機械学習で詐欺を防ぐ
Eコマースや出会い系などのマッチングサービス、シェアリングエコノミービジネス、保険会社などに対して、取引をする相手が信頼できるかどうかを瞬時に識別するサービスを提供しているSift Science。アカウントの乗っ取りやなりすまし、盗難されたクレジットカードの利用や詐欺、偽アカウントの作成、スパムや違法コンテンツを流すなどの行動がみられるユーザーを判別できるシステムを構築している。
Jason氏は、ベンチャーキャピタルのY Combinatorにいるときに、機械学習を何に応用できるかを考えていたという。「様々な会社で働く友人に、何かビジネスで困っていることはないかと聞くと、詐欺が大きな問題として立ち挙がってきました。その当時は詐欺について何の知識もありませんでしたが、既存の解決策では対処できていないことがわかり、イノベーティブなアプローチが必要なのではと思いました」。
機械学習でデータを処理しており、1秒に7000件の処理を実現している。「取引を決めるときに、顧客は即時に、しかもできるだけ正確な判断をしたいわけです」とJason氏。強みは、顧客についての情報から遭いやすい詐欺を予防したり、様々なデータを統合して、人間には気づかないような情報に気づくことができること。また、たとえばAirbnbで怪しい動きをしたアカウントがLinkedInで別の動きをするなど、顧客間の情報も統合して対処することができる。2018年現在、500社が利用し、チェックしているEメールアドレスは12億件に上るという。
Image: Sift Science
全員が「空港のようなセキュリティチェック」を受ける必要があるか
Sift Scienceのサービスは詐欺を90%削減し、回転率を15-20%上げているという。ただJason氏は、Sift Scienceが実現できることは不正の防止だけではないと語る。信頼できるユーザーまで全員が「空港のセキュリティチェック」のような検査を受けないといけない、そんな状況は変えられると強調する。
「たとえばギフトカードを購入する際に、クレジットカードのCVCコードを入力すること。ネットで旅行を予約するのに、3Dセキュアを通過しないといけないこと。こうしたちょっとした手間が、利用者を減らしてしまっているのではないかと危惧している企業も多いのです。すべての人が飛行機に乗る前に靴を脱いで、チェックされるのは決して心地いい経験ではありませんよね」。
ビジネスモデルとしては、決済ごとに数セントの手数料を取っている。すでに売上の37%は米国外から得るグローバル企業だ。日本ではすでにメルカリと協業するなど、アジアや日本の市場にも関心がある。Eコマースやコンテンツサイトなどのディストリビューターなど成長を加速するためのコラボレーションも期待しているという。
Image: Sift Science