日本でもたびたび話題にのぼる、食料廃棄の問題。テクノロジーを駆使して、この問題の解決を図ろうとしているのが、米国シアトルに本拠地を置くShelf Engineである。創業者でCEOである Stefan Kalb氏に話を聞いた。

生鮮食品の保存期間を伸ばし、受発注を効率化

――生鮮食品の需要を予測するサービスを提供しているそうですね。

 私たちはマシンラーニングを使用した需要予測プラットフォームを提供し、食料廃棄を減らそうとしています。私たちのサービスのねらいは、生鮮食品の需要を正確に予測し、受発注を効率化すること。そして食料廃棄を減らし、売上を最大化することです。

Stefan Kalb
Shelf Engine
Co-Founder & CEO
Central Washington University、Western Washington Universityを卒業。飲食店ブランドMolly's Saladsで約8年間CEOとして勤務し、食料廃棄の問題に興味を持つ。2016年にShelf Engineを創業し、CEOに就任。
 私たちのプラットフォームでは、お客様がどの商品をどれほど購入するのかを正確に予測することができます。また、仕入れの管理だけではなくその売れ行きも予測し、収益性と照らし合わせて、最良の発注量を提案します。私たちが売上を保証しますから、売れ残った商品の費用を負担する必要はありません。

 需要予測は、店舗の様々なデータと私たちの持つ外部データで形成します。全てのデータ要素が組み合わさって予測はうまく機能するのです。

――御社のサービスはすでにどれくらい導入されているのでしょうか。

 現在、アメリカ国内1000店舗以上で導入されています。

――競合他社と比べてどんな点が強みですか。

 私たちはSKU(最小管理単位)や店舗の種類に関わらず、日次で予測モデルを設計することができます。どのような店舗でもSKUは平均して3.5万から4万程度です。例えば、シリアル、スープ缶、レタス、サンドイッチに至るまで様々な製品の予想売上モデルを提供することができます。

 私たちは、過去のデータを含む全てのデータを活用するので、サービス利用の1日目から目に見えて成果を実感することができます。

食料品店のニーズを満たし、コロナ禍でも成長中

――コロナ禍でのビジネスへの影響はありましたか。

 新型コロナウィルスの影響で、食料品店からの需要が急激に増えました。受発注を行うのが困難になったからです。新たに私たちのサービスを利用した店舗は大幅に増え、コロナ禍で急速に成長しています。

――グローバル展開の可能性と今後のビジョンについて教えてもらえますか。

 将来的には、サプライチェーンをより効率化し、最終的に食料廃棄を完全に無くすことが目標です。

 現在はアメリカ国内の取引先で一杯ですが、もちろん海外展開も視野に入れています。次に日本の市場に参入できたら素晴らしいですね。日本では、様々な食品が購入できるコンビニがあります。私たちはそのような小売業者の売上増加を支援したいと思っています。



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