使って管理しています。

寄付がしやすくなる

―効率化もできそうですね

 小売業の顧客は1カ月で一店舗あたり$5,000も節約できています。店舗数が多ければ、これは非常に大きな効果を持ちます。

 売れない商品を寄付することによって在庫一掃ができるようになる効果も大きいです。寄付というのは州によってしてできるものとできないものがあます。企業は法を犯すことを恐れて従業員に寄付する権限を与えていなかったのですが、私たちのシステムで確認すれば寄付することが可能になります。

物理学とコンピュータサイエンスの結合

―どうしてこのビジネスを始めようと考えたのですか?

 私は物理学の科学者で、製品の化学や物理的な特質も理解していますし、同時にコンピュータサイエンスも理解していますので、ソフトウェアをどうつなげるかということも分かります。

 たまたま両方の分野を理解していて、たとえばゴミを見たときに、ブリーチのボトルがあったとしたら、ブリーチは何の物質で作られているなとか、ボトルは蓋とボトルそのものとラベルの3種類の異なるプラスチックでできているよなということを思うわけですが、普通の人はそこまで意識していないという問題に気が付きました。これをAIで解決できると思ったわけです。

―日本への進出には関心がありますか?

 今は日本に店舗を持つ米企業とパートナーシップがあり、私たちの顧客企業が日本進出すれば、私たちも一緒に出ていくことになりますね。ただ今現在は顧客が多すぎるような状態で、アグレッシブに外の顧客を探そうとしてはいません。

 将来的に、私たちのやろうとしてくれていることを深く理解してくれ、戦略的パートナーシップを結べる企業があれば考えたいと思います。



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