超音波センサーのパイオニア、HMIのイノベーター
―まずはSentonsの製品についてご説明いただけますか。
当社は、独自の超音波センサー技術を使った「Software-Defined Surfaces(以下Surface)」をご提供しています。これは、例えば、スマートフォンの持ち方や指が触れている場所、どのくらいの力がかかっているかなどを、非常に高い精度で認識できる「Surface」で、ガラスや金属基板だけでなく、木材やプラスチックなど、あらゆる素材の表面で使えます。
現在は、モバイルデバイスでの導入が最も進んでおり、主には仮想ボタンとして活用されています。例えば、ASUSのROG PhoneⅡでは、本体を横向きにすると側面の左右に設けられた仮想ボタンがゲーム機のコントローラーの側面にある物理的なボタンのように使えます。当社の「Surface」は、デバイスの側面だけでなく背面にも取り付けられますし、仮想ボタンだけでなく、スクロールなどの操作領域を設けることが可能です。
空間精度を「見る」技術
―タッチセンサーはどのくらいの精度で認識ができますか。
指を置く場所や指の位置の検出精度は1ミリメートル未満で、押す力は5グラム未満です。5グラムは軽いタッチ程度の力ですね。物理的なボタンを押す力は通常100グラム程度なので、それと同等の力を検出する設定も可能です。
―ビジネスモデルを教えてください。
当社が実際ご提供しているのは、デバイス等に設置したセンサーから得る情報を処理しているセンサープラットフォームです。当社のノウハウや知的財産は、シリコンに組み込まれたファームウェアとアルゴリズムにあります。
当社は、顧客の要望に合わせてプラットフォームとセンサーアレイを設計し、サイズ4×4ミリメートルのプロセッサー(シリコン)を販売しています。センサーはパートナー企業が製造および販売する形をとっているので、当社は販売を行っていません。
日本進出にあたり製造を担う日本のパートナーを募集中
―日本を含め、アジアでの展開に力を入れていると伺いました。日本でもパートナーを探していますか。
そうですね、顧客とパートナーの両方を探しています。当社は自社工場を持っていませんので、日本進出にあたり既に日本の大手メーカー2社と話を進めていますが、例えばモジュールメーカーや電圧コンポーネントメーカーで、当社のパートナーになってくださる日本企業も探していきたいと考えています。
現在は、米国内からの投資が主ですが、アジアからも資金調達しています。日本の投資家はグローバルに活動していますし、理解がありますので、当社としては日本からの投資は興味があります。
―最後に日本の皆様にメッセージをお願いします。
過去100年間のテクノロジーとコンピューティングプラットフォームの進歩には、HMIの革新が常に関係していました。例えばスマートフォンが現在のように普及したのは、タッチスクリーンの使いやすさによるものと言えると思います。
コンピューティングを次のレベルに進歩させ、新たな市場を作るのは革新されたHMIです。柔軟性があり、ガラス以外でも使え、曲線部でも利用可能な当社の「Surface」は、HMIの革新において一役を担っていくと考えています。